
ここ二日ほど読書がさっぱりはかどらない。本がつまらないのではない。鉛筆を握って文章を書き写すのがしんどくなったのである。この分だと、死ぬまでつづけても、どれほど先へ進むのか見当もつかない。なんだか富士山を相手にスコップをふるっているような気がしてきた(笑)。
そこで気分転換をはかるため、ふと思い立って尻羽岬へ。昨年はとうとう一度もここへは来なかったが、2010年9月23日の記事をご参照いただければ幸いである。
なんだ、曇り空か、とお思いになるかもしれないが、実はそうではない。霧の向こうには青空が広がっているのだ。道東の夏の特徴である。
駐車場のトイレが内外ともにきれいになっていた。地面に雑草も見あたらないし、釧路町の管理は行き届いているようだ。駐車場には、ぼくの車がポツリと一台だけ。
霧の中を出発。いまのところぼくひとりだけ。尻羽岬の貸し切りとは贅沢な話である。
この別世界で(どこの国とは申しませぬが)団体客の無遠慮な甲高い外国語なんぞ聞きたくもないから、(まさかとは思うけど(笑))ここを世界遺産に登録するようなバカなまねだけはしないでいただきたいものだ。
霧もまた悪くはない。この世のものとは思われぬふしぎな景色である。
この時期はシコタンキンポウゲ一色で、ほかの花はほとんど見あたらない。
フキの大群落。ここを漕いで岬の先端へ行くわけだが、道は自然とわかるから心配はいらないし、背の低いフキなので、ごくふつうの靴でも特に問題はない。
フキ地帯を突破すると間もなく岬が見えてくる。浮世を忘れたければこの奇跡のような空間に身を置くにかぎる。
霧のため太平洋はほんの一部しか見えないけれど、青空がのぞいている。岬の象徴ともいえる枯れ木は一段と腐朽が進行して、情けない姿になっていた。
厚岸湾も霞んでいる。一面の眺望を期待して訪れた旅人ならおおいに失望するところだろうが、ぼくみたいなベテランになると(笑)、かえって幻想味を感じ、いとあはれなり。地元民の強みというものであろう。
しばらくボーッとしてから駐車場へ戻る途中で、崖の下を見下ろしてみた。高所恐怖症だから、これで精一杯。カモメの位置がもっと左だと絵になったのに、などとバカなことを考える。
おっと、お客さんがもうひとり現れた。挨拶を交わしてすれちがう。ゆっくりお楽しみください。
霧は濃くなったり薄くなったり、まるで海の呼吸に合わせるように流れてくるのがはっきり見える。駐車場には車が二台……おわかりになるだろうか?
このあと知方学(ちぽまない)小学校を撮影してから、仙鳳趾(せんぽうし)を経由し、尾幌からは国道44号線で釧路に戻った。途中仙鳳趾小学校跡にもちょっと立ち寄ったので、明日にも簡単にレポートしたい。
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