Daily Oregraph: 勝負あった
このところ寒い日がつづいている。しかし気温が低い朝はたいてい天気がよく、風もない。薄い板氷の浮かぶ釧路川も波ひとつ立たず、まるで鏡のようである。
作業中の漁師さんたちを横目に見ながらほっつき歩いていると、
カモメが餌の魚と格闘していた。手がないということは実に不便な話で、おおいに同情しながら見ていると、抜け目のないカラスがやってきた。
カラスは無関心を装って、あっちの方向を向いているが、内心では不器用なカモメが魚をもて余して放棄するのを待っているのである。頭がいいといおうか、狡猾といおうか、ちょっと底知れぬところがある。
この勝負、どうなるか興味があったので、最後まで見届けようとカメラを構えていたら(ヒマだねえ)、
カモメはしばらく悪戦苦闘していたが、みごとに魚を飲み込むことに成功した。決定的瞬間である。カラスはあいかわらず知らんぷりしているが、地団駄を踏んでいたにちがいない。
それにしてもカモメの食事とは、実に味気ないものだ。うまいもまずいもあったものではなく、ただ魚を胃袋へ押し込むだけなのだから。
さて魚をめぐる静かな闘いはこうして終わったけれど、アメリカの大統領選挙はこれからが本番……とまあ、例によって話の持っていきようは強引だが、今日の古新聞記事は2011年6月4日のものである。
ビン・ラディン殺害の約一ヶ月後だけに、下院選敗北以来低迷していたオバマさんの支持率は一気に上昇して人気を盛り返し、共和党のごたごたも幸いして、いまやオバマを倒しうる敵は「経済」のみという記事内容である。やはり古新聞だなあ。
よその国で勝手に軍事行動を展開し、丸腰の容疑者を裁判にもかけず射殺するという、西部劇でもご法度とされるテロ行為まがいの大バクチを打って、せっかく支持率を上げたというのに、最近ではオバマ再選危うしという見方が一般的だから、まさに経済問題がオバマさんの前に大きく立ちはだかっているのだろう。
アメリカの大統領はとにかく弱みを見せず、ウソでもいいからタフであることを演じつづけなければならないという、なかなか大変な商売らしい。金に困っているわけではなし、そんなばかげた苦労をせずに田舎でノンビリ暮らしてはどうか、とぼくなどは思うのだが、これは少数意見(笑)。
オバマさんの運命にはたいして同情も興味もないけれど、これから消費税がどれだけ上がるか知れないから、日本にはもう無心しないでほしいものである。
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Comments
>アメリカの大統領はとにかく弱みを見せず、ウソでもいいからタフであることを演じつづけなければならない
・・・本当に大変だなって思いますよ。
けど、なんか今私たちの国もそんな指導者を求めようとしている気がしてならなんですが、気のせいでしょうか。しかも、アメリカみたいに4年間は待たなきゃならないという制約もない。ちょっと気に入らなかったらポイ捨て・・・
だから4年間の任期を持っているどこぞの首長に一国の政権党が、あるいは旧政権党がすり寄らなくなっちゃう・・・
昔からこの国は長にもっとおっとりとした方を理想としていたはずなんですがね。
Posted by: 三友亭主人 | January 18, 2012 20:01
>三友亭さん
ぼくは党派を問わず政治家という種族が大の苦手なので、一切信用していません。
それから愛国心などを声高に主張する連中もね。
旗がどうの、歌がどうのと、白い旗がある日いきなり赤い旗に変わっても、歌の内容が一変しても、顔色ひとつ変えず、昨日まで同様、進んで起立してペコペコ頭を下げ、大声で歌を歌うつもりなんでしょうか。底が浅すぎますね。
ぼくはぼくなりに、この国の愛すべき文化伝統を大事にするつもりですが、条例などで強制するのは思い上がりだし、見当ちがいもはなはだしいと思っています。お上が口を出すなど、余計なお世話ですよ。
Posted by: 薄氷堂 | January 18, 2012 22:10