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February 28, 2012

Daily Oregraph: 特集 釧路 2000-2012 (3)

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 大町岸壁。この青空をごらんいただきたい。これぞ上天気の見本という、釧路自慢の冬空である。

 今日は用事があってこの近くまで来たので、せっかくだから大町界隈を少し歩いてみた。駅裏一帯を鉄北(鉄道の北)というように、このあたりは幣舞橋の南側にあたるから、橋南と呼ばれることがある。

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 このあたりも昔の面影をとどめる建物はどんどん姿を消しているのだが、ふだんの散歩コースから外れているため、あいにく写真はそう多く撮っていない。

 今回は手元にある数少ない写真をもとに、ここ十年の変化を見ることにしたい。

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   2000年8月24日(上) 2012年2月28日(下)

 取り壊し中の建物はたしか製氷工場ではなかったかと思う。現在その跡地に建っているのは某宗教法人の礼拝所である。

 たった一枚だけ、製氷工場の建物の一部が写ったしょうもない写真があるので、ご参考までに。ここはいつか記録写真を撮ろうと思っているうちに取り壊されてしまったのである。

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   2000年5月31日撮影

 画素数の少ないデジカメで撮ったため、等倍でチェックしても建物の壁の文字がはっきり読み取れないけれど、「?営製?工場」とあるので、たぶん市営製氷工場だろう。ユニークな建物だったから、きちんと撮影しておけばよかった。

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 2000年5月3日(上) 同7月16日(中) 2001年11月4日(下)

 大町3丁目1番。本日の主役である。次郎長食堂、釣具店そしていか針店と、いかにも漁港らしい一角である。現在も建物はそっくり残っているのだが……

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   以上2012年2月28日撮影。

すでにどのお店も看板を外し、人の出入りしている形跡がない。いずれ取り壊される運命なのだろう。

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   2000年7月16日(上) 2012年2月28日(下)

 なぜか気に入っている(笑)この倉庫は健在。がっちりした建物だから、当分は残るんじゃないかと思う。

 大町もそうだが、南大通あたりもまともな写真が少ないのは、結局2000年当時には、すでにレンズを向けたくなるような建物が激減していたせいだろうと思う。カメラを手にして歩くにはすでに時機を失していたのである。

 昭和三十年代の町並みがあちこちに残っていればまだしも、啄木通りと銘打って売り出すのは無理がありすぎる。いまさら面影をしのべといわれたって無理な話というものだ。

 とはいえ、マチはこれからも確実に変わってゆくのだから、将来比較しやすいように系統立てて記録写真を撮りつづけることは必要だと思う。

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Comments

おおお!!!いか針!!
あのもしゃもしゃという感じに上を向いた針が生え揃っているやつのことでしょうか?(モガ針)
ワタクシ、こう見えましても実は一時期イカ釣り猟師だったんです。って・・・好きで行っていただけなんですけど。
(真冬の二ヶ月ほど週に4、5日は夜釣りに行ってました。お陰で胃潰瘍が治りました。)
夜の海に漂う電気浮き・・・人生の無常を思うにはあまりにピッタリな情景で、この私でも烏賊釣り哲学者になれます。
はっ・・・・何を言っているんだ・・・・

懐古趣味は好きじゃない!などと嘯きながら、この町並みには惹かれてしまいますねぇ。

Posted by: りら | February 29, 2012 04:05

>りらさん

 これはまた意外なお話ですね。イカ釣りの哲学者というのはすごい。もちろん帯の柄にもイカが……

 ところで町並みの記録なんですが、懐古趣味というよりも、日常の景色というものはこんなにも大きく変わるのか、という素朴な驚きがもともとの動機なんです。

 でもここ十年ばかり撮りつづけているうちに、一種の使命感のようなものが……(笑)

Posted by: 薄氷堂 | February 29, 2012 17:44

はじめまして。 ハンカクサイ酔っ払い徘徊ブログのおじさんです・・

薄氷堂さんの、ツボを押えた素晴らしい写真と、味のある文章を楽しみに、いつも拝見させていただいております。
なにげなく通り過ぎていた大町あたりが懐かしいです。
僅か10年ほど前にはまだ人の営みがあったんですね!
おじさんも港の廻りや街並みをウロウロしながら写真撮ってるんですが、昔の写真は全然ないんです・・
また懐かしい写真がありましたら、時々アップしていただけたらと勝手に思っています。

Posted by: 亮おじさん | February 29, 2012 18:42

ほんとうは釧路の経済を考えたら
どんどんは発展して昔の建物はいずこ
何ていうのがいいのかもしれません。
しかし、どこの都会とも変わらない風景で
あまり酒なんか飲みたくありませんわなあ。
やはり釧路は釧路の酒。
とすると汚い暖簾の煤けた炉端になっちゃいますか。

Posted by: 根岸冬生 | February 29, 2012 20:27

>亮おじさんさま

 コメントありがとうございます。

 酒と料理の日々を過ごしていらっしゃるおじさまですね。ブログでご活躍ぶりを拝見しております。今後ともよろしくお願いいたします。

 さてなにげない町並みの写真は、みんなでドンドン撮っておいたほうがいいと思います。昔はカメラが貴重品だったので、戦前戦後のマチを記録した写真はあまり残っていませんが、いまやデジカメの時代ですから撮り放題です。

 木造のボロ家が並んでいた頃は、あまりにもあたりまえの景色ゆえに、ふつうの人は記録写真を撮っておこうなどとは思いもしなかったはずですが、いつの間にか町並みは一変してしまいました。

 また同じことが起こるかもしれませんね。

 町並みだけでなく、飲食店だって時代とともに変わりますから、おじさまもぜひ記録活動(笑)にお励みください。

Posted by: 薄氷堂 | February 29, 2012 21:22

>根岸冬生さん

> どこの都会とも変わらない風景で

 それなんですよ、残念なのは。どこへ行っても似たり寄ったり。たとえば札幌の中心街なんてつまらないでしょう。

 浦河や美瑛の一見こぎれいな町並みなんかも、映画のセットみたいでつまらないですしね。

 古いものがなんでもいいとはいいませんし、いつまでも残るわけはないんですけど、それに代わる新しいものがたいてい無趣味でつまらないから、「三丁目の夕日」がヒットするんですよ。単純に懐古趣味とばかりはいいきれませんね。

 港町に古くからある飲屋街などは比較的個性的ですが、それもだんだんつまらなくなっているような気がします。

Posted by: 薄氷堂 | February 29, 2012 21:34

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