Daily Oregraph: 駅裏スケッチ (2)
毎度申し上げるように、美術館に行けばアートを鑑賞できるのはあたりまえ。それはそれで結構なのだが、折り紙つきの美術作品をかしこまって拝見するのは、どうも窮屈でかなわないから、ぼくはその種の施設にはめったに足を運ばないのである。
野良犬は野良犬らしく、マチをうろついて残飯、いや、拾いものをあさるのが似合っているように思う。
ふしぎに人目を引きつけるドアというものがある。理由はわからないけれど、穿鑿するには及ばない。まあ、ちょっと寄っていけ、と声をかけられたようなものだと考えている。
路地を歩けば、あちこちのドアから声をかけられるのだが、最後の一枚などは、役目を終えたドアとでも呼べばいいだろうか。
壁は人間でいえば皮膚みたいなものである。じいさん、ばあさんの顔に刻まれたシワには案外味があるように、壁もまた年月とともに一種の風格がにじみ出てくるものだ。
この壁などは、新しいうちは模様が安っぽくて鑑賞にたえなかったにちがいないけれど、いまや立派なアートの域に達したように見える。
時間をかけて駅裏をほっつき歩けば、おもしろいものがまだまだみつかるんじゃないだろうか。ひょっとしたら不審人物にされかねないけれど(笑)。
The comments to this entry are closed.
Comments
いやあ~いつにもまして今日はシュールな作品で・・・
「さすがっいよっ巨匠」(笑)
ほんと、冗談ではなく「美」というものを今は開くことのなくなったような扉に感じました。
先日のコメント欄で薄氷堂さんがおっしゃった桜井の本町当たり・・・一度行ってこんな趣深い扉を探してもよいかと思うのですが、いつでも行けると思うとなかなか行けないもので・・・
Posted by: 三友亭主人 | March 13, 2012 22:46
>三友亭さん
本町商店街、ぜひ行きましょうよ(笑)。古いお店もまじっているようですし、きっとおもしろいと思うんですが。
もしぼくに十分資金があったら、今日はこの町、明日はあの町と、全国の商店街めぐりをするでしょうね。
Posted by: 薄氷堂 | March 13, 2012 23:34
うー、三枚目の写真のドアというか佇まいが良いですねぇ。
もし違う人生だったらこんなドアを開けるとちょっと不機嫌な顔して立っているオバさんになりたかったかも~。
ウールの着物なんか着ちゃって・・・・愛想は悪いけど人は良いみたいな・・・・
飲み屋なのに「なべ焼き」だって出しちゃう!というのが急所だったのかもしれません。
(なんだかよく分らないこと言ってますけども)
Posted by: りら | March 14, 2012 05:35
>りらさん
> ドアを開けるとちょっと不機嫌な顔して立っているオバさんになりたかったかも~。
「あら、あんたまた来たの。先月の払いもまだ済んでないのに」なんてね(笑)。
「そんなこといわずにさ。頼むよ、一杯」
Posted by: 薄氷堂 | March 14, 2012 23:31