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March 30, 2012

Daily Oregraph: ドジョウ風邪

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 しつこい風邪である。治りそうで治らないというこの執拗さは……そうだなあ、不退転の決意で人に取り憑く疫病神のごときドジョウ風邪とでも名づけるとしようか。いや、ちゃんと根拠はあるのだ。現にさきほどTVのニュースでドジョウの顔を見たとたんにクシャミが出た。しゃくにさわるから、すぐにチャンネルを切り替えたことは申し上げるまでもない。

 われわれはドジョウと戦う。タンボでも戦う。鍋を囲んでも戦う。われわれは二本の箸をにぎりしめ、ビール、日本酒、焼酎をぐいぐい飲みながら戦う。We shall never surrender.

 結局ほぼ一週間を棒に振ってしまったことになる。根岸さんは60度のパイチューを飲めとおっしゃるのだが、もう九分九厘まで回復していることだし、パイチューを服用しても効き目がなければもうほかに頼るべきものはないのだから、気分転換を兼ねて温泉療法を採用することにした。

 ひさしぶりの山花温泉リフレ。平日だというのに、多くの無職のおじさんが湯につかっているのには一驚した。この分だと、あと十年もすればおじさんだらけになるのではないだろうか。

 もう道路の雪はすっかり消えているけれど、山花の牧草地はまだ雪に埋もれていた。わびしいといえばわびしいのだが、美的見地からいえば、枯草だらけの景色よりはずっとましかもしれない。

 露天風呂の中で屈伸運動もしたことだし、明日の朝には生まれ変わったフレッシュな自分がいるはずである……たぶん(笑)。

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March 24, 2012

Daily Oregraph: 招かれざる雪

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 春の雪。予報では明日も降るらしい。

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 この季節の雪はすぐ融けるとはいえ、二日も降りつづけば雪かきせずにすませるわけにはいかないだろう。

 『ジュード』のノートを取り終わるのは明日になる。雪かきなんぞしたくないなあ(笑)。

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March 23, 2012

Daily Oregraph: 星いくつ?

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 先日岩波文庫の定価が星で示されていたことについて触れた。ぼくの記憶では星ひとつ50円だが、三友亭さんの頃は70円だったらしい。

 うんと昔はどうだっただろうかと思って本棚を探したら、昭和14年には星ひとつ20銭。この頃はちゃんと星の数と定価がいっしょに示されているけれど、

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その後星だけになった時期があり、1980年代頃からだろうか、星が消えて定価だけ表示されるようになった。21世紀になってからは一冊も購入していないが(ごめんなさい)、現在では定価はカバーにのみ表示されているはずである。

 写真左の本を買ったときには星ひとついくらだったか忘れたけれど、まさか50円ではなかったはずで、70円以上、たぶん100円くらいではなかっただろうか。『漱石俳句集』は厚さからして、昔ならたぶん星ふたつだと思う。だとすれば星ひとつ約200円である。

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 さて、これが本日届いた中公文庫『日陰者ジュード』(川本静子訳)上下2冊である。ページ数から考えると、昔の岩波文庫換算で上巻が星三つ、下巻が星四つくらいだろう。星ひとつあたり約400円の計算になる。

 せこい話で申し訳ないが、いかに物価水準が昔とちがうとはいえ、これでは気軽に買えるのが命の文庫本としてはいささか高すぎるような気がする。せめて星ひとつ300円未満に抑えていただきたいところだ。いくらデフレとはいえ、まさか20銭にしろとは申しませぬが。

 なお川本先生の翻訳、さすがこの道一筋の学者の手になるものだけあって、すでにノートに取った部分をいくつか対照してみたところ、たいへん教えられるところの多いすぐれた訳文である。

 まだノートを取り終わっていないので、作業完了次第、一頁目からじっくり読ませていただくつもり。川本先生(津田塾大学名誉教授)は2010年にお亡くなりになったらしい。まことに出来の悪い学生ではあるが、線香を上げるかわりに、まじめに勉強することでご冥福をお祈りしたいと思う。

