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October 31, 2011

Daily Oregraph: 市内200円の旅 駅裏徘徊

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 10月30日。

 いつもなら鉄北センターへ直行するのだが、この日は進路を西に取ってしばらく歩いてみた。正直いって、この辺の地理には詳しくないので、白金歓楽街というのは知らなかった。

 どこに歓楽街があるんだろうとキョロキョロしたけれど、看板ばかりでお店が見あたらない。ビルの中なのだろうが、それらしい入口がみつからないのだ。バカバカしいからじっくり調べはしなかったが、どうも釧路の駅裏一帯はふしぎな場所である。

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 白金町から通りをへだてて、こちらは共栄大通・若松町のあたり。古くから開けた地域だけあって、この閉ざされた喫茶店にも一種の風格がそなわっている。

 ドアのまんまえに咲く花が、ここはもう営業していないことを告げているのはシャレている。鉢植なども置かれているけれど、どなたかまだここに住んでいて、裏口から出入りしているのだろうか。

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 こういうのをみかけるとついシャッターを切ってしまうのは一種の病気である。ほかにも何枚かあるのだが、正気を疑われかねないから(笑)、ここまでにしておこう。

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 看板の「鉄北地区」という文字にお気づきだろうか。鉄道の北だから鉄北というのだろうが、鉄南という呼び方を聞いたことはない。鉄北といっても駅の北口近辺だけを指しているようで、この一帯には昔から独特の雰囲気がある。

 正直いって非常に雑然としているだけに、いわゆる高級感とは縁遠いし、安心感漂う末広とはちがって、お上品な人々だとちょっと近づきにくい空気を感じるかもしれない。しかしそれがそのまま魅力になっていることもたしかである。

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 ひさしぶりに来てみると、やはり景色には変化があった。たとえばここもそうである。
 

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 あちこちでたらめに歩いているので位置はしかとわからぬが、写真の一角の東の外れは若松町のこのあたりである。

 さてふたたび通りを渡って、鉄北センターへ向かおう。

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 10時16分、いよいよ鉄北センターにもぐりこむ。

 鉄北センターには少数ながら物好きな、いや熱心なファン(笑)がいて、tantan さんも同じころここに来て写真をお撮りになったらしい。ぼくの姿を目撃したとお書きになっているが、こちらは tantan さんらしき方のお姿には気づかなかった。

 長くなるので、このつづきは次回にて。

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October 30, 2011

Daily Oregraph: 市内200円の旅 コース紹介

 精神の停滞を防ぐ有効な手だてのひとつは旅だが、遠くへ旅行するには金もかかれば時間も必要だ。乏しい財布の中をのぞいて旅行をあきらめ、ふて寝する人も少なくないと思う。

 しかし万国の貧乏人、あきらめるなかれ。

 なにも遠方へ出かけるばかりが旅ではあるまい。金をかければいいというものでもない。市内観光だってオツなものだ。ぼくがそのお手本を示そうではないか。

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 09時26分発のたくぼく循環線は数分遅れで到着した。この遅れはいつものことらしく、それならそれで定時運行だともいえるから、ノー・プロブレム。

 バス賃は現在200円。そしてぼくの本日の出費はその200円きり、まさに有言実行である。

 え、帰りはどうするんだって? もちろん歩くんだよ(笑)。ほんとうは1円も使わずにすませることだってできるんだけど、旅である以上ぜひ公共輸送機関は利用したいものである。

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 しゃも寅通(旧東栄小学校前)バス停から釧路駅までの間で、乗客がもっとも多かったのは18名。まずまずの乗車率だと思う。

 乗客は例外なく高齢者である。高齢化がますます進めば、車の運転をあきらめる老人も増えるから、バスは絶対に必要だ。路線を守るためにも、バスを利用して市内の旅に出るようおすすめしたい。

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 09時45分駅前バスターミナル到着。

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 あこがれの釧路駅に到着したけれど、今日は列車には乗らず、ここから歩くのである。

