Daily Oregraph: 終末の晩餐
一夜明けて……二日酔いにならなかったのはありがたい。結局は酒量が減った、つまり飲めなくなったせいなのだろう。
より少ない酒で酔うのは経済的だし、アル中への道をまっしぐらに歩むよりはマシなのだから、もちろん悲しむには及ばない。
食事だってそうだ。いつの間にかたくさん食べられなくなってくるのである。昔は無芸大食といって自嘲したものだが、最近では大食は自慢すべきことらしく、そちら系のブログをたくさん見かける。
みなさんほれぼれするような食べっぷりだけど、野坂昭如の終末のタンゴじゃないが、
どんな大食にも 必ず終わりはくる
わけだから、肉体の衰えに直面しても狼狽せぬよう、いまから心の準備を怠らぬようおすすめしたい。
ではもとヤセの大食い、いまはグルメ失格のぼくが、昨夜の料理をご紹介しよう。
さよう、年を取るとね、刺身もこれが適量なんだよ。大皿に山盛りというのは豪華なれど、余はそんなにいりませぬ。
茶碗蒸しはうまいものだが、写真には撮りにくい。熱いうちにふたを開ければ、湯気が立ってマシに見えたかもしれない。まあ、これをうまそうに撮るのがプロというものなのであろう。
とても上手に撮れそうもないから、ぼくはさっさと食べてしまった。
アナゴの天ぷら。これも適量、上品なものである。
ババガレイの煮つけ。ババガレイはたいていもっと大きく、身も分厚いのだが、腹が膨れぬよう配慮して、小ぶりなものを選んだのは店主の見識である。
このサイズでも食べ応えは十分、大型のをドンと出されたら持てあましたにちがいない。
アンキモ。酒の肴としては極上である。これもちょっぴりいただくのがいい。これを丼いっぱい出されたら、せっかくうまいものもまずく見えるにちがいない。
このあと握り鮨がたしか六貫ほどと赤出汁一椀。握りもシャリの量は少な目だったから、すべて食べ終わって腹八分目。料理のほかに酒も飲むわけだし、足し算すればちょうどいい分量であった。
なお味についてあれこれ書かなかったのは、見た目は写真で間に合うとしても、味を伝えるのは至難のわざだからである。ああ、うまかった、ごちそうさま、といっておこう。
料理も上品なら、客もお上品(笑)、まずは上出来の忘年会であった。
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Comments
すっかりご無沙汰しており、失礼いたしました。
っと伺ったら・・・・いきなりこの記事!!
っひ~!!悶絶です。
食べ物は言葉で伝えるよりも、巧い画像ですねぇ。
(私は食べ物画像が全く駄目で・・・)
ところで、お刺身の上の方の赤身に脂が乗っているのはまぐろなんですか?
Posted by: りら | December 10, 2011 06:43
どれもこれも・・・大和にあってはよだれの出そうな魚たちばかりですね。
とくにババガレイ、宮城ではナメタカレイと呼んでいるやつです。これの煮つけはお正月には欠かせないものなんですが、大和では全くといって見当たりません。
最近は冬に帰郷することもなかったので、もう何年食べていないでしょうか・・・・
Posted by: 三友亭主人 | December 10, 2011 07:52
>りらさん
いらっしゃいませ。お元気そうでなによりです。こちらこそご無礼しております。
食べ物の描写はほんとにむずかしいですよね。ぼくもダメ。能書きはいいから本物を食わせろよ(笑)といいたくなることがあります。
マグロの刺身ですが、どの部位か聞いておけばよかったですね。あんた、どこの山出しなの、とバカにされたら恥ずかしいので、つい聞きそびれました。愚かですね。反省。
>三友亭さん
奈良ホテルのご馳走はどうでしたか?
宮城県ではお正月にババガレイ(ナメタガレイ)の煮つけというのは、おもしろい風習ですね。釧路では聞いたことがありません。
大和の国には海がありませんからね。お気の毒です。
Posted by: 薄氷堂 | December 10, 2011 09:36