Daily Oregraph: つん読数十年
日本海側は大荒れだったらしい。こちらは雪も降らず上天気だったけれど、猛烈な強風が吹きまくった。
春採湖畔で少し写真を撮ろうとしたのだが、体ごと吹き飛ばされそうになったのでさっさと撤退し、ちらかった部屋に戻って、神妙なる面持ちである本を開いたとお思いいただきたい。
『レッド・オクトーバー』が先日やっと片づいたので、いよいよ純文学路線へ転向するときがきたのである。なにしろ本棚に飾ったままの本が多い。必読の古典も少なからずまじっている。必読なのに放りっぱなしにしておいたのは、ひとえに不勉強のせいだから、いいわけはできない。
背表紙だけ見るといずれも新品だけれど、紙が黄色に変色しかかっているのはまだいいほうで、徹底的に乾燥しているため、開くとパリパリ音がしてページが外れそうなものまである。
どれから手をつけようかさんざん迷った末、トマス・ハーディ(Thomas Hardy)の『日陰者ジュード(Jude the Obscure)』に決めたのは、気楽な本を選んで自分を甘やかさぬためである。なにしろ重量級の作品ゆえ、潜水艦のドンパチ小説のようなわけにはいかないが、途中で投げ出すつもりはまったくない。もうあとがないから、背水の陣なのである。
これまで途中で放り出した本は数知れないが、かくも悲壮なる決意をブログ上で表明しておけば、みっともなくて逃げ出すわけにはいくまい、という計算も働いている(笑)。
さて気分を変えて、トロチコさんからいただいたコメントにある釧路中央小学校(旧寿小学校)の写真をどうぞ。
「おや、ここが中央小学校になったのか」とシャッターを切ったのだが、あまりにもしょうもない写真だから(笑)掲載しなかったのである。
写真からはちょっとわかりにくいけれど、裏手のほうではたしか体育館の新築工事が行われている。
おまけとして、宝湯が写っている一枚。実は宝湯を正面からも撮りたかったのだが、駐車中の車がじゃまだったのであきらめたのである。
今回は撮影後にコメントが寄せられたので、冴えない写真しかお見せできず、まことに遺憾である。釧路ファンのご要望にはできるだけお応えするのが当社の方針なので、ごらんになりたい場所があれば、どうかご遠慮なくリクエストしていただければと思う。
【2月22日追記】
旧寿小学校校庭にある像(2002年5月9日撮影)。トロチコさんによると、夜中にクルクル回り出すといううわさがあったらしい。なるほどそんなことがあってもおかしくないように見える。学校の怪談としては上出来の部類だろう。
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Comments
>途中で放り出した本は数知れないが
「途中」まで進めばご立派でしょう。
私なんぞは買うだけ買って、そのまんま本棚の肥やしになっている本が数知れず・・・
結局目を通すこともなく古本屋に。そしてそのお金で買った書物も我が家の歌本棚を借りの宿りに、その数年後には古本屋へ・・・
何をしていることやら・・・・
Posted by: 三友亭主人 | February 22, 2012 06:18
僕も自慢ではないですが
積んどく本は山ほどありますね。
しかし、洋書なるものは読んだことがありません。
性格が忍耐強くできていませんので。
Posted by: 根岸冬生 | February 22, 2012 08:15
>三友亭さん
五年や十年ならまだしも、二十年から三十年、ものによっては四十年ですからねえ。
それだけ寝かせたら、ブランデーや泡盛なら極上の味になるんですけど(笑)。
>根岸冬生さん
ぼくも気は短いんですけど、たしかに根気としつこさは必要ですね。『蘭学事始』ですよ、まったく。
一方思い切りのよさも必要です。考えても考えてもわからないときは、エイヤッと見切りをつけないと、ちっとも先へ進めませんから、あっというまにご臨終を迎えてしまうでしょう(笑)。
Posted by: 薄氷堂 | February 22, 2012 13:57
写真ありがとうございます。
自分が通っていた頃の校舎と全く変わっていないことに当時の懐かしさがよみがえってきました。校庭内にある銅像も当時のままでした。ちなみにあの銅像はちょっとした噂があり、夜中あの銅像の前を通ると銅像の女の子たちがくるくる回ると言うにわか信じがたい噂なのですがあの頃はみな信じていたというちょっと笑ってしまうような噂の銅像でした。相長も当時のままですね。よく宝湯の帰りに買い物をしていました。私の家は港に程近かった為に買い物をするお店がなく唯一相長センターが我が家の食卓を支えていました。
Posted by: トロチコ | February 22, 2012 16:29
>トロチコさん
相長センターは昔のままでしたか。こちらのお店は副港に近いので、漁船相手のご商売もしているようですね。
旧寿小の、夜中になるとクルクル回るという謎の像ですが、十年前に撮った写真を追加しておきました。
Posted by: 薄氷堂 | February 22, 2012 19:53
おお、小学校卒業以来見ましたわ。
実はこの銅像は交通事故でなくなった子達の像であり、
相当昔の話ですが、当時小学校の向かいの国道で、ちょうど歩道橋のあたりだったと思いますが、車にはねられてなくなってしまった子供たちが銅像のモデルになったと言うものなのです。若干記憶が曖昧なのではっきりとは断言できませんが消防車か救急車に跳ねられてしまった子供たちだそうです。当時の記憶を後世に伝える為にあの銅像が建ったと私が小学校の頃校長先生に聞いた事があります。それがどう言う経緯で夜中にくるくる回る銅像になったのかは知りませんがあの銅像にはそんな悲しいエピソードがあったのです。懐かしいですね。当時は学校の横の国道は確かに交通量が多かったのも事実ですが、そこまでひどい事故だったとは誰も思ってはいなかっただろうと思います。時はある意味むごいものですね。忘れ去られてしまうと同時に子供たちの銅像も今では単なるモニュメント的なものに成り下がっているのだから、いやぁ懐かしいものを拝見できて感謝しています。ありがとうございました。
Posted by: トロチコ | February 22, 2012 21:52
>トロチコさん
そういうエピソードがあったとは知りませんでした。
実はあの写真、かなり苦労して撮ったものなんですよ。
ずいぶん窮屈な画面になっているのは、隅に余計なものが写りこんでしまうからなのです。ほんとうは望遠レンズを使って背景をもっとぼかせばいいんでしょうけど、腕前とレンズが不足していたものですから(笑)。
ここで話題にしたので、今夜あたりクルクル回っているかもしれませんね。
Posted by: 薄氷堂 | February 22, 2012 23:34