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March 22, 2012

Daily Oregraph: 2011年3月11日を振り返る

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 三友亭さんがブログに昨年の大震災に関する記事をお書きになっているので、ぼくも昨年の3月11日を振り返ってみた。未公開の写真を二枚お目にかけたいと思う。

 東北の大被害とはとても比較にならぬ軽微な被害だったとはいえ、写真のとおり港から500メートルほど離れた駐車場の一番奥まで海水は押し寄せた。このあとこの車がどういう運命をたどったかは、こちらをお読みいただきたい。

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 西港の大通りは完全に水没した。遠くに走行中の車が見えるけれど、これも結局は廃車になったはずだ。車は流されなければ無事というわけではないのである。

 東北沿岸ではこれに十倍する海水が猛烈な勢いで押し寄せたのだから、人も車も家もひとたまりもなかったことは想像に難くない。平地に住宅街の広がる釧路の場合、高台へ逃げるか、その余裕がなければ車を捨てて、一刻も早くビルの上階へ避難するしか方法はない。

 特に付近に高台のない西港周辺では、あらかじめ指定避難場所を設け、各事業所ごとにどこへ避難するということを決めておかなければ混乱を招き、大被害は必至だろう。

 一年もたてばつい忘れてしまいがちになるので、自戒をこめて。

【追記】

 今日は日中なにかと用事があり、たまたま西港方面を通ったついでに、2枚目の写真とほぼ同じ位置から道路を撮影したのが、本日の一日一枚となった。

 つまらない写真だが、比較してごらんいただければと思う。

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 なお、保険会社では現在ふたたび自動車保険の地噴津特約を引き受けている。ただし代理店の方のお話によると、上限が50万円に引き下げられた一方、全損を認定する水没ラインは、ドアの下あたりから座席の高さにまで引き上げられたようである。特約を付ける場合は、よくお確かめになったほうがいいと思う。

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March 21, 2012

Daily Oregraph: さがしものみつからず

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 ひさしぶりに市立図書館へ行って『ジュード』の翻訳を探したがみつからなかった。蔵書検索しても引っかからない。

 ないものはしかたがないからあきらめて、岩波文庫の並んでいる書棚をチェックしたら、『ねじの回転』があった。旺文社文庫版が入手困難になったいま、これは朗報である。ぼくもいずれお世話になるかもしれないね。

 帰宅後アマゾンで『ジュード』を検索したら、なんと中公文庫版上下2冊で2,600円もするのには驚いた(ついでに文庫本2冊もの分量があったことにもビックリした)。岩波文庫の星ひとつ50円の時代が頭にあるから(笑)、べらぼうな値段だと思う。しかし古本屋を探すのも面倒なので、しゃくにさわるけどポチッと押してしまった。

 これで翻訳の出来が悪かったら怒り心頭に発するところだけれど、まずそれはないだろう。翻訳者は当然古いものに目を通して誤りをチェックしているにちがいなく、一般に新しい翻訳のほうがすぐれているからだ。

 人間だれしもうっかりミスは避けられないのだから、あまりきびしく追求しすぎるのもどうかとは思うが、何十年も前に出版された翻訳ものには、ときどき粗悪品が混じっているから要注意だと思う。

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March 18, 2012

Daily Oregraph: 最後の定点撮影

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 ああ、今シーズンの定点撮影もこれで終わりだな。南埠頭に立って、そう思った。

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 夕食後『ジュード』をもう少しだけ読んでおこうと本を開いたら、主人公が次々と不幸と苦難に見舞われるこの小説のうちでも、もっとも悲惨かつ深刻な場面にすっかり引きずりこまれてしまった。まだ80ページほど残っているのだが、すでにすっかり気が重くなって、定点撮影などどうでもよくなり、駄文を書く元気を失ってしまった。

 ろくな語学力も持ち合わせていない外国人に、しかも悲劇が大の苦手な男に、一章まるごと一気に読ませてしまう筆力は、さすが大家の名にふさわしいものがある。読後感想文を書くつもりはさらさらないけれど、生きているうちに読んでおいて損のない傑作であるとだけ申し上げておきたい。

