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May 31, 2012

Daily Oregraph: 春採湖畔

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 全国一千万の釧路ファンのみなさまに、たまにはこういう写真はいかがだろうか。

 上天気なのだが、ちょうど霧が晴れたばかりのせいか、遠景がほんの少しボンヤリして見えるようだ。それでも釧路のシンボル(?)湖陵高校時計台の針が10時40分を示しているのはなんとかわかる。

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 春採中学校の諸君は野外昼食会らしい。ジンギスカンかな? もちろんノンアルコールだろうけど(笑)、しゃれたことをするものだ。

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 ネムロブシダマ。まだツボミである。

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 エゾスグリ。まるで蝋細工のような赤い花が特徴である。

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 コンロンソウ。もうまもなく開花するだろう。この花はわが裏庭にもある。

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 散歩を終えるころにはふたたび霧がかかり、ごらんのとおり、ひぶな幼稚園のヒヨコたちが霞んで見える。

 帰宅後裏庭へ。毎日少しずつ働いているのである。昨日から鍬を入れはじめたので、数年ぶりに黒い土がよみがえってきた。ぷーんと漂ってくる土の匂いを嗅ぐのは、決して悪くない気分である。

 野菜作りは面倒だから、どうしようかまだ大いに迷っているが、ジャガイモでも植えれば、名刺に堂々と「農業」と印刷できるのは魅力である。「無職」ではどうも格好がつかないしなあ(笑)。

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May 30, 2012

Daily Oregraph: 春採湖畔

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 オオイタドリがこんなに大きくなっていた。これからまだまだ背丈が伸びる。

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 外で遊ぶには最適の季節になった。かく申すおじさんも遊んでいるのだが、少しはお勉強もしているのだから大目に見てね。

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 外で学んでいる諸君もいた。工業高校土木科の測量実習らしい。穀潰しの駄文学部などとは大ちがいで、実に頼もしいと思う。

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 ニリンソウ群落のある坂道。市立病院の下あたりである。

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 こんなぐあいに咲いている。これから当分の間楽しめるので、ぜひ脇道に入ってごらんになるようお勧めしたい。

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 本日の重大ニュース。いよいよミヤマニガウリが舞台に登場した。早くもツルが伸びて、チシマネコノメにからみつこうとしている。

 いまはまだおとなしくしているが、これから手のつけられない勢いではびこるから、どうかご期待いただきたい(笑)。

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 もうひとつの目玉商品はオドリコソウである。花の色にはバリエーションがあって、真っ白なものもあるらしいけれど、これなどはいかにも花笠という感じでおもしろい。

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 アップで見ると、いかにも踊り子に似ていることがわかる。実に不思議な花である。

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 クサノオウ。こちらはそうめずらしい花ではないが、どこにでも生えるからつまらないというわけではない。奇妙な毛玉のようなものはがく片で、開花と同時に落ちてしまうらしい。

 結局植物はどれも不思議のかたまりなのだが、特に野生のものは見るたびに驚異の念に打たれる。しかもお代も取らずに楽しませてくれるのだから、勉強や仕事をさぼって(笑)観察する値打ちは十分にあると思う。

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May 28, 2012

Daily Oregraph: 温根内

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 実はこの写真、一番最後に撮ったものである。ビジターセンター開館後なら、まずホワイトボードに書かれている情報を仕入れてから歩くのもいいと思う。

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 今回も鶴居軌道跡道路から出発することにした。歩きはじめてからしばらくはこんな空模様。気温も温根内にしては少し低めである。
 
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 まずはスミレ。ツボスミレだろうと思うのだが、スミレの仲間は恐ろしく種類が多いから、あまり自信はない。

 とても小さな花なので、うっかりすると見落としてしまうだろう。野鳥派ならともかく、植物派は絶対に上を向いて歩いてはいけない。

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 エゾノクサイチゴ。

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 エゾオオサクラソウ。

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 なんとなく定点撮影風になってきたが……途中省略してここまで来ると、青空が見えはじめた。このあと天気はぐんぐん良くなってきたのである。

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 ヒメシャクナゲ。木道からでは撮りにくい花なので、トリミングしてある。六月の初めまでは咲いているはずだから、次回再挑戦するつもり。

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 本日の目玉はこれ。ミツガシワである。見ごろは六月中旬あたり。このサイズではわかりにくいので、

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開花したばかりのミツガシワをどうぞ。こうして見ると、いかにも湿原の花らしい。

 これからは温根内も目を離せない。週に一度は訪れたいと思っている。いよいよ忙しくなってきた。

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May 26, 2012

Daily Oregraph: 雨の合間に

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 せっかくの土曜日だというのに、今日も花見は一組だけ。

 心眼をこらしてよく見るとわかるように(?)、木製のベンチが濡れている。朝まで雨が降っていたのだ。午後からまた降り出したから、花見のみなさんはお気の毒であった。

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 ゴマツリ岬には今年もアマドコロ(オオアマドコロかもしれない)が顔を出していた。

 ここは道路際だから雑草といっしょに刈られてしまうことが多いけれど、貴重な植物なので大切にしてほしいものである。

 今日は帰宅後ふたたび雨になったので、裏庭へ行かなかった分だけ本がはかどった。といってもわずか15ページ。やっと少し呼吸が飲みこめて、おもしろさはわかってきたものの、まったく手を抜けない文章が相手だから、なかなか先へ進まないのである。

 天気がよければつい外へ行きたくなるし、毎日雨降りだったらもう少しはかどるかもしれないのだが……(笑)

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May 25, 2012

Daily Oregraph: 浮かれちゃいけない

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 咲きそろった裏庭のサクラ。手前がエゾヤマザクラ、正面右手がチシマザクラである。ずいぶん窮屈な撮り方をしているのは、なにぶん狭い場所ゆえ、余計なものがたくさん写り込んでしまうからだ。

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 さてこのチシマザクラだが、年々成長して、もはや花を接近撮影できないほど背が高くなった。しかし年々花が減っているのはなぜかというと、すぐ隣にナナカマドの木があって(写真に葉が見える)、これまたぐんぐん成長し、サクラの栄養分を奪っているからだと思う。

 このナナカマドは自然に生えたものである。どうもすでにある木からタネが飛び、勝手に居着いてしまったものらしい。ご近所の方が処分してあげようかと申し出てくださったので、これ幸いとお願いしたが、もし実現すればたいへん助かる。

 -殿下、桜も咲きそろいましたゆえ、花見の用意でもいたしましょうか?

