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November 15, 2011

Daily Oregraph: 【特集】釧路川左岸文明開化

 釧路の地理に不案内な読者のために簡単にご説明しておくと、釧路川にかかる橋は、下流側から幣舞橋(ぬさまいばし)、久寿里橋(くすりばし)、そして旭橋、さらにその上流側には根室本線(花咲線)の鉄橋がある(それよりも上流については省略する)。

 幣舞橋から根室本線鉄橋までの間の釧路川左岸(南岸)は近年大々的に再開発され、もはや昔日の面影を完全に失ってしまった。想像もつかぬ巨費を投じて行われた工事は、景観にどのような変化をもたらしたのであろうか。

 今回の特集にあたって取材した範囲は、久寿里橋から根室本線鉄橋までの間である。掲載した写真は特に記載のないかぎり、2011年11月14日に撮影したものであることをお断りしておく。


久寿里橋から旭橋


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   (2006年3月12日撮影)

 あまりの変わりように、どこから手をつければよいのか迷ったけれど、まずは2006年に撮影した工事中の写真をごらんいただこう。久寿里橋上から旭橋方向を見たところである。

 これだけ見ると、あたりまえの工事写真のようだが……

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   (以上2000年5月6日撮影)

これら二枚の写真が一枚目の写真のカラー舗装された部分だと知ったら、女学生ならずとも、「え~、うそ~、マジで~」と驚くにちがいない。

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 これが二枚目の写真のあたりの現在の様子である。あまりの激変ぶりに、なかなかもとの場所の見当がつかず、微妙にくいちがっている。

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 一枚目の写真と同じく、久寿里橋から上流を見た現在の様子。

 次に方向を変えて、旭橋から下流側の久寿里橋を見た写真をくらべてみよう。まずは現在の様子から。

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 あたりまえの話だが、すぐ上の写真とぴったりマッチしている。だが、ほんの5年ほど前に撮影した写真とくらべてみれば……

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   (2006年2月26日撮影)

まるで戦前と戦後ぐらいの大変化が見られる。ムンムンする人の匂いが消え失せ、がらんとした無機質な空間だけが残ったような印象を受ける。

 注:このときはまだ工事区域はここまで及んでいなかったが、画面奥をよく見ると、少し下流側はすでに工事中であることがわかる。いわば風前のともしび。

旭橋から根室本線鉄橋

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 これらは旭橋から根室本線鉄橋を見た現在の写真である。まずはこの景色を記憶に焼きつけてから、次の写真をごらんいただきたい。


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   (以上2001年10月28日撮影)


 こうした風景は、まだ工事がここまで進んでいなかった2006年にも変わっておらず、散歩のたびに目を楽しませてくれた。

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   (2006年2月26日撮影)

 こういう混沌とした風景を愛するのは自分が変人のせいかもしれないけれど(笑)、世間は広いから案外愛好家がいそうな気もする。どこにでも見られるこぎれいな景色というのは、そのぶん無趣味でつまらないものだからだ。

 根室本線の風格ある鉄橋との調和という点からも、失われたものの大きさに失望を感じるのはぼくだけだろうか。もちろん遅かれ早かれ、こういう日が必ず来たであろうことは百も承知しているのだが。


根室本線鉄橋前

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 今回の取材は驚きの連続であったが、とりわけ目を疑ったのがここ、根室本線の鉄橋手前である。

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   (2000年8月13日撮影  ノロッコ号通過中)

 いったいなにがどうなったのかすぐには理解できなかったけれど、

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いつの間にかこんな施設ができていたのである。上から二番目の写真に写っているマリーナの建物がこちらに移設され、立派な船着き場が作られていた。玉下駄、駒下駄、日和下駄である。

 はい、では次の写真を出してくださいね。

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   (2000年6月11日撮影)

 いや、驚きましたね、ほんとにビックリですね。腰を抜かしちゃいけませんよ。これ、すぐ上の写真と同じ場所なんですが、信じられますか、あなた。変われば変わるものですね、文明開化ですね。

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 まさか年金を流用してはいまいが(笑)、多額の税金を投入してこれほど立派な施設を作った以上、ちゃんと活用してモトを取ってほしいものである。

 これほど金をかける必要があったのかと疑問に思うほど立派に河岸を整備したからには、多くの市民に散歩してもらわなくては、お天道様に申し訳が立たぬと思う。頼むよ、ほんとに。

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 最後に昔の面影をとどめる鉄橋手前の景色をパチリ。このときあいにく列車は通過しなかったが、ここは鉄ちゃんの有名撮影ポイントのひとつである。

 では、さらば。ぼくにとっては河岸の魅力はほとんど失われたも同然だけれど、これも時代の流れ、気を取りなおしていずれまた訪れることもあるだろう。

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Comments

いやあ・・・時の流れというものの力はにはほとほと感心してしまいます。よしやそれがいずこの方向を向いていようとも、写真にあるがごとき「変化」を導き出すものは時の流れをおいてほかにはなかなかあるものではありません・・・まあ、変化とは時の流れの結果である以上、当たり前といえば当たり前なのですが・・・

ところで前々から「幣舞橋」という橋の名が痛く気にかかっていたのですが、この度新しく登場した「久寿里橋」・・・いずれも何とも言えぬ趣の有る名。さぞかし名のある御仁の命名と見受けまするが(急に古臭い言い回し・・・いかに?

Posted by: 三友亭主人 | November 15, 2011 at 22:57

>三友亭さん

 エントロピー増大の法則から申しますと、時が流れれば、本来この場所はいっそう雑然として魅力的になるはずなんですがねえ(笑)。

 それなのに、自然に逆らい巨費を投じて別の方向にねじ曲げるのが人間的時の流れ。ものすごいというべきか悲しいというべきか……

 なおヌサマイにしてもクスリにしても、アイヌ語由来じゃないかと思います(ちゃんと調べてはいませんが……)。たしかに漢字の宛て方にはセンスがありますね。

Posted by: 薄氷堂 | November 16, 2011 at 18:54

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