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March 17, 2012

Daily Oregraph: 雨の夜のホッケ

 夕方から雨。こういう晩はしみじみとたべものの話でも。

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 いわずとしれたホッケの開き。先日カレイといっしょにいただいたものである。全長42センチもあるから、もちろん一人では食べきれない(ペロリとたいらげる人もいるのだろうが)。

 干しかげんのいいホッケは身離れがいい。魚を食うのがへたくそな人にもやさしい魚なのである。脂の乗った身がうまいのはもちろんだが、焦がさずに焼けば皮もおいしく食べられる。歯が丈夫なら、骨だっていける。

 昔は東京あたりの田舎(笑)では、ホッケを知らない人が多かった。しかし東京はあらゆる意味で貪欲なマチだから、このうまい魚を放っておくはずがなく、いまではいくらでも食べられるらしい。

 別に一杯やらなくたってホッケはうまいものだ。晩飯のおかずとして一切れ食べたばかりの本人がいうのだからまちがいない。

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March 16, 2012

Daily Oregraph: ちょっとだけ旭町

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 今日はたまたま旭町の近くへ行ったので、ほんの少しだけ付近を歩いてみた。旭町というのは釧路川右岸、おおざっぱにいって久寿里橋と旭橋との間の地域を指す。

 このあたりも左岸同様岸壁は再開発され、昔の面影をほとんどとどめていない。めったに来ない場所なので、比較すべき写真も数少ないのだが、2002年3月10日に撮影した写真を三枚だけお目にかけよう。

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 上は上流側から下流側を、中はその反対側から撮ったもの。当時すでに変化の波が押し寄せ、一番上の写真だけがかろうじて昔の姿を想像させてくれる。1970年代頃だったら、もっと風情のある景色を鑑賞できたにちがいない。

 今日は事前準備なしだったうえ、あまりにも景色が変わっていたため、ボーッとして河岸の写真を撮らなかったが、新興住宅地の岸壁版といった印象を受け、わざわざ撮影する値打ちがあるとは思えなかった。

 唯一残っていたのが最後の写真の小屋である。

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 ごらんのとおり、そっくりそのまま残っており、まさに孤軍奮闘である。例によって、勝手に重要文化財に認定することにした。たまに無事を確認しに行かなくては。

 なお本日の写真、いずれもひどく露出オーバーだったので、カメラをチェックしてみると、なぜか露出補正プラス一段にセットされていた。大失敗の巻だけれど、最近のデジカメはレタッチすればここまで調整が効くのだから、ずいぶん進歩したものである。

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March 13, 2012

Daily Oregraph: 駅裏スケッチ (2)

 毎度申し上げるように、美術館に行けばアートを鑑賞できるのはあたりまえ。それはそれで結構なのだが、折り紙つきの美術作品をかしこまって拝見するのは、どうも窮屈でかなわないから、ぼくはその種の施設にはめったに足を運ばないのである。

 野良犬は野良犬らしく、マチをうろついて残飯、いや、拾いものをあさるのが似合っているように思う。

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 ふしぎに人目を引きつけるドアというものがある。理由はわからないけれど、穿鑿するには及ばない。まあ、ちょっと寄っていけ、と声をかけられたようなものだと考えている。

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 路地を歩けば、あちこちのドアから声をかけられるのだが、最後の一枚などは、役目を終えたドアとでも呼べばいいだろうか。

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 壁は人間でいえば皮膚みたいなものである。じいさん、ばあさんの顔に刻まれたシワには案外味があるように、壁もまた年月とともに一種の風格がにじみ出てくるものだ。

 この壁などは、新しいうちは模様が安っぽくて鑑賞にたえなかったにちがいないけれど、いまや立派なアートの域に達したように見える。

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 時間をかけて駅裏をほっつき歩けば、おもしろいものがまだまだみつかるんじゃないだろうか。ひょっとしたら不審人物にされかねないけれど(笑)。

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March 12, 2012

Daily Oregraph: 駅裏スケッチ (1)

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 まずは釧路駅で一服して方針を立てる。例によって行きあたりばったりなのである。