 -たわけ! 浮かれているときではない。それより草取りをせぬか。

 てなわけで、今日もゴミ袋にひとつ片づけた。これから先は鍬の出番である。土を起こしながら、根気よく雑草の根を引っこ抜かなければ畑にはならないからだ。

 ああ、小作人志望者はいないものだろうか(笑)。

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May 24, 2012

Daily Oregraph: 春採湖畔

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 平日ではあったが、花見のグループをみかけた。駐車場にたくさんの車があったから、みなさんノンアルコールだろう。

 天気はよし、焼肉を食いながら(できれば)ビールをたらふく飲んで、芝生の上に寝転がったらさぞ気持がいいにちがいない。

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 またしても少し疲れがたまってきたので、今日はろくに植物観察もせずに歩いただけで終わってしまった。

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 先日来気になっていたのがこれ。苔むした大きい石は、もともと観音像だったものの名残ではないかと思う。最近信心深い人が別の石をのせてお地蔵さん風にしたのだろう。回りに割れたブロックを配したところがモダン・アートである。

 ふとへんてこな句が浮かんだ。柄にもなく、ちょいと心学風?

  信心のはじめは石の積み重ね

 帰宅後またしても裏庭で枯草・枯枝をゴミ袋ひとつ分処理。気温が高かったから、どっと汗が吹き出してきた。そんなあとでは、もちろん本はちっとも先へ進まない。

 いま体を動かしておけば、ほんとうに秋冬には脳が発達するんだろうか?

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May 22, 2012

Daily Oregraph: 裏庭サクラ開花宣言

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 ものには順番というものがあるから、まずは今朝の春採湖畔から。ニリンソウはこんなぐあいである。まだツボミのほうが多い。これからしばらくの間楽しめるだろう。

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 ツルネコノメソウ。葉っぱのかたちをご記憶いただいてから、次へ進もう。

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 たいていは棲み分けしているのだが、ここではチシマネコノメも混じっていた。葉っぱまでそっくりだったら区別しにくいほどよく似ている。

 さてツルネコノメソウへの挨拶をすませたから、わが裏庭へ行って開花宣言しなくちゃね。

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 まだツボミは残っているけれど、エゾヤマザクラ開花。予算がないから花火は上げなかった。

 チシマザクラはまだツボミが固いままなので、花見はやめにした。その代わりまたしても枯草をゴミ袋ひとつ分片づけたが、まだたくさん残っている。泥沼の戦いである。

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 塀際に咲くわが家のオオバナノエンレイソウは、上品さにおいてはまさに非の打ち所がないと思う。けっしてひいき目ではない。

 しかし問題は背後の板塀である。非の打ち所というか釘の打ち所だらけ(笑)。ゆすってみたらグラグラしているので、あわててホームセンターへ走り、杭を数本買い求めて応急処置を施した。

 グラグラがクラクラくらいになったので、しばらくはもつだろう。素人の乱暴な応急手当ではいかにも見た目が悪く、板も全体に腐りかけているから、いずれ本職にお願いせねばなるまい。そのときに備えて宝くじは買っておいた(当たるつもりでいるところがすごい)。

 そんなことをしているうちにアッという間に午前中が過ぎ去り、本を開く気力を失ってしまった。こんなことをしていていいのかと、情けない気分になっていたら、

 春夏に於て体育を勤めた人は、秋冬に於て容易に脳を発達せしめ得るやうである。(中略)で、春夏に当つて、自然に逆らつて、余り肢体を働かさずに、余り多く脳を働かすと、其の人は脳の機能器質に疾患を起すに至るやうである。これは自然に逆行するが為に生ずるのでは有るまいか。動(やや)もすれば漫(みだ)りに脳を使つた人が、恰(あたか)も其の時期に精神的疾患を発したり得たりするやうである。(幸田露伴『努力論』より)

 さすがは露伴大人である。露伴説に従えば、季節には逆らわず、春夏には体をせっせと動かし、秋冬に頭脳を使えということになる。さもなければ脳の機能器質に疾患を起すというのだから、えらいことになるわけだ。

 しかし春夏に草むしりばかりして脳を使わず、秋冬になっても脳をフルに活動させなければ、いったいどんな恐ろしい結果が待っているのだろうか?

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May 21, 2012

Daily Oregraph: 桜はまだかいな

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 釧路のサクラ開花日はたしか17日だったと思う。しかしわが裏庭のエゾヤマザクラはごらんのとおり、日本一開花の遅いサクラにちがいない。

 チシマザクラのほうは今年はツボミも少ないし、まだ開きはじめる気配がない。木が弱っているのかもしれないなあ。

 どちらも満開になったら、今年こそ花見をしたいと思っている。太閤秀吉の花見にも負けぬよう、昼間から豪勢に安ワイン(380円?)を一杯やるのだ。あ、ついでに草むしりもせねばなるまい。

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 豪勢といえば、昨日某スーパーで買ったこちらのソウハチガレイもそうだ。なんと一枚7円(ほんとうに seven yen)。もちろんサイズはごく小さいけれど、干したのを焼いて食べたら実にうまかった。明日は唐揚げにして食べる予定である。

 金がなくてもリッチな気分を保つのは、人間にとって大変大切なことだ。たべもの然り、読書も然り。そしてそれはけっして不可能ではないのだから、そこのあなたもヤケを起こしてはいけませぬ(笑)。

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May 20, 2012

Daily Oregraph: 春採湖畔

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 花見の準備をする人々。今日は上天気だから、このあとさぞ盛り上がったことだろう。

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 ニリンソウの開花を確認した。ぼくの見たかぎりこの一輪だけだったから、咲きはじめたばかり。やはりわが裏庭よりも遅い。

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 オオバナノエンレイソウ。ニリンソウやこの花が咲きはじめたからには、いよいよ春採湖畔にも植物観察に最適のシーズンが到来したようだ。

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 チシマネコノメ。派手さはないけれど、たまにはこういう花も。

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 帰宅して裏庭へ行ってみると、オオバナノエンレイソウが咲きはじめていた。この花なら白黒でもいけるんじゃないかと思って、モノクロ変換してみた。

