Daily Oregraph: 遙か実用を離れて
昨日は天気が悪かったので、散歩も畑仕事も取りやめにした。体にガタが来そうだから、たまにはノンビリしようと思ったのである。
『エマ』は14ページ。ときどき解釈に迷う文章が現れて足止めを食らうことがあるから、これでもはかどったほうなのだ。漱石先生が絶賛する作家だけあって、ジェイン・オースティンはなかなか手強い相手である。
話の進行は十分にたどれるから、そんな難所は避けて通っても一向にかまわないのだが、シャクにさわるのでじっと考える。時間をかけて考えれば、わかるときもあればわからないときもある。どうしてもわからぬ文章には、ノートに赤鉛筆で二重丸をつけておく。いまのところ二重丸は11個だから、出現率は24ページに一箇所である。
あんた、そりゃ勉強が足りないからだよ、といわれれば返すことばもないけれど(笑)、よくお考えいただきたい。日本語の小説だって、高級な作品になると、案外二重丸の文章は含まれているのである。それをぼくたちはふだん何気なく読み飛ばしているにすぎないのだ。
最近はなんでも損得ずくでものを考えがちだから、外国語学習についても役に立つの立たないのというレベルでの議論が盛んだけれど、実用一点張りでこの種のものごとを判断するのはずいぶん貧乏くさいような気がしてならないのである。
外国語の勉強には実用とは無縁の効用もたしかにあることを忘れてはいけない。たまには人様の苦心の文章をていねいに読むことがあってもいいと思うのである。
実用とかけはなれたことをするのは結局遊びだから、正直いってずいぶん苦しいときもあるが(笑)、案外おもしろいのである。
非実用の世界といえば、これもそうだろう。金がかからぬかわりに、一円にもなりませぬ(笑)。しかしそれでもというか、それゆえに人々は春採湖畔を歩くのである。
エゾノウワミズザクラの花がすっかり散っていた。
いよいよ本格的に活躍しはじめたミヤマニガウリ。
なんとコウライテンナンショウがもう一株みつかった。すごくトクをした気分なのだが、損得を口にしてはいけなかったね。反省。
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Comments
まあ、私の場合、小説は飛ばし読みですね。いい加減に先へ先へと読み進む。すると、何回読んでも新しいことに気づき、一冊の小説を5回は楽しめる・・・う~~ん、エコだね。財布に優しいったらありゃしない。
Posted by: 三友亭主人 | June 11, 2012 22:41
>三友亭さん
> 私の場合、小説は飛ばし読みですね。
ふつうはそうじゃないでしょうか。数学の問題を解くように小説を読むのはやりきれませんからね。
まあ、そのやりきれないことをやっているわけですが(笑)、三友亭さんのご専攻もほとんど外国語みたいなものですから、いっしょかもしれませんね。
Posted by: 薄氷堂 | June 11, 2012 23:34