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May 10, 2012

Daily Oregraph: ハードディスク昇天

0510jane
 いよいよ『ジェイン・エア』も最終章にたどりついた。この章はわずか5頁だから、明日(もう日が変わったから今日か)にはまちがいなく本文は終わる(文学の先生のありがたい「解説」は残るが)。

 この章はジェインが読者に結婚を報告するところからはじまるわけだが、最初の短い一文は、ずいぶん有名なものであるらしい。巻末注によれば、かのジェイムズ・ジョイスは、この文の主語が he でもなければ we でもないところに注目したという。

 いわれてみればなるほどと思う。理屈からいえばどっちでもいいようなものだし、事実辞書にも「~と結婚する、~を妻(夫)にする」とある。しかし女性が(この時点ではジェインの立場は微妙にちがってきているけれど)もともとは身分がずっと上の相手を「夫にする」などと堂々と宣言するのは、この時代にはふつうでなかったから、ジョイスは注意を促したのだろう。

 ……てなことをえらそうに書いているが、今朝(いや、昨日の朝)はひどい目にあった。パソコン版の辞書にあたりながら、こつこつノートを取っている途中で、いきなり画面が消えたのである。

 育ちが悪いものだから、なんだ、ばかやろう、人の勉強のじゃまをしやがって、と下品な文句をいいつつ、パソコンをチェックしてみたら、どうもハードディスクがいかれたらしい。リカバリーCDを起動して調べると、ハードディスクをまったく認識しない……つまりリカバリー不能というわけだ。

 あわてて保証書を引っぱり出すと、保証期間ギリギリ、危ないところであった。メーカーのサポートセンターに相談した結果、引き取って無償修理してもらえることになったのは不幸中の幸いといえる。

 ぼくはパソコンに関してはわりと用心深いほうだから、デジカメ写真のファイルは今年の3月までは完全なバックアップを保存してあるし、4月以降の分も、ほんの一部とはいえ、記録メディアから削除ずみのファイルを復活できる。文書などそのほかのデータについても、いくつか重要なものは失われたが、まず致命的というほどの損失はない。

 しかしメールについてはどうしようもない。Dドライブにバックアップ・ファイルを残してはいたのだが、外付けのHDDにコピーを取っていなかったのは油断であった。なによりもつらいのは、修理後に一から環境整備しなければならないことである。まず作業に丸一日は覚悟せねばならないからだ。

 ハードディスクが故障するときには、異音などの前兆があるということを聞くけれど、今回はそれがまったくなかった。今後はもう少し慎重に構える必要がありそうだ。

 みなさまもくれぐれもパソコンには過度の信頼を置かぬようご忠告申し上げたい。自然災害と同じで、いつなにが起こるかわからないのである。ぼくはデスクトップ2台態勢を取っているからなんとか急場をしのげたけれど、そうでなければお手上げになっていたにちがいない。

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Comments

http://www.forest.impress.co.jp/lib/sys/hrdbnch/hardinfo/crdiskinfo.html

これで定期的にチェックしてます。
しかし、日立が海外ブランドに買収されてしまって、選択肢が無いです…どれも海外製

Posted by: 佐々木@東京 | May 10, 2012 04:34

こんにちは。
ハードディスクがやられたこと、乙山もあります。
ただ、それは外付けHDだったのでコンピューター自体は
動いてくれているのでなんとか助かりました。
バックアップのつもりで増設した外付けHDなのに、
それがやられるなんて……もう某社の製品は買いません。
デスクトップ2台というのは必要かもしれませんね。
とりあえずノート型ひとつで済ませているので、
何かと不安があります。

Posted by: 只野乙山 | May 10, 2012 08:46

ハードディスク自体は消耗品なんで
ある耐用年数を過ぎるとクラッシュするそうです。
うちの職場は保存すべきデータは必ずDVDに焼きます。

詳しいでしょ
何を隔そう、数か月前にクラッシュして
大さわぎになりました。
その時の教訓です。

Posted by: 根岸冬生 | May 10, 2012 16:30

>佐々木@東京さん

 どうもありがとうございます。いまダウンロードしたので、近日中に使ってみます。

 しかし万全の対策というのは(むちゃくちゃお金をかければ別でしょうが……)、現実にはないでしょうね。

 ハードディスクというのは、構造的に危うい記録媒体ですから、いずれもっと安定したものに取って代われるような予感がいたします。

Posted by: 薄氷堂 | May 10, 2012 20:56

>只野乙山さん

 工業製品にあたりはずれがあるのは困りますが、案外あるんですよね。

 故障しないものは何年たってもビクともしないんですけど、ひどいのに当たると災難です。

 内蔵、外付けを問わず、HDDは信用なりませんが、外付けを同時に複数使えば、少しは安心できるかもしれません。しかしそれはそれで日常的に手数がかかりますしねえ。困ったものです。

Posted by: 薄氷堂 | May 10, 2012 21:02

>根岸冬生さん

 製品にばらつきがあるせいか、その耐用年数なるものが怪しいから困るんです。

 今回のぼくのケースは、保証期間内ですから、わずか一年未満ですよ。ですから、かりに平均耐用年数なるものがあるとして、それ以内だからといって油断するのは禁物だと思います。

 よくよく考えてみれば、人間の耐用年数もまったく同じですね(笑)。

Posted by: 薄氷堂 | May 10, 2012 21:07

私なんかいつハードディスクが言ったっても大丈夫なように、大事なデータは作らないようにしています。
したがって・・・我がコンピューターには、何時失われても大丈夫なデータばっかり・・・・うう~ん、諸行無常・・・

Posted by: 三友亭主人 | May 10, 2012 22:21

>三友亭さん

 実はぼくだって、たいして値打ちのあるデータは持っていないんですよ。

 でもたとえ10円玉だって、床へ落としたら、やっぱり探して拾いたくなるでしょう? みつからなかったら、夜も眠れなかったりね(笑)。

Posted by: 薄氷堂 | May 11, 2012 00:07

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