 裏庭のサクラはまだ開花せず。明日かあさってだろうか。エゾヤマザクラの木の下で、今日も枯草をゴミ袋ひとつ。いくらやっても片づかない。ゲリラを相手に闘っているようなもので、到底勝ち目はなさそうに思えてきた。

 午後からは入れ忘れていたアプリをインストールしたり、細かい設定をチェックしたり、やっとパソコンの整備も一とおり完了。枯草取りのおかげで疲労困憊した体に鞭打って、明日からは平常どおりの営業(?)を再開する予定である。

 後生だから今夜は休息させてください(笑)。

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Daily Oregraph: 5月19日 温根内

 昨日は雲が多かったけれど、風も弱く気温もほどよく、まずは上等の散歩日和であった。一日遅れになるが、ごく簡単にレポートしたい。なおこの日は鶴居軌道跡からスタートした。

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 温根内木道は景観が変化に富んでおり、一回りすると湿原のいろいろの顔を楽しめる。写真は鶴居軌道跡から撮ったもの。このあたりはまだ少し人間の匂いがする。

 もう少し先へ進むと、

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かなり湿原らしくなってきた。

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 さらに前進してここまで来ると、景色はもう日本ではない(笑)。

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 水が見えなければ湿原ではないと思っている方には、こんな景色などはいかが。

 入場無料で直接湿原内を歩いてこうした景色を味わえるのだから、まことにゼイタクのきわみというべきだろう。

 この日は土曜日のせいもあってか、植物派や野鳥派のみなさんが多数(といっても原宿の雑踏みたいな人出は絶対にありえないからご安心を)訪れていた。

 では植物のご報告を。このたびはなるべく周囲の環境がわかるよう心がけ、あえて少し離れて撮ってみた。

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 オオバナノエンレイソウ。駐車場とビジターセンターとの間である。湿原内部でこの花をみかけたことはまだない。

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 鶴居軌道跡沿いの湿原名物ヤチボウズ。ヤチボウズを作るスゲには、カブスゲなどいくつか種類があるらしい。坊主頭の上に新しく生えた緑の合間に点々と見えるのがスゲの花である。

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 鶴居軌道跡沿いのエゾネコノメソウ。

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 これも鶴居軌道跡沿い。エンコウソウである。

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 鶴居軌道跡の道から木道に入り、しばらく進むと木立がある。その中にボコボコ生えているヤマドリゼンマイ。やがて葉を広げると、かなりの大きさになる。

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 木立を抜けると、上から三枚目の写真に見えるだだっぴろい原野に入る。(エゾ)イソツツジのツボミも見えるが、白っぽい花をつけているのはホロムイツツジである。

 いくら環境写真だとはいえ、あまりにも背景がゴチャゴチャしすぎているから、アップで一枚。

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 近づいて見ると、なかなかの別嬪さんであることがわかる。

 いまの時期はまだ花の種類は少ないけれど、これからが楽しみ。6月が一番いい時期かもしれない。いよいよ忙しくなってきた。

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May 19, 2012

Daily Oregraph: 頭脳は8ビット

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 あまりにも疲れがたまったので、午前中に今年初めて温根内へ行ってきた。もう遅いので、レポートは明日にするが、写真は名づけて温根内セット(笑)。

 以前アナログ熊さんからいただいたストラップを付けた愛用のカメラには、これまた歴戦のマイクロニッコール55ミリ。それに二代目の乞食帽子。これは雨が降ったときなどにカメラを保護したり、虫を撃退するために使う。決して薄毛隠しではない。ペットボトルのお茶は、まあなんでもよろしい。

 昨日は午前中裏庭の枯草をゴミ袋二つ分処理し、午後からさて本を開こうとしたとき、修理に出していたパソコンが戻ってきた。これが悲劇のはじまりである。

 うっかり64ビット版のOSがセットされていたのに気がつかず、ソフトのインストール作業を進めていったのだが、いくつか64ビットOSに対応していないものがみつかった。日本語FEPの動作も微妙にちがう。

 32ビットOSへの変更も可能なのだが、また一からソフトを入れ直さなくてはいけないから、多少のことには目をつぶることにして、作業を続行した。しかしとても半日程度では終わらない。

 いやな予感はしていたのだが、OEDのインストールには予想どおり苦労した。この前のときもそうだったけれど、一度では認証(いわゆるアクティヴェーション)が成功しないのである。結局これだけで一時間以上かかってしまった(なんとなく原因がつかめたから、次の機会にはもっとスムーズにいくだろうが)。

 温根内から戻って、本日午後から作業を再開し、先ほどようやく一段落した。ブラウザやメールの設定、FTP転送の設定などなど、ほんとうにイヤになる。本はちっとも先へ進まないし、ええい、これから深夜のやけ酒だ(笑)。

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May 17, 2012

Daily Oregraph: ニリンソウ開花

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 裏庭のニリンソウが開花した。春採湖畔のニリンソウは昨日とほとんど変わらず、まだツボミが青いままだった。やはり今年はちょっと遅れ気味である。

 今朝も枯葉や枯草をゴミ袋にひとつ回収。やっと少しは見られるようになってきたけれど、まだ先は長い。野菜を植えるつもりなら、これから無数の雑草を根こそぎにしなければならず、心はおおいに揺れている(笑)。

 いっそ地面をなにかで覆ってしまい、暖かい時期には椅子とテーブルでも置いて、回りの野草をながめながら冷えたワインでも一杯……などと、ついプチブル的幻想にひたってしまうのだが、どうも柄じゃない。ゴザを敷いて芋焼酎をぐいぐいやるほうが似合っていそうである。

 毎日慣れぬことをしているせいか、ずいぶん疲れがたまってきた。鏡花の小説にでも出てきそうな山の温泉宿に逗留して、ぞっとするほど美人の幽霊でも相手にしてみたいような気がする。

 -似合ひますか。

 しらふでは怖くてとてもつきあいかねるが、酒が入ればこっちのものだ。

 -おゝ、似合ひますとも。どうです、こつちへ來て一杯つき合ひませんか。

 -オホ
ゝ、それぢや、お言葉に甘えて……

 ……てなぐあいにはいかないだろうなあ。

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May 16, 2012

Daily Oregraph: ニリンソウ開花間近

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 本日のニリンソウ。上は春採湖畔、下はわが裏庭である。この花にかぎっては、毎年わが家のほうが早く開花する。

