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January 16, 2012

Daily Oregraph: テキサスの赤いバラ

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 雪が少ないので裏庭へ行ってみたら、バラの赤い実がまだ残っていた。そこで枝の先をへし折り、雪に挿して前衛活花とシャレてみた。白と赤の対比が売り物ね。流派は無手勝流である。

 こいつは白バラなのだが実は赤い。バラ、赤い、といえばテキサスというわけで(強引なマクラ(笑))、今日の古新聞記事(2011年8月24日)はテキサスの奇跡についてである。

 ここ十年ほどでアメリカ全体では140万人の雇用が喪失したというのに、テキサスでは100万人もの雇用が創出された。これがテキサスの奇跡である。人口もこの十年で20% 増加し、2,510万人になった。

 NASAや大規模な軍事施設があるし、人口も多いから多額の国家予算が注ぎこまれている。比較的営業税が低く、州所得税がない。おまけに土地は広大で、利用制限もゆるいため、企業はたしかに進出しやすい。

 だから一見万々歳のようだが、世の中そんなうまい話ばかりあるはずもなく、みんながバラ色の生活を送っているわけではない。

 まず労働者の6分の一は公共部門に属するというから驚きだが、これには人口増も関係している。人口が増えれば教員や警官なども増員しなければならないからだ。しかしこれは予算がカットされれば人員も削減される、という不安要素でもある。

 テキサスの労働人口の約1割は、アメリカの最低賃金である時給7.25ドル(記事掲載当時)かそれ以下。人口の4分の一以上がヘルス・ケアの対象外である。生徒一人あたりの教育支出は全米44位と低く、一方収入格差の割合の高さでは全米第9位だという。

 つまり企業には有利な土地である分だけ労働者は恵まれておらず、テキサスの赤いバラもだんだん色あせて見えてくるようだ。健康政策や教育に不熱心だと、そもそもの出発点からして、低所得者層は圧倒的に不利である。

 実は教育に予算を出し渋るのは問題なのである。高卒の資格を有する成人の数が全米最下位という土地柄だから、せっかく求人需要があるのに、企業は有能な人材の確保に苦労し、労働者の側では低賃金の仕事に甘んじるという悲劇が生じているという。

 この記事には、ある銀行家の発言として、教育程度と収入には相関関係がある、you earn what you learn なのだということが書かれている。いまやアメリカでは借金をして大学を卒業しても、なかなかまともな職につけないという深刻な事態になっているようだが、教育が重要だというのはもちろん正しい認識だと思う。

 さてここまで読むと、思いは遙かテキサスから釧路の現実に引き戻され、最近なにかと話題になっている当市の教育水準の低下が気になってくる。もともと成績優秀な諸君は市外、道外へ流出してしまうことが多いのだから別にしても、問題は日本の圧倒的な強みでありつづけた教育中間層の減少だろう。

 ひょっとしたら、悪名高いゆとり教育も、これまたグローバル化、実は日本の弱体化をはかるアメリカ化の陰謀(笑)ではなかったのかとさえ思えてくる。最近では、教育関係ブログによれば読み書きも九九もあやしい生徒が多いというのに、小学校高学年で英語の授業をしようというのは、どうも不自然でおかしい。

 冗談をいっている場合じゃなく、テキサスよりもはるかに景気の悪い釧路にあって、貧乏の拡大再生産という悪夢を見たくはない。そこのあなた
こどもが勉強しないのは、回りの大人が不勉強なのも原因のひとつなのだから、酒ばかりくらっていないで学問しなくちゃいけないよ……と、酔っ払いがついえらそうなことをいってしまった。反省しとります。

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Comments

今の教育の課題の最重要点はまさに

>問題は日本の圧倒的な強みでありつづけた教育中間層の減少だろう。

この点に尽きると思います。今は大学に通っている子どもが中学校の頃、学校から渡されたその生徒たちの点数分布を見て驚いたものです。

グラフが見事に80点前後の大和20点前後の山に分かれている・・・・

うちの息子は見事に数少ないその二つの山の間にありました。

お前は本当に貴重品だなあと息子を褒めてやりました。

Posted by: 三友亭主人 | January 16, 2012 at 22:57

>三友亭さん

 う~む、国のまほろば大和にして成績の格差が拡大しているわけですね。

 いったいどうなってしまったんでしょうか。ぼくらがこどもの頃は一クラス50名以上だったのに、いまはずっと少なくなりましたよね。だから先生の目が届かないというのは理由になりませんしねえ。

 経済格差すなわち学力格差というのも、わが国の場合は単純にそうとはいいきれなかったと思います。

 かつては貧しくて進学できなくとも、進んで独学をつづけ、いまどきのインフレ大学卒をはるかにしのぐ教養を身につけた人が少なくありませんでした。それこそ日本が世界に誇る美点だったはずなのに。

 防人の歌が残るほどの文化国なんですから、ここはひとふんばりしなくてはいけませんね。

Posted by: 薄氷堂 | January 16, 2012 at 23:34

テキサスは・・・「独立国になれ」というジョークもあるほどで、元々週によって法律が違うという国ですから、州ごとの違いは日本では想像でき難いほどです。
テキサス出身と言うと、一定のイメージを持たれるようですし。
「進化論には疑問を持っている」という人間が州知事になる州ですしねぇ。

「大学を出ても・・・」これは実際に息子が進学する年になって「問題はどこの大学に行くか?では無くて、その上の院だから」という考えがあるのを知って、厳しさを実感しました。

日本の格差は、「勉強ができること」が第一!という子供に対する価値観というのも大きな一因なのではないでしょうか?
「できない子には道が無い」そんな感じを強く受けます。
運動会の順位付けは平気で無くすくせに、偏差値重視、一発勝負の入試体制はちっとも変えようとしませんものねぇ。
「塾に行かないと大学に行けない」なんて、本当におかしいです。

っと・・・ワタクシごときが長々と失礼いたしました。えへへ

Posted by: りら | January 17, 2012 at 03:10

>りらさん

 おっしゃるとおり、州の独立性が高いアメリカはふしぎな国のようですね。ちょっと日本人には理解しにくいところがあります。

 さていまや日本の大学は、一流大学がどうのとゼイタクをいわず、どこでもいいというのであれば、塾なんか行かなくとも入れます。

 なにしろこれから倒産あるいは統合されるであろう私立大学がゴロゴロしていますからね。母校を失う卒業生が大勢出現することでしょう。

 日本でも、ふつうの大学をふつうの成績で卒業したってまともに就職するのがむずかしい時代になりました。

 大学院なるものも、就職困難者の駆け込み寺と化している場合さえあり、まさに終末のタンゴですね。

Posted by: 薄氷堂 | January 17, 2012 at 22:49

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