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 今日の冴えない空模様にふさわしいのは、やはり駅裏であろう。かなり雪どけが進んだけれど、日陰にはまだこんな道路がある。

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 写真右手が、以前何度かご紹介した鉄北センターのある釧路駅方向である。このあたりは白金町で、少し先へ行くと若松町。

 今日は主に通りの左手を歩いてみた。まずは大通りに面したところを三枚ほどお目にかけよう。

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 三枚目の写真は、ちょうど鉄北センターの向かいあたり。古くから開けた地域だということがおわかりいただけると思う。路地裏派の心をそそる場所である。

 看板を外したお店はもちろんだが、店先の雪を見れば、営業しているかどうかすぐにわかる。これから内部へ向かうので、以下注意しながらごらんいただきたい。

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 これはすぐ上の写真の場所を反対側からみたところ。

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 こういう路地がいくつかある。

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 ここは若松町。飲食店街のほぼ東端にあたる。

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 上の写真の裏手あたり。雪かきのあとが見られないから、ここらへんのお店は全滅のようだ。

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 この小路は一軒だけ営業中らしい。2000年7月20日に撮った写真があるので、比較のため掲載しておこう。

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 実はこのあとも徹底的に写真を撮るつもりだったのだが、このへんで腹痛に襲われ、急いで駅へ戻ったため果たせなかった。いずれ再訪することにしたい。

 釧路市に駅裏を再開発する余力があるかどうかはわからないけれど、この地区がこれから何十年もいまの姿をとどめているとは考えにくい。路地裏もまた都市の魅力のひとつにはちがいなく、いまのうちにぜひ記録しておきたいのである。

 次回はいつものとおり(笑)、物好き写真編をおまけとしてごらんいただくつもりである。

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March 11, 2012

Daily Oregraph: 定点撮影 3月11日

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 定点撮影もそろそろ終わりに近づいてきたようだ。あと一二回というところだろうか。

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 港町岸壁近くの氷はほとんど姿を消し、雪のかたまりみたいなものがプカプカ浮いていた。

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 とはいえ、外はまだ冷え冷えとして、ときどき花びらのように大きい雪がちらりほらりと舞い降りてくる。釧路で本物の桜の花びらが散るのは五月も下旬だから、えらく気の長い話なのである。

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March 09, 2012

Daily Oregraph: 春採5~6丁目を歩く

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 部屋を片づけていたら、1998年1月発行の釧路市街図がみつかった。西港を見ると、まだ第4埠頭はなく、近海郵船のフェリーターミナルが示されている。もっと古い市街図も欲しいのだが、いまとなってはこれだってお宝といえるかもしれない。

 さて今日は地図の赤い線で囲った部分、つまり春採5丁目と6丁目を歩いてみた。時間があればもう少し範囲を広げたのだが、いずれまた歩く機会はあるだろう。

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 まずは出発点にあたる春採中学校前の歩道橋からレンズを東へ向けてみた。通りをはさんで、写真左手が春採5丁目、右手が6丁目である。

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 このスーパー・フクハラは、なんとなくパチンコ店の建物を再利用したように見えるけれど、1998年の地図にはすでに「フクハラ」と記されているので、ちょっと自信がない。

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 フクハラから東へ向かって前進すると、やがてこの建物が見えてくる。これはまちがいなくパチンコ店跡である。


 しばらく地元のスーパーがここで営業していたけれど、いまは売り物件になっている。なにしろスーパー業界は過当競争気味だから、どうしても地元小資本は弱いのである。

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 このあたりは昔ほどのにぎわいは見られないものの、一応は商店街だからあちこちに飲食店もあり、案外退屈しないで歩くことができる。

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 望洋橋手前の交番。いまのところは中途半端な印象を受けるが、あと二十年ほど経てば古色を帯びて、味のある建物になるんじゃないかと期待している。ぼくの審美眼を疑ってはいけない(笑)。

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 たいして歩いていないからちょっと不満は残るが、時間の都合もあり、望洋橋を渡ったところで今日の取材はおしまい。

