Daily Oregraph: 春採湖畔 最後の氷
ひどい霧で遠くが見えない。今日で最後と思っていた定点撮影だったけれど……
最後に残った氷が、昨夜来の南風によって、東西約数十メートルに渡り、旧柏木小学校裏手の北岸に吹き寄せられていた。
写真は上が東側、下が西側である。あいにくの霧のため、遠くから全体を収めることはできず、岸辺ギリギリから撮るしかなかった。
そんな次第で、明日も春採湖畔に出勤せねばならない。
今日はこのあとディーラーで車の定期点検とタイヤの交換をすませたり、なかなか落ち着いて読書に専念できなかったけれど、たいへん感動的な場面にさしかかり、ついホロリとしてしまった。
第2巻第8章の、ジェインのせりふから、ほんの一部だけ引用しておこう。和訳の必要はないだろうと思う。
I am a free human being with an independent will.
いまどきこんなせりふを書く小説家はいまいと思うが、なんといってもこの小説が出版されたのは1847年だから、当時の読者は目を見張ったはずである。女の分際でなにを小生意気な、と腹を立てた保守派もいたにちがいない。
一日中携帯電話に依存しているおにいちゃん、おねえちゃんには、このことばをぜひ味わってほしいと思う。そこで飲んだくれているおじさん、あんたもだよ……って、おれもそうか。
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Comments
I am a free human being with an independent will.
いやあ・・・美しい言葉ですなあ。家の者の脅威にさらされている私が一度は行って見たい言葉ですが、いつそんな日が来るやら・・・
だとすれば、今の私に許されているのは「飲んだくれ」ることだけ・・・それも監視付きですが・・・
Posted by: 三友亭主人 | April 26, 2012 22:42
チェルノブイリから26年! あっという間でしたが、まさかあのころは、自分達がそれよりも酷い目に遭うなんて、想像していずに、子どもを受け入れ、支援を続ける気力も余裕もありました。
我が家も子ども3人をあずかり、毎日ハナジを出している甲状腺障害の子を心配したものです。いまや、自分が食品の安全性や、瓦礫なんて受け入れるらしいといわれて震撼しております。
26年前は、春採湖の氷がとけたねぇ・・・と言い、欧州旅行を計画していたら、チェルノブイリの事故が起きたので、旅行の資金を総て反原発運動とベラルーシのこの保養運動に当てました。・・・あれからずーーーと、そんなことばっかししています。
Posted by: ありす | April 26, 2012 23:23
>三友亭さん
いいことばですよね、ほんとに。高校生あたりには暗記してほしいくらい。
21世紀の青年からすれば、なにをいまさらというようなセリフかもしれませんが、なんと明治維新の20年も前に出版された小説ですからね。
お互い、反省しつつ飲んだくれようではありませんか。
Posted by: 薄氷堂 | April 26, 2012 23:25
>ありすさん
わかる人にはいわなくてもわかるけれど、そうでない人にはいってもわからない。原発にかぎらず、ある問題について同じ意見の人同士がいくら集まって知識を深め合っても、そうでない人たちにはなかなか伝わらない。
それどころか溝は深まるばかり……問題はそこですね。
たいへん時間のかかる話ですが、まったく変わらないというわけでもない……165年前に書かれた小説を読みながら、そんなことを考えています。
Posted by: 薄氷堂 | April 27, 2012 00:26