 画面右端に見えるのが地下道入口。地下道を通って、通称駅裏(北口)へ向かい、散歩を楽しもうという趣向である。

 どこかでご馳走を食べようというわけではないから、なんだか長屋の花見気分である。しかし釧路のワンダーランドたる駅裏を歩くのは、あたりまえの観光コースより十倍もおもしろいことを、当社の名誉をかけて保証したい。

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 こういうところからはじまる路地や、

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釧路の誇る謎めいた鉄北センターなどをうろつき回り、

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ふたたび地下道の駅裏側入口へ戻る。

 このあたりはカラー舗装されるなど景色が一変し、こぎれいになった分だけ情緒を失ったなあ、と嘆きつつ駅前へ向かい、

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北大通を南下して、途中末広のあたりをうろうろしてから、

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幣舞橋を渡って、ぼくのメイン・バンクである日本銀行前から左に折れて大川町を通り、ひさしぶりに城山歓楽街をチェックし、

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住宅街をさまよっているうちに富士見交番前の通りに出て、

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刑務所の監視塔(?)を横目に見ながら歩きつづけ、無事帰宅したのは12時少し前であった。所要時間約2時間半、万歩計を確認すると10,233歩だから、約 8km強であろう。

 本日はコースをざっとご紹介するにとどめ、本編は明日からとしたい。取材費わずか200円で数日分の記事に相当する取材ができたのだから、まずは上出来といえよう。

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October 29, 2011

Daily Oregraph: チャレンジ、チャレンジ

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 昨日に引きつづき歩きはじめて間もなく、あ、こいつはまずい、と思った。足が少し痛むのである。しばらく運動不足だったのに、はりきって歩いたせいらしい。

 背後から大きな声で挨拶してぼくを抜き去っていった中学生諸君を見ると、恐るべきスピードである。併走する自転車にぴったり並んで駆けているのだから、とても勝負にならない。くやしいなあ(笑)。

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 貸しボート店の取り壊し作業はまだつづいている……などとノンキに観察している場合じゃない。体が思い通りに動かないのだ。このままでは昨日の記録を30秒ほど下回るんじゃないだろうか。

 結局タイムは43分59.95秒。昨日より20秒記録を縮めることができたのには驚いた。しかし腰から下がガクガクしているから、明日も歩くとしたら、ひどい結果になることはまちがいない。どないしましょ。

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 夕方すっかり暗くなってから、ふと思い立って米町公園へ行ってきた。いつも車に積んである軽量三脚とリモートスイッチを使って、夜景を撮ってみようという趣向である。

 F8 で十数秒から20秒(ISO 100)。やはりこのくらいの長時間露光になると、やわな三脚ではいけない。予想はしていたのだが、等倍でチェックすると微妙にブレている。

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 光の線が横に走っているのはボートの光跡である。ちょっとおもしろい。

 物好きはぼくだけかと思ったら、すぐとなりに人の気配がした。見れば(たぶん)若い女性である。暗くて携帯かデジカメかはわからなかったが、夜景をねらってシャッターを切っていた。手持ちではまともに写らないんじゃないかとは思ったが、夜景愛好家は意外にも少なくないらしい。

 今日はテストのつもりで来たのだが、夜景も悪くない。ときどきチャレンジしてみようかと思う。

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October 28, 2011

Daily Oregraph: 鉛のように

 鉛のように、というのはいくらなんでもおおげさだけれど、体が重い。この二週間ほどで数キロも体重が増えてしまったのである。

 原因は明らかだ。体を動かさずに食べつづければ必ず肥満する。これ、ニュートンの第4法則じゃないかと思うよ。基礎代謝量が減るせいだろうか、年を取るとますます太りやすくなる。

 歩け。体を動かせ。(走れ、とまではいわない。苦手だから(笑))

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 そこで今日は気合いを入れて春採湖畔を一周してきた。

 ああ、上田貸しボート店を取り壊しているのか……と写真を一枚撮ったきりで、黙々と歩く。ひたすら歩く。先日購入したばかりの靴は軽いが、体は重い。スタスタではなくドタドタという感じである。