 なお橋のこちら側は桜ヶ岡。あらためて取材しようと思っている。

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March 08, 2012

Daily Oregraph: 本日休業

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 今日はほんの少しだけ読書がはかどった。一日一枚を実行できなかったので、2001年3月17日十勝にて撮影した写真でもどうぞ。

 人っ子ひとりいない場所でこういう景色をながめるのも悪くないものだ。人間長く同じ場所にとどまっていると気分が腐ってくるから、たまには遠出も必要である。

 しかし出かけるのは『ジュード』を片づけたあとだなあ。いよいよ本腰を入れなくちゃいけないか。

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March 07, 2012

Daily Oregraph: ほんにこの世は

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 昨夜はせっかく穏やかな夜を迎えたのに、

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一夜明ければまた雪が5センチほど積もっていた。またしても雪かきである。たいした量でないとはいえ、湿った雪には重さがあり、I'm snow-tired.

 いつものとおり、臨港鉄道沿いに知人まで行くつもりで散歩に出たけれど、一昨日からの雪がそのまま残っているので、歩きにくくてしかたがない。結局ここであきらめて引き返すことにした。

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 風もないのに海はシケていた。空は奇妙な色をしているが、カメラのせいではない。まさにこのとおりであった。

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 あなたヒマ人だから、さぞ読書がはかどるでしょうね、という方がおいでかもしれないけれど、世の中そう甘くはない。時間がある分だけていねいに雪かきもするし、三度の飯を食わせてもらう都合があるから、運転手もあい勤めねばならぬ。

 鉛筆より重いものを持ったことのない男がスコップを振り回せば、肩はボキボキ音を立てるし、ノートを取ろうとすれば手がブルブル震える(酒のせいではない)。ウンウンうなりながらこみいった文章と格闘していると、お出かけの時間になる。この中断がつらいのである。

 いっそ国境のトンネルを抜けて雪国へ逃亡し、温泉宿で読書に専念したいところだが、駒子にほれられるどころか、そんなことをしたらたちまち経済制裁されかねない。まあ、一杯の芋焼酎で我慢しておくとしよう。

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March 06, 2012

Daily Oregraph: 雪中桜

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 昨夜からの雪は朝までに10センチほど積もり、そのあとも夕方までチラチラと舞いつづけて、結局たいして重労働ではなかったけれど、今日は二度も雪かきをするはめになった。

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 そんなお疲れのあなたには、もちろん正当な報酬が与えられねばならない。桜の絵柄の芋焼酎などはいかがだろうか。

 桜島に咲き誇る桜の淡いピンクと、北国の真っ白な雪との取り合わせが美しい……なんてね、自分で選んだわけだけど(笑)、センスのよさをほめておきたいのである。

 酔っ払いにセンスもへったくれもあるかという、まことにもっともな疑問は別にして、さあ、これから一杯やって、今夜は早めに寝るとしよう。

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March 05, 2012

Daily Oregraph: 定点撮影 3月5日

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 三月に入り、氷はかなりやせ細ってきた。とはいえ、今日の最高気温はまだマイナスだし、雲が多いので外は冷え冷えとしている。

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 港町岸壁で撮った二枚の写真、上は11時37分、下は11時59分。まさか二十数分のうちに氷がこんなに融けたわけではなく、風のせいなのだろうが、万物は常に変わりゆくといういい見本である。

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 入舟岸壁から見た釧路川には、もう板状の氷は流れていなかった。曇り空だから寒々しく冴えない景色で、これじゃ観光パンフレットには使えない。

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 ついでだから、このあたりの景色をもう一枚。ふつうはこんなしょうもない写真を載せないものだが、リアリズムを標榜する当ブログは、ふつうではなくてまことに申し訳ない(笑)。

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March 04, 2012

Daily Oregraph: 丘の上から

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 いつものように旧柏木小学校校舎裏に車を停め、さてどうしようかと考えた。春採湖畔の散歩道も悪くはないけれど、植物観察の時期はまだまだ先だし、ただ運動のためだけに歩くのはいかにも味気ない。

