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September 09, 2012

Daily Oregraph: 雨の日

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の日は読書がはかどる。いつもの倍のペースである。

 もちろん外出しないせいもあるけれど、窓を閉め切りにしておくと騒音が遮断されるので、集中力が高まるからだ。雨音はリズムが一定だから気にはならない。

 さてわれらがレベッカ嬢はいまや人妻、ご亭主は大尉殿である。お金持ちのおばさんとよりをもどすべく、ご亭主に手紙を書かせるところなのだが、

 「おばかさんね、'beseech' に 'a' はいらないし、'earliest' にはいるのよ」

 つまり大尉殿は、それぞれ beseach、erliest と綴ったらしい。馬術には長けていても、文章の腕前はさっぱりなのである。

 こういう人もいるのだから、日本の体育会系学生諸君は、多少英単語のスペルがあやしくとも、平気な顔をしてどっしりかまえていればよろしい。たかが 'a' ひとつ、一体なんだというのだ(しかし成績表に A がまったく抜けているのは損だから、多少は勉強してね)。

 結局まともな文章など書いたことのないご亭主は、細君の口述筆記を担当し、立派な手紙が出来上がる。

 「あたしの作文とは気づきっこないわ。わざと短くてぶっきらぼうな文章にしておきましたからね」 

 さすがは才気に富むレベッカだとほめてやりたいところだが、賢明なる読者なら気づくとおり、これを読んだおばさん、

 「あの子のよこす手紙はいつもお金の無心ばかりだし、綴りはまちがいだらけ、文法もでたらめ」

と、文章があまりにもまともであるがゆえに、たちまちレベッカのたくらみを見破ってしまう。

 まさに底が浅いわけだけれど、策士とはえてしてこういう誤りを犯しがちである。しょせんカラスは白鳥にはなれないし、カブはカブにすぎないという教訓であろう。

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Comments

そちらは雨ですか。
大和をはじめとして関西の方は、何か激しい天気が続いていて・・・
さっきまでカンカン照りだったかと思うと一転にわかにかき曇り・・・道路が川にならんばかりの激しい雨が・・・・

本当にどうなってしまった事やら・・・

Posted by: 三友亭主人 | September 09, 2012 at 22:31

>三友亭さん

 今日は天気予報大外れだったんですよ。一日中曇りのはずが、雨。

 おかげで本ははかどりましたから、雨もまたよし、なんですけどねえ……

Posted by: 薄氷堂 | September 09, 2012 at 23:55

僕の知り合いが沖縄でバイリンガルの学校をしているんですが
ネイティブ的にはなぜ熟語を勉強するのかがわからないそうです。
そんなもんかなと思って聞いていますが
言語の持つ自由性の問題でしょうか。
アメリカ人はそんな厳密な英語を話していないそうです。

Posted by: 根岸冬生 | September 10, 2012 at 00:55

>根岸冬生さん

> なぜ熟語を勉強するのかがわからない

 どこの国語でも熟語・慣用句とはそんなものですね。だからこそ外国人にはむずかしい(笑)。

 一時はやった BASIC ENGLISH のまちがいはそこにあります。外国人にはかえって困難なんですよ。

> アメリカ人はそんな厳密な英語を話していないそうです。

 それもアメリカにはかぎらないでしょうね。

 しかしいわゆるTPOがありますから、ふだんはラフなことばづかいをしていても、場面や相手によってはていねいな表現をするはずです。それができずに恥をかくのは、どこの国でも同じだと思います。

 まあ、今回引用した部分は、ふだんの話し言葉と文章とは決定的にちがいますよという好例ですね。意識的に勉強しなければ、ネイティブといえどもまともな文章は身につかないわけです。

 われわれ日本人としても、ブログ全盛期だけに、お互い文章には気をつけなくちゃと自戒をこめて……

Posted by: 薄氷堂 | September 10, 2012 at 08:26

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