Daily Oregraph: 星いくつ?
先日岩波文庫の定価が星で示されていたことについて触れた。ぼくの記憶では星ひとつ50円だが、三友亭さんの頃は70円だったらしい。
うんと昔はどうだっただろうかと思って本棚を探したら、昭和14年には星ひとつ20銭。この頃はちゃんと星の数と定価がいっしょに示されているけれど、
その後星だけになった時期があり、1980年代頃からだろうか、星が消えて定価だけ表示されるようになった。21世紀になってからは一冊も購入していないが(ごめんなさい)、現在では定価はカバーにのみ表示されているはずである。
写真左の本を買ったときには星ひとついくらだったか忘れたけれど、まさか50円ではなかったはずで、70円以上、たぶん100円くらいではなかっただろうか。『漱石俳句集』は厚さからして、昔ならたぶん星ふたつだと思う。だとすれば星ひとつ約200円である。
さて、これが本日届いた中公文庫『日陰者ジュード』(川本静子訳)上下2冊である。ページ数から考えると、昔の岩波文庫換算で上巻が星三つ、下巻が星四つくらいだろう。星ひとつあたり約400円の計算になる。
せこい話で申し訳ないが、いかに物価水準が昔とちがうとはいえ、これでは気軽に買えるのが命の文庫本としてはいささか高すぎるような気がする。せめて星ひとつ300円未満に抑えていただきたいところだ。いくらデフレとはいえ、まさか20銭にしろとは申しませぬが。
なお川本先生の翻訳、さすがこの道一筋の学者の手になるものだけあって、すでにノートに取った部分をいくつか対照してみたところ、たいへん教えられるところの多いすぐれた訳文である。
まだノートを取り終わっていないので、作業完了次第、一頁目からじっくり読ませていただくつもり。川本先生(津田塾大学名誉教授)は2010年にお亡くなりになったらしい。まことに出来の悪い学生ではあるが、線香を上げるかわりに、まじめに勉強することでご冥福をお祈りしたいと思う。
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Comments
こんばんは!
たしかに以前、文庫本といえば300円くらいで
買えたような気がしますが、今はそうではありません。
本自体が売れなくなっているので、その分上乗せしないと
採算が合わないのでしょう。
それにしても文庫本に1000円以上とは!
Posted by: 只野乙山 | March 24, 2012 21:09
確かに岩波文庫は星がついていましたね。
しかし、本当に高くなった。
結局、文庫なんかは常備しなければ不便ですし
書店在庫分を刷らなければいけないので
割高になるような気がします。
僕は本はほとんど、アマゾンの中古品ですね。
新しい本は飛行機会社のマイル提携しているネット販売
しかも送料なしのものです。
マイルは必需品なんで。
Posted by: 根岸冬生 | March 24, 2012 21:59
>只野乙山さん
文庫本が一冊千円以上もするのでは、なかなか売れないだろうと思います。売れなければ安くできない……悪循環ですね。
>根岸冬生さん
ぼくも中古品にしようかと思ったのですが、中古品だと送料がかかったり、それほど得でもないようでしたので新品を注文した次第です。
値段にかかわらず、本棚の本は増やしたくないので、今ではよほどのことがなければ買おうという気にはなれませんね。それどころか、もっと本を捨てたいと思っているのです。
最低限必要な本だけ残し、すっきりとした部屋で芋焼酎を飲むのが理想です(笑)。
Posted by: 薄氷堂 | March 25, 2012 00:12