 そこで新しい散歩ルートを開拓すべく、坂道を上がってまずは富士見3丁目バス停付近へ。奥のほうにちらりと見える信号から左折すればハローワーク、かつて湖陵高校のあった場所である。

 今日は写真の方向とは逆に道をたどり、住吉の路地をうろうろしたのだが、この辺はもう昔風の木造家屋は皆無に近く、正直いってあまりおもしろみはない。

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 途中の写真は省略するが、いつの間にか鶴ヶ岱公園の裏手へ出た。ここはひさしぶりである。

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 ルートの選択を誤ったかなといささか後悔しつつ、ふたたびバス通りに出て湖畔へ戻るつもりで歩いていると、こんな看板に出くわした。

 へえ、こんな施設があったのか。いつもは車で素通りするから、まったく気づかなかったのである。人間好奇心を失ってはおしまいだから、矢印にしたがって見物することにした。

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 もちろん日曜日だから閉館しているのは承知の上である。このあたりから湖畔へ降りる細道でもありはしないか、確かめてみたかったのだ。

 建物の裏側へ回ってみよう。

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 湖畔へ降りる道はなかったけれど、ここからだとはじめてのアングルから湖畔を撮影できそうだ。靴の中に雪が入りこむのもかまわず前進する。

 この写真ではわからないが、丘の先端に出るためには、さらに数十メートル歩かなければならない。

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 まずは旧柏木小学校方向。方角でいえば、ほぼ南西にあたる。

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 こちらは東である。絶景というわけではないけれど、ちょっと新鮮な感じがする。やはりあちこち歩き回ればいいこともあるのだ。

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 思わぬ収穫があったので気をよくしてバス通りへ戻ると、一人の少年が元気に挨拶してぼくを走り抜いていった。ツルツル滑る道をものともせずに、軽やかに走っていくのである。

 彼の若さは実にうらやましいが、いいさ、おれはゆっくり歩いていくんだ。

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March 03, 2012

Daily Oregraph: 春採湖畔

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 なんとなくロシアの散歩道みたいだが、これはトンボの池のあたり。道は凍ったところもあれば圧雪状態のところもある。

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 だんだん薄日が射してきた。ゴマツリ岬付近の日当たりのよい道は、雪が融けてぬかるみになっている。つまりどこも歩きにくいわけだが、何人か走っている人がいたのには驚いた。

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 岸辺近くにスキーの跡があったので、ぼくも氷上を少しだけ歩いてみた。凍結した湖面には、20センチ近く雪が積もっている。

 -まあ、たいへん! あの人、死ぬつもりかしら。

 対岸のチャランケチャシまで渡ってみたかったけれど、お節介な人に警察に通報されては困るからやめておいた。

 ジュードは氷の端に片足を乗せ、それからもう一方の足を乗せた。体の重みで氷にはヒビが入ったけれど、彼はひるまなかった。ミシミシと音を立てる氷の上を、彼は池のまん中へ向かってどんどん進んでいった。ほぼまん中辺に着くと、あたりを見回してから、彼は氷を蹴って飛んだ。またしても氷にヒビは入ったが、体は沈まなかった。ふたたび飛び跳ねたが、もうヒビは入らなかった。(トマス・ハーディ 『日陰者ジュード』より)

 これは氷の張った池で自殺をはかる場面なのだが、目的を果たせなかった主人公はいかにも間が抜けている。この小説は悲劇の大傑作とされているけれど、けっしてお涙ちょうだいの文章ではなく、皮肉や風刺も効いているから、悲喜劇というのが適当ではないかと、ぼくは思いはじめている。

 もちろん春採湖の氷はかなり厚いし、羽根のように軽いぼくの体を乗せたからといってヒビひとつ入らず、第一いまのところ急いで死ぬ理由もないのだから、無事生還したことは申し上げるまでもない。

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 それにしても満目蕭条たる景色は雛祭りの時期にふさわしくない。なにか彩りはないかと思って探したけれど、こんなものしか見あたらなかった。もちろんこれを緑と呼べればの話だが……

