Daily Oregraph: 昼間の歓楽街を行く
ひさしぶりに歩いて幣舞橋を渡る。最近行動範囲が狭すぎるから、ちょっぴり反省しているのだ。
ぼくも観光客という身分になって、どこかよその町の橋の上でカメラを構えたいものである。
やあ、お元気でしたか、と「夏」の像のおねえさんにご挨拶。ちぇっ、振り向いてもくれないや。
町といったって、表通りに用はない。裏街道を行くのである。いったい何ヶ月ぶりだろうか。
一応テーマがないとつまらないから、例によって偶然芸術をねらうことにしよう。といっても、ぼくにまともな審美眼など具わっているはずがない。ただ「おにいさん、寄っていかない」と声をかけられたらパチリ。
狭い町のことだから毎度決まった場所になりがちなのは残念だけれど、そのときどきで微妙に見え方がちがっているので、ついシャッターを切ってしまうのである。
純和風というのは、ぼくにしてはめずらしい。
ここは来るたびに撮っている場所である。いわゆる霊感などはまるで信じないけれど、人を引きつける場所、引きつけない場所があることはまちがいないと思う。
この場所は微妙である。以前ごちそうになったハートランド・ビールに引き寄せられたのかもしれない。
ブラブラ歩きながらつまらない写真を撮っているうちに約一時間経過。そろそろ帰ろうか。
あ、そうだ、全国のいなり小路ファンのために、一枚撮っておかなくちゃ。ほんとにこの小路もさびしいことになっちまったなあ。
結局だれも待ってはいなかった。
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Comments
こんにちは。
薄氷堂さんの街の写真、好きですよ。
おや「夏のおねえさん」は胸をはだけていますね。
ふつうの人がやると軽犯罪法に引っかかるかもしれませんが、
これは「芸術」だから大丈夫なのでしょうか。
他の街でも「芸術」である裸の女性が平然と置かれていますが、
ああいうのは、本当は「変」なはずなんですけどね。
だけど着衣の像だと、ふつうの人とどう違うのか、
ということになるでしょうしねえ。
裏通りの写真、やはり味がありますね。
稲荷小路は、入口の表示だけ残っているのが、
なんとも不思議な感じがします。
Posted by: 只野乙山 | August 10, 2012 10:29
いつもながら薄氷堂さんの観察眼には感じ入ってしまいます。私の町もよくよく見ればそれなりの対象があるんでしょうが、どうにも感性が・・・
・・・そのうち私だってと思っているのですが・・・
Posted by: 三友亭主人 | August 10, 2012 12:33
>只野乙山さん
> これは「芸術」だから大丈夫なのでしょうか。
大丈夫ですよ。このおねえさん、ガチガチに固くて冷たいから、たとえさわったとしても痴漢扱いされないのがその証拠です。
いわゆる再開発とやらで姿を消した「いなり小路」は、短いけれど味のある通りでした。残念なことをしたものです。
Posted by: 薄氷堂 | August 10, 2012 20:48
>三友亭さん
三友亭さんの町にもきっと偶然芸術は隠れていますよ。
ぼくに自慢できるほどの感性なんてありません。「おにいさん、ちょっと……」と声がかかるだけなんです。
え、おにいさんとはずうずうしい、ですって?
Posted by: 薄氷堂 | August 10, 2012 20:52
今晩は
稲荷小路の中間部分がなくなってしまったのですか。
昭和30年代、40年代の賑わいがウソのようですね。
『おかめ』という店のラーメンとぜんざいがなつかしいです。といっても貧乏な高校生のこと、年に1~2度くらいしか行けなかったですが。
Posted by: ミキタカ08 | August 13, 2012 22:22
>ミキタカ08さん
現在いなり小路に残っているのは、写真左のお店と、右側の(たぶん)すし屋さんだけです。
「おかめ」の超固ゆでラーメン、なつかしいですね。あれ以上固ゆでの麺は日本国には存在しないんじゃないかと思いますよ。
いなり小路から姿を消したあと、一時教育大の近くにお店が移り、一度だけ先輩に連れて行っていただいたことがありますけど、やはり昔どおりの固ゆででした。しかし現在はお店がどうなったか知りません。
Posted by: 薄氷堂 | August 13, 2012 22:32