 Emma のほうはなかなか進まない。漱石が『文学論』でえらくオースティンをほめているから、とにかく読み通すつもりではいるけれど、正直いってちょっとしんどい。その理由については、もう少し読み進んでから触れるつもりである。

 1816年の出版だからほぼ2世紀前、おおざっぱにいえば、京伝や馬琴の頃の小説である。当時の英国の散文の完成度の高さは舌を巻くほどで、公平にいって勝負にならない。事件の進行や場面の細部を正確かつ明瞭に伝えるだけの実力は、まだそのころの日本語の文章にはなかったと思う。これを西洋かぶれといって片づけてしまうのは、とんだ大まちがいである。ウソだと思ったら、両者を並べて読み比べてごらんなさい。

 明治の学者や文人たちは、その事実を目の当たりにして、たぶん愕然としたのではないかとぼくは想像する。その大ショックを克服して日本の散文の基礎を築いた先人の努力には、ほんとうに頭が下がる。人間のえらさが段違いだと思う。

 ……と、ケーキの悪口をいったお詫びに、英国をうんとほめたけれど(笑)、そこは2世紀前の文章である。ずいぶん婉曲的な言い回しが多く、近所の煙草屋へわざわざ遠回りして行くような案配だから、ぼくみたいに無教育で下品な男には、とてもスラスラとは読めやしない。

 ぼくにこんな苦難を強いたのは漱石先生である。胃弱になったら責任を取っていただきたいものだ。

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May 15, 2012

Daily Oregraph: ケーキはほどほどに

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 裏庭のニリンソウのツボミ。

 天気予報では午後から明日いっぱいにかけて雨らしいので、朝のうちに昨日に引きつづき枯葉や枯草を片づけた。一時間ほど作業してゴミ袋ふたつ分集めたが、まだどっさり残っているので途方に暮れてしまう。

 結局兵力が足りないのである。ぼくの予想では、三人がかりでも最低半日を要するだろう。えらいことになってしまった。

 昨日から体力気力の低下が著しく、Emma はまだ第2章。やっと文章の呼吸が少し飲みこめてきたばかりだから、内容についてはまたいずれ……と思ったら、おもしろい箇所がみつかったので、ちょっとだけ。

 話せば長いことになるから事情は一切省略するとして、ミス・テイラーが結婚したとお思いいただきたい。ミス・テイラーって誰だい? という疑問は床の間にでも置いて、無理にでもそう思っていただかなくては困る。

 結婚式がすんで a few weeks というから、ここでは少な目に見積もって、約二週間としておこう。

 彼(エマの父)をひどく悩ませていたウェディング・ケーキはすっかり食べ尽くされたのだった。

 エマの父は胃弱だから、こってりしたケーキを受けつけない。彼は自分にダメなものは他人にもいけないと思いこむたちの人物である。会う人ごとに、新婚家庭に行ってもウェディング・ケーキを食べちゃいけないという忠告を与える。

 もちろんみなそんな忠告を無視してケーキを食べる。その報が伝わってくるたびに彼の心は痛むのであった(実にヘンな人である)。そのケーキがやっとなくなったからホッとしたというのである。

 しかし二週間ももつウェディング・ケーキとはいかなるものであろうか? 実はぼくには心当たりがあるのだ。エマの父をただの変人と思ったら、古典文学の解釈を誤ることになるだろう。

 もうずいぶん以前の話だが、仕事である船へ行ったとき、

 -去年のクリスマス・ケーキをごちそうしよう。

 -えっ、クリスマス・ケーキ?

 食べたよ、食べましたよ。英国人の船長が出してくれた数ヶ月前(たしか半年近かったと記憶している)のクリスマス・ケーキを……涙とともに。

 ああ、いったい砂糖をどれだけ使っているのだろうか。甘すぎて頭がキーンとするのである。せっかくの好意を無にはできぬから、苦労の末食べ終わったときには、ほとんど正気を失いかけていた(けっしておおげさではない)。

 しっとりとしたふわふわのケーキを想像してはいけない。防腐剤の砂糖が飽和状態になった、堅めのボロボロ崩れるケーキなのである。もし問題のウェディング・ケーキが同種のものだとしたら、二週間はおろか、何ヶ月でも平気でもつにちがいない。まことに申し訳ないが、ぼくは英国人の味覚を疑わざるをえなかった。あれでは胃弱の人はたまるまいと思う。

 夏目漱石の胃弱が悪化した原因は、英国留学中にエマの父の忠告を無視して食べたケーキにちがいない。お気の毒に。

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May 14, 2012

Daily Oregraph: 日のあるうちに働け

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 まあ、この枯葉と枯草の山をごらんいただきたい。ここ数年放っておいたら、恐ろしいことになっていた。

 朝から上天気だったので、思い切って裏庭へ行ったのである。もう新しい草も生えてきたし、いま手をつけなければ、来年はえらいことになるし、天気のいい日でなければこういう作業はできないからだ。

 苦闘一時間半、さすがに汗が吹き出てくる。無理をすると水分を失って失神し、釧路市の薄氷堂さん農作業中に倒れる、と道新の一面に書き立てられそうだから、そこでやめにしたのであった。

 こんな狭い地面なのに、とても一日では終わりそうにない。もし畑を耕すつもりなら、あと二回ほど草むしりせねばなるまい……と、水をがぶがぶ飲みながら考えた。気持はジェイン・オースティン女史のほうに傾いているから、おおいに悩んでいるところである。

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 ついでに盛りを過ぎているウラホロイチゲの小群落をチェックすると、なんとか撮影に耐えられそうなのが一輪、もっとも撮りにくい場所にみつかった。

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 カタクリも少しやつれてはいたけれど、記念撮影しておいた。ウラホロイチゲもそうだが、この狭い土地に完全に定着したらしい。なんの手入れも必要とせず、毎年律儀に咲いてくれるのだから、野の花はえらいものだ。

 ニリンソウやオオバナノエンレイソウの葉も顔を出し、キバナノアマナも今年はずいぶん増えた。エゾエンゴサクも例年どおり咲いている。住宅地にあっては、まさに奇跡の空間といえるかもしれない。