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March 02, 2012

Daily Oregraph: ネジをひねれば

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 多くの日本の港がそうであるように、釧路にもまた漁港としての顔と国際貿易港としての顔がある。

 しかしたいへん残念なことに、現在テロ対策のため外航船バースにはフェンスがはりめぐされ、港湾管理者の発行する通行証なしには立ち入ることができない。正直いってテロ対策としてはほとんど役に立たないと思うけれど、密輸防止には一定の効果はあるかもしれない。

 通行証を返納した以上、いまのぼくはただの怪しいおっさんにすぎないから、漁港をウロウロするしかないので、これからは副港(漁港区)のあたりを少し歩いてみようと思っている。今日は古い建物などを撮影したのだが、それらはもっと撮りためてからまとめることにして、しょうもない写真を数枚だけ掲載しておこう。

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 作業のじゃまをしてはいけないから、ちょっと離れたところから腰の引けた写真しか撮れないが、慣れれば要領がよくなるかもしれない。岸壁をウロチョロしていれば、一年にいっぺんくらいはどやされることがあるかもしれないけれど、そのくらいは覚悟する必要がある。

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 魚あるところにはカモメあり。おこぼれにあずかろうと岸壁をうろついているのだが、連中はひどく不器用だから、シシャモなどはともかく大型の魚には手を出せない。たまに混じっている雑魚が岸壁に捨てられるのを狙っているのだろう。

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 魚箱の中をのぞいてみるとマダラである。なるほどこれはカモメには処理しきれない。ごちそうを目の前にして、気の毒といえば気の毒だが、つくづくまぬけな鳥だと思う。ぼくには哲学的なカモメというのが想像もつかない。

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 賢い人間様はぼんやり魚箱をながめたりせずに、スーパーで一尾97円のスケソウダラを買い求め、鍋にして食うのである。

 マダラよりもいっそう淡泊で上品な味は、若者向きではないかもしれない。しかし天下の美味を食べつくした(ウソ、ウソ)山の手のじいさんには最高のごちそうなのである。

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 さて話題はがらりと変わって……昨日ブログの更新をさぼったのは、ネットで動画をあれこれ見ていたからである。

 実はいま読んでいるハーディが片づいたら、次は以前途中で放り出したままの『ネジの回転(The Turn of the Screw)』に取りかかろうと考えている。これはヘンリー・ジェイムズ(Henry James)の小説で、正統派も正統派、純文学ホラーの傑作として有名だから、ご存じの方も多いだろうと思う。

 この作品は1961年に映画化され、NHKで放映されたことがある。ぼくはそれを中学生のときに観たのだが、実に不気味な映画で、当時はほんとうに怖かった。原作を知ったのはずっとあとの話である。

 ところが、古い映画だからすでにパブリック・ドメインになっているはずだと思い、ネット検索したのだが、昨夜はどうしてもみつからなかった。YouTubeには2009年に放映されたBBCのTVドラマ作品があったけれど、どうも脚色が気に入らなかった。いろいろな解釈が可能な、原作の謎めいた性格によるのかもしれないけれど、小説をあまりいじくり回すのはどうかと思う。

 今日もう一度調べなおしたら、映画のタイトルは『ネジの回転』ではなく、The Innocents (邦題は『回転』らしいけれど、ちょっと無理がある)であることがわかった。主演はデボラ・カー。さっそく全編をダウンロードしたところ、画質・音質ともに良好、実にありがたい世の中である。まだはじめのほうしか観ていないが、白黒画面は陰影に富んで美しいし、妙にひねりすぎていないところがいい。

 なお
『ネジの回転』という奇妙なタイトルについては、話の中に幼いこどもが登場すると、ネジをひねるように話にもひねりが加わる、つまり独特の効果が生まれるのだ、ということが一ページ目に書かれている。

 ネジをひねるとわかるように、見えなかったものが見えてきたり、見えていたものが見えなくなったり、ちょっと意味深だから、みなさん解釈の泥沼にはまってしまうのだろう。善良なる市民としては、素直に怖さを楽しめばいいのかもしれない。

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