 さて午前中は枯草集め、午後は春採湖畔ウォーキングと、今日は本がさっぱり先へ進まなかった。まあいいさ、ノンビリやることにしよう。

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May 13, 2012

Daily Oregraph: 気分はリッチ

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 本題に入る前に……本日春採湖畔で撮った一枚。遠くに走者の一団が見えたので、ノーファインダーでシャッターを切ったものである。ごく小さく写っていたのでかなりトリミングしてあり、画質が粗いのはそのためだ。

 やがてすれちがった瞬間、一番右の怪しいおじさまがサングラスを外して、元気な声で挨拶されるではないか。なんと、誰あろう、このお方こそ、香港マフィアのボスではなく、釧路マラソンクラブ代表スコップさんなのであった。ビックリ。

 そうと知っていれば、もっと近くから大胆に撮ったのに、たいへん残念なことをした。スコップさん、どうも失礼いたしました。

 中高年の星スコップさんの勇姿に元気づけられたので、ぼくも(走れはしないが(笑))たゆまず前進せねばなるまい。

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 さて本日のテーマはノートの簡易製本。家内制手工業である。

 ぼくが使用しているのは、A5判のルースリーフ・ノート。用紙は100円ショップで上等のものが手に入る。同じものを使いたいので、まとめ買いしてある。

 A5判だと少し小さめだが、机上でパソコンのキーボードと同居させるにはこのサイズしかない。

 ノートは右側のページしか使わない。左側はリングがじゃまになって書きにくいのが第一の理由だけれど、左にたっぷり余白を残しておくと、のちのちいくらでも書き足せるから便利なのである。決してムダにしているわけではない。

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 実はルースリーフの穴には重要な役目がある。まず上下をクリップで固定してから、この穴に木工用ボンドを流しこむ。ノートの枚数が多くて厚みのあるときは、何度か接着剤を追加する必要がある。

 そのあと端がばらけないよう、さらにクリップを追加して、接着剤がベトつかなくなるのを待つ。次の工程に進む前に、接着剤が足りない穴にはさらに追加しておく。つまり液体によるネジ止めに等しい。

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 背の部分のクリップを外し、そこにボンドをたっぷり均等に塗り広げる。背に塗るだけでも一応は本の体裁になるけれど、それでは強度が足りないから、はじめに穴にボンドを注入しておいたわけである。

 なおこのとき両側から厚くてそこそこ重みのある本で押さえておくと、形がくずれない。おまじないを兼ねて辞書を使うと、(たぶん)効果が増すだろう。

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 ボンドの塗布が終わったら、クリップで端をがっちり固定して数時間待とう。

 実は写真のクリップでは約250枚が限界。今回は245枚である。100枚未満であれば、たぶん大型のステープラーで綴じるのも可能だと思うが、それを越せば、もはやアマチュア用(?)では無理だから、木工用ボンドを利用するわけだ。

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 ボンドがほぼ固まったところで表紙をつけ、製本テープで仕上げる。すぐに擦り切れぬよう、テープは二重に貼ってある。

 凝り性の人ならもっとしゃれた表紙にするところかもしれないが、実用上はまずこれで十分だろう。

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 こうしてできあがった世界でただ一冊の本を開くとこんなぐあい。この時点ではボンドがまだ完全に乾燥していないから、白いものがちらちら見えているけれど、一晩たてば強度は十分、まず最低十年は使用に耐えるにちがいない。

 一冊しかないから国会図書館には寄贈できない(笑)。お値段は……つけようがないほど値打ちがあるので invaluable ということにしておきたい。気分だけはリッチというわけ。

 もちろん家内制手工業から次の段階に進むためには、富の蓄積が必要である。だけどそれはもう無理なんだよなあ。

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May 12, 2012

Daily Oregraph: 読んでくれてありがとう

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 なんと北見方面では雪が降ったという。こちらの天気はまずまずだったけれど、風がひどく強かった。

 春採湖畔へ行ったのは、めずらしく午後。いっぺんに緑が濃くなってきた。写真の奇妙な植物はオオイタドリである。
やがてぐんぐん生長して、人の背丈ほどにもなる。

 ネコノメソウの仲間もやっと顔を出し、オオバナノエンレイソウも花はまだだが、葉を広げはじめていた。いずれ風のない日に撮ることにしよう。

 裏庭ではカタクリやウラホロイチゲが咲いていたけれど、もう盛りを過ぎているから、とてもレンズを向ける気にはなれなかった。来年はていねいに観察するつもりだ。

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 予定どおり午前中に『ジェイン・エア』を読み終えた。写真はお祝いに食べたペコちゃんのシュークリームである(たかが本を一冊読了したくらいでお祝いとはおおげさな(笑))。

 ほんとうは朝早く終わるはずだったのに、あとわずか一頁というところで、ガス湯沸し器の調子が悪いから見てほしい、というじゃまが入ったから、結局昼近くまでかかったのである。

 ばかやろう、湯沸し器と英文学とどっちが大切なんだ、と腹が立ったけれど、冷静になって考えてみれば、そりゃあ日常生活に直結している湯沸し器に軍配が上がるにきまっている。頼まれもしないのにジェインの宗教的立場について考えるなどという、文学部の下請けみたいな仕事をしたって、太平洋に小石を放りこむほどの意味もないからだ。

 一ヶ月以上も日数がかかったのは、湯沸し器のメンテナンス以外にときどき舞い込んでくるさまざまな妨害にも屈せず、悪筆ながらもていねいにノートを取ったからである。『ジュード』のときはほとんどなぐり書きに近かったノートも、このたびはずいぶん読みやすく仕上がった(と思うのだが……)。

 最近ネタがないから、明日はノートを製本する過程をご紹介するつもりである。ついでに秘密のノートの中身も特別公開しよう。え、そんなもん見たかないって? まあ、そうおっしゃらず、中身はともかく、簡易製本についてはなにかのご参考になるかもしれないのでごらんなさい。

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 さて明日からはこちらに取りかかる。四半世紀以上も前に、値段の安さにつられて買ったのである。古典のありがたさで、470頁もあるのに、たったの1.99ポンド(笑)。たぶんフル・テキストはネットで入手可能だと思うが、印刷の手間を考えれば、こちらのほうが安価ではないだろうか。

 根岸さんのブログを拝見したところ、英和辞書が手に入り次第、サリヴァン先生の評伝に取りかかるらしい。根岸さんのように感心な青年(?)は、わが日本の宝である。心よりご成功をお祈りしたい。

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May 11, 2012

Daily Oregraph: 吉凶占い

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 あ、ごめんね、この写真はウソ。去年の5月21日に裏庭で撮ったエゾヤマザクラ。今年は何日に開花するかわからないけど、これで一足早く花見をして一杯やろうという趣向なのである。

 『ジェイン・エア』の解説はあとわずか4頁。今夜中に片づけようかどうか迷ったが、やめた。やめました。おれには明日という日があるのだ。

 一般の読者を意識して平易に書かれているとはいえ、そこは百戦錬磨の文学の先生の文章である。八っつあんや熊さん、それに大家さんが連合軍を組織してかかってもかないっこない。先生、澄ました顔をして、「君たち、ちっとは勉強してから、出直していらっしゃい」てなことをいうのである。

 -熊さんといえば……おい、定吉、熊さんはどうしたね?

 -へい、旦那、まだおみえになっていませんが。

 -しょうがないね、まったく。屋根の雨漏りを直してもらう約束をしてたのに。定吉、おまえ、ちょっと行って様子を見といで。

 てなわけで、定吉どん、熊さんのところへ行ってまいりましたが、

 -旦那、いま戻りました。

 -おお、ご苦労だったね。それでどうしたい?

 -熊さんは今日は来られないそうです。

 -そりゃまたどうして?

 -今朝のおみくじが凶だったからダメなんですって。昼間っからブラックニッカをぐいぐいやってましたよ。

 -え、おみくじだって? 実にどうもあきれたね。

 これが実在の人物とは関係のないフィクションであることは、もちろんお断りするまでもあるまい。もっともおみくじを引くまでもなく、徹底的に授業をサボりつづけた男がここにいるのだから、上には上があるもの(笑)。

 さて、これから夜の花見だ。明日の吉凶を花びらで占うとしようか。

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May 10, 2012

Daily Oregraph: どないしましょ

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 つまらない写真だが、なにもないとさびしいので、8日に撮ったのを一枚。

 昨日今日と、外で写真を撮っていないので、自分がどこへ行ったのか、なにをしていたのか、どうもよく思い出せない。それではなんとなく不安だから(笑)、う~んと唸りながら考えてみた。

 そうそう、昨日はハードディスクが故障したため、午前中をほとんど棒に振ってしまったのだった。天気は……う~む、そう悪くなかったような気がする。外出は一度だけ。病院へ見舞いに行ったのである。

 午前中に時間をムダにした影響によって、予定の分を消化し終わったときには日が変わっていた。しまいのほうではウィスキーを飲みながらノートを取っていたのだから、もうむちゃくちゃでございまするがな(花菱アチャコなんて知らないだろうなあ)。

 今日は午前中にめでたく『ジェイン・エア』本文を読了。外出はやはり病院の見舞いへ行っただけ。午後遅くになってから、巻頭の序論というか解説に取りかかる。巻頭にあるものを最後に読むのは、先入観を持たずに本文を味わうためである。これは大切な心がけだと思う。

 ところがこの解説なるものが、堂々25頁の大文章だから恐れ入る。アカデミックな批評家は、ここが腕の見せ所とばかり、凝りに凝った文章を書くくせがあり、読むのに時間がかかってしょうがない。頭のいい人はこれだからなあ。

 それでもブツブツ文句をいいながら、少しずつ読んでみると、これが意外とおもしろくて勉強になる。おもしろいけど疲れる(笑)。あと二日くらいかかるんじゃないだろうか。

 しかしこんなことをつづけていると、だんだんカメラをぶら下げて歩くのがおっくうになる。あれもこれも器用にこなす余裕も力量もないから、ひとつことをはじめると、ほかがおろそかになるわけだ。

 これではいけない。気分転換をしないと、頭の中がヴィクトリア朝になってしまう。上賀茂神社へ行って神馬堂のやきもちを食うか、みたらし団子を食いに下鴨神社へ行くかしたら大いに愉快だろうとは思うのだが……切符の手配やらなにやらを考えると、面倒くさくてしかたがない。

 手近なところで、十勝あたりをドライブしようか、それとも尻羽岬か。どないしましょ。

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Daily Oregraph: ハードディスク昇天

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 いよいよ『ジェイン・エア』も最終章にたどりついた。この章はわずか5頁だから、明日(もう日が変わったから今日か)にはまちがいなく本文は終わる(文学の先生のありがたい「解説」は残るが)。

 この章はジェインが読者に結婚を報告するところからはじまるわけだが、最初の短い一文は、ずいぶん有名なものであるらしい。巻末注によれば、かのジェイムズ・ジョイスは、この文の主語が he でもなければ we でもないところに注目したという。

 いわれてみればなるほどと思う。理屈からいえばどっちでもいいようなものだし、事実辞書にも「~と結婚する、~を妻(夫)にする」とある。しかし女性が(この時点ではジェインの立場は微妙にちがってきているけれど)もともとは身分がずっと上の相手を「夫にする」などと堂々と宣言するのは、この時代にはふつうでなかったから、ジョイスは注意を促したのだろう。

 ……てなことをえらそうに書いているが、今朝(いや、昨日の朝)はひどい目にあった。パソコン版の辞書にあたりながら、こつこつノートを取っている途中で、いきなり画面が消えたのである。

 育ちが悪いものだから、なんだ、ばかやろう、人の勉強のじゃまをしやがって、と下品な文句をいいつつ、パソコンをチェックしてみたら、どうもハードディスクがいかれたらしい。リカバリーCDを起動して調べると、ハードディスクをまったく認識しない……つまりリカバリー不能というわけだ。

 あわてて保証書を引っぱり出すと、保証期間ギリギリ、危ないところであった。メーカーのサポートセンターに相談した結果、引き取って無償修理してもらえることになったのは不幸中の幸いといえる。

 ぼくはパソコンに関してはわりと用心深いほうだから、デジカメ写真のファイルは今年の3月までは完全なバックアップを保存してあるし、4月以降の分も、ほんの一部とはいえ、記録メディアから削除ずみのファイルを復活できる。文書などそのほかのデータについても、いくつか重要なものは失われたが、まず致命的というほどの損失はない。

 しかしメールについてはどうしようもない。Dドライブにバックアップ・ファイルを残してはいたのだが、外付けのHDDにコピーを取っていなかったのは油断であった。なによりもつらいのは、修理後に一から環境整備しなければならないことである。まず作業に丸一日は覚悟せねばならないからだ。

 ハードディスクが故障するときには、異音などの前兆があるということを聞くけれど、今回はそれがまったくなかった。今後はもう少し慎重に構える必要がありそうだ。

 みなさまもくれぐれもパソコンには過度の信頼を置かぬようご忠告申し上げたい。自然災害と同じで、いつなにが起こるかわからないのである。ぼくはデスクトップ2台態勢を取っているからなんとか急場をしのげたけれど、そうでなければお手上げになっていたにちがいない。

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May 08, 2012

Daily Oregraph: 主役は君

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 春採湖畔で今年はじめて目にしたタンポポ。そういえば、まともにタンポポにレンズを向けたことなどなかったような気がする。

 -掃いて捨てるほどたくさん咲いてるからって、あたいをバカにしないでよ!

 いや、どうも失敬。これまでタンポポ嬢に対し無礼を重ねてきたことを反省し、今日はこの一枚だけを掲載することにした。宝塚花組(でよかったか?)、君が主役である。

 実は今日は疲れてしまい、これ以上駄文を書く気力が失せてしまった。ではみなさん、おやすみなさい。

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May 07, 2012

Daily Oregraph: 30ポンドでは無理?

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 今日はまるでシャッターを切らなかったので、昨日撮ったうちから一枚。旧柏木小学校校舎壁面の一部である。なかなかしゃれていると思う。

 じっと写真を見ながら、むりやりネタを考える……なかなかつらいんだよ、これが(笑)。

 といったって、いまのところ『ジェイン・エア』からネタを拾うしかない。学校に関係する部分を選んでみた。


 ひょんなことから(詳細は面倒だから省略)、ジェイン嬢は開校したばかりの田舎の学校の教師として勤めることになった。といっても教師は彼女ひとりだけ。学校に併設された小さな家をあてがわれたので、事実上の住み込み働きである。年俸はガヴァネスのときと同じで、やはり30ポンド。


 生徒は近隣の貧しい農業労働者の娘ばかり20人である。授業内容は、編み物、裁縫、読み書き、算術。

 三人は字を読めるが、だれも書くことや計算はできない。編み物できるのが何人かと、少しだけ縫い物をできるのが二三人いる。みな土地の訛り丸出しでしゃべる。いまのところ、互いにことばを理解するのはむずかしい。(第3巻第5章より)

 ラジオ放送が普及するまでは、いわゆる標準語なるものを耳にしたことのない人々が地方にはたくさんいたのだろう。読み書きを勉強しなければ、もちろん標準語をきちんと理解することはできない。


 そんなわけで、日本人はもうちょっと自信をもったほうがいいと思うよ。いくら互いにことばを理解するのはむずかしいといったって、少なくとも19世紀半ばの英国の田舎の娘さんたちよりは英語の読み書きができるのだし、訛り丸出しなのはお互いさまなのだから(笑)。

 ぼくなどはジェイン嬢のような聡明な先生がいたら、ぜひ住み込みで教えてもらいたいと願っているけれど、いまどき年俸30ポンドじゃ無理だろうか?

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May 06, 2012

Daily Oregraph: 毎日が月曜日

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 緑が増えてきたといっても、まだこの程度。高齢化社会を絵にしたらこうなるのかもしれない。

 写真からもおわかりのとおり、午前中は上天気であった。ところが午後から空はぐんぐん曇ってきて、夕方からは雷雨となったのである。

 その雷がまた尋常ではなかった。釧路にしてはめずらしく、数時間以上に渡って、ひっきりなしに電光が閃き、雷鳴は耳をつんざくばかり。本州でも竜巻や落雷の被害があったと聞く。

 これは神々のお怒りにちがいない。キリスト教の神様も癇癪を破裂させたら恐ろしいが、日本の神々だっていつもおとなしくしているわけではない。ご政道の乱れを見かねて、ついに怒りを爆発させたのであろう。

 しかし願わくば無辜の民にではなく、利権まみれの連中のドジョウ、いや頭上にこそ雷を落としていただきたいものである。くわばら、くわばら。

 さて毎日が日曜日だと、さぞノンキだろうとお思いかもしれないけれど、なかなかそうでもないのである。会社勤めをやめると曜日の観念が薄れることは確かだが、ある意味では、毎日が月曜日といえるかもしれない。

 実際最近では春採湖畔へ散歩に出かけるくらいのもので、いわゆる遊びとは無縁の生活を送っている。時間があり余るどころか、昨夜なども、気がついたらいつの間にか日が変わって午前一時半になっていた。

 あちこち旅行にでも……と考えていたのに、それもだんだん面倒くさくなってきた(笑)。もう次に読む本を決めているし、時間が惜しくもある。せめてドライブくらいは、と考えてはいるのだが。

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May 04, 2012

Daily Oregraph: 夢を見ながら

 -いやあ、ひどい雨と風だったね。今日は一歩も外へ出ず……

 -読書に励んだかね?

 -いえね、午前中はガタのきた本棚の修繕やらなにやらで、ちっともはかどらなかったよ。晩飯のあとからいままで、ものもいわずに読み続けて、結局たったの15頁さ。

 -頭の悪い人はどうしようもないね。そんなことじゃ、読み終わる頃には年の暮れ。

 -うむ、そしたらまたひとつ年を取る。冥土がだんだん近づいてくるなあ。

 -まあ、そう腐るな。景気づけに、縁起のいい赤い魚はどうだい。

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 -おっ、メヌキじゃないか。

 -聞いて驚くな。一万円だぜ、一尾一万円。

 -へえ、たいしたもんだなあ。アメリカのおじさんの遺産でも転がりこんできたのか?

 -ハハハ、冗談はいいっこなし。おれに買えるわけがない。写真だけさ。こんなこともあろうかと、昨日撮っておいたんだよ。

 -なあんだ、本物を食えないところは、おれの読書といっしょじゃないか。ただ字面を追っているだけだからなあ。

 -なあに、夢を見られるだけでも十分さ。ま、一杯やろう。

 というわけで、メヌキの夢を見ながら、一杯ね。

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May 03, 2012

Daily Oregraph: 春採湖畔 新顔も登場

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 都鳥さへ一羽ぢや飛ばぬ……というわけで、今日のオオバン君は仲良く二羽で泳いでいた。

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 ときどき思いがけず日が射したのはありがたかった。日の光に喜んだのは人間様だけではなく……おっ、あれは!

 といってもおわかりにならぬかもしれないが、プロの眼は鋭い(笑)。白い点々のようなものが見えないだろうか。

 ここはいつもなら4月の24日頃にはアズマイチゲが咲く場所なのに、今年はまったく姿を見せなかったから、半ばあきらめかけていたのである。

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 左が上の写真の場所で本日開花したばかりのもの。右が先日来ご紹介している、日当たりのよい北岸の斜面に咲くアズマイチゲである。やはりこの花は開花したての遠慮がちな姿が一番美しいと思う。

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 こちらは食用になるニリンソウの葉である。これによく似ているエゾトリカブトの葉を誤って食べ、中毒を起こしたという事件が今年もあった。花が咲くのは中旬以降になるだろう。

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 今日の新顔はハコベ。北岸の斜面である。なあんだ、ハコベか、などとバカにしてはいけない。

 最後に(ぼくとしては)大ニュースをひとつ。

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 しばらく遠ざかっていた裏庭へ行ってみると、今年はもうダメとあきらめていた場所にフクジュソウが咲いていた。もうとっくに盛りを過ぎているから、かなり前に開花したのだろう。

 植物は弱々しそうに見えて、実は案外タフなのである。やはりこまめに観察しなくてはいけない。

 ああ、フクジュソウが元気だったのはいいけれど、積もりに積もった枯葉を片づけなくては!

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May 02, 2012

Daily Oregraph: 疲れちゃったの

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 今日もうっすらと霧がかかっていた。冬に脱ぎ捨てたコートを着るほどではなかったが、ちょっと肌寒い。それでも春採湖畔を歩いているうちに体が温まってきた。

 道内でもあちこちで桜が開花したらしい。しかし釧路の開花予想は18日だから、当分花見の写真は無理というものである。

 しかたがないので、ゴシック・ロマン風味たっぷりの不気味な写真を撮って、本日の一日一枚とした。カラーである意味がまったくないので(笑)、えいやっとばかり白黒に変換してしまった。

 なにしろ春採湖畔にしか行っていないから、まるでネタがない。また『ジェイン・エア』に頼るとしよう。

 わけあって屋敷を出奔したジェイン嬢は、わずかの所持金を使い果たし、職を得ようにも知らぬ土地ではままならず、気の毒にも野宿をしたり物乞いをしたり、しまいには餓死寸前のありさま。ある夜遠くに見える明かりに誘われ、最後の力をふりしぼって、とある一軒家にたどり着く。

 窓から室内の様子をうかがうと、テーブルのそばでは婆さんがひとり靴下を編んでいる。暖炉の前では、少女がふたり、椅子に座って熱心に本を読んでいる。

 その本というのがふつうではない。ドイツ語の本、しかもシラーの戯曲なのだから恐れ入る。ドイツ語の文章が引用されているのにはギョッとしたが(笑)、巻末注に訳文があったのでホッとした。どうやらふたりは辞書を頼りにドイツ語の勉強をしているらしい。

 使用人とおぼしき婆さんには(この時点ではジェインにも)、もちろんドイツ語などさっぱりわからない。そんな勉強をして、なにかいいことでもあるのかね、などと現実主義丸出しのことをいう。

 「いつか教えるつもりなの。ほんの初歩だけでもね。そうすれば、いまよりもお金が入るでしょ」

 シラーを読んで感激するほどの実力があれば、かならず夢はかなうだろう。一家の経済に寄与しようというんだから、えらいなあ。

 「そうだね。でも勉強はもうおやめ。今夜はもう十分」

 「十分よね。私疲れちゃった。メアリ、あなたは?」

 「とっても。だって先生はいないし、辞書だけで外国語をこつこつ勉強するのはたいへんなんだもの」


 -君、見たまえ、少女でさえ倦まずたゆまずドイツ語の本を読んでいるのだから、君も酒を食らってばかりいるわけにはいかないじゃないか。ちっとは反省してはどうだい。

 -へい、ごもっともです。だけど私も今夜は疲れちゃったから、一杯やりながら反省いたしましょう。

 -ばかな男だ。ところで、この話のつづきはどうなったんだい?

 -へへへ、あなたも知りたいでしょう? ぼくもなんですよ。

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Daily Oregraph: 五月は霧とともに

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 五月は霧とともにはじまった。

 実はドライブも考えたのだが、来週まで天気が悪いという。結局今日もまた春採湖畔……もうタイトルのつけようがなくなってしまった(笑)。

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 霧の粒を置いたエゾエンゴサク。

 霧のせいでもあるまいが、本日の読書は、一日かかってたったの10頁。スピード・ラーニングで英語ペラペラの(?)石川遼君にくらべれば、頭の悪さ歴然たるものがあるなあ(笑)。

 さてイーディス・ホートン女史(Edith Horton, 1871-1920)の『自然誌(Nature Notes)』という愛すべき書物には、例の「時は春 日は朝……」というブラウニング(Browning)の詩が五月の項目に引用されている。

 してみると、英国では五月になってようやく春の喜びをかみしめるらしい。これは北海道東部の住人の感覚にぴったり一致する。

 また同書には、

  Change not a clout, till May be out.
 (五月が過ぎるまではボロでも脱ぐな)

  Who doffs his coat on a winter's day
   Will gladly put it on in May.
  (冬の日にコートを脱ぐ人も
   五月には喜んで身につけるもの)


という民間に伝わることばが紹介されている。これまた五月の時ならぬ寒さを知るぼくたちには、実感としてよくわかるのである。

 歳時記では立春(おおむね2月4日)から立夏(おおむね5月6日)までが春。したがって本州の人にとって5月の初めは春の終わりに当たるから、ブラウニングの詩の情景はもっと早い時期のものだと考えるはずである。

 だからいったでしょう。英文学を実感の湧かない東京や京都で勉強してもダメ、道東、とりわけ釧路が最適なんだって(笑)。

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