 定年退職してヒマになったおじさんたちが大勢歩いている。平日にもかかわらず、ぼくがおじさんたちに混じって歩いているのは、めでたく定年退職したからではない。

 実は昨年末
ぼくはすでに定年を迎えている。ありがたいことに、こんな男でもさらに数年は勤務させていただけそうなのだが、自分の予想余命(笑)などを考慮した結果、今年いっぱいで退職することに決めたのである。

 そこでこれまで長年に渡って捨ててきた有給休暇なるものを、ほぼ半分だけ消化させていただくことにし、今月から少しずつお休みをちょうだいしているというわけだ。もう最後なのだから、大目に見ていただきたいと思う。

 しかしまだ慣れないものだから、今日は金曜日ではなく土曜日だったような気がしてならない。すれちがうおじさんやおばさんたちに挨拶されるたびに、ああ、おれもお仲間だと思われているにちがいない、と笑いがこみあげてくる。

 ぼくが辞めると知った人から、それは結構なご身分ですね、といわれることがある。心なきことをいうものかな。もちろんぼくはいい身分などではない。そんな金なんてあるわけないよ、あなただってよくご存じだろうに。

 しかし冷酷にも、年金支給はこれから遅らせるから、働けるだけ働いたらさっさと死んでね、と国民に向かって告げる社会とはいったいなんだろうか。そんな希望のない社会にあって、だれが進んで努力し、喜んで働こうとするだろうか。ぼくは遊べるだけ遊んでから死ぬつもりである。金をかけずに遊ぶしかないのはつらいところだけどね。

 てなことを考えながら歩き終え、タイムを見ると44分20.1秒。ダメだ、これは。遊ぶためには体力が欠かせない。握り飯ひとつで日に数里を歩く持久力が必要である。

 歩け、歩け。たとえ体は鉛のように重くとも。

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October 27, 2011

Daily Oregraph: 日はまた沈む

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 こういう写真を撮るということは、いよいよネタの尽きた証拠であるともいえるが、一日一枚を実行するのは案外むずかしいのである。ウソだとお思いなら、試してごらんになるといい。

 ことに日がどんどん短くなるいまの時期は、仕事を終えれば外はもう真っ暗だから、どこかに寄り道するわけにもいかず、おおいに困るのである。まさか毎日事務所の窓から釣り人を撮るわけにもいかないし(笑)、人様にお目にかけるようなご馳走を撮影しつづける資力もないしなあ。

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 会社には早くも年賀状印刷の広告が舞い込んできた。

 もう年の暮れも近いのかと思うと、またしても一年をうかうかと過ごしてきた自分のふがいなさが悔やまれる。しかしその後悔の度合いも年々低下し、あきらめにも似た心境に近づきつつあるのは、もっと恐ろしいことなのかもしれない。

 たかが一日一枚のどうでもいい写真だけれど、それすら撮るのをやめてしまうとすれば、完全なる無為の日々が待ち受けているような気がしてならない。だから低調の日々がつづくいま、写真と駄文の組合せだけが一筋の頼りなのである。

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October 26, 2011

Daily Oregraph: 退屈な日常

10月24日 待てば実もなる

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 わが家のナナカマドに今年実がなったことはすでに書いたとおりである。

 去年までは一度も実をつけなかったはずという記憶はやはり正しかった。この木は樹齢約20年になるが、これまで実のなったのを見たことはないといって、母も驚いている。

 世の中こういうこともあるのだから、今は思いどおりにいかなくても、若い諸君にはコツコツ努力をつづけていただきたいものだ。おじさんにはもう未来はないけどさ(笑)。


10月25日 雨


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 天気のせいもあるけれど、どうも調子が出ない。

 こうして日常に復帰してみると、わずか一泊といえども、旅は刺激に満ち満ちていることがよくわかる。よその土地に身を置くと、ふだんは眠っている脳味噌の一部がそれこそ活性化するにちがいない。芭蕉の爺さんが旅に明け暮れたのもむべなるかな。

10月26日 西風の港

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 風速十数メートルという強い西風が夕方まで吹き荒れていた。

 強風をものともせずに釣りをする人々には脱帽。こちとらとてもそんな元気はない。本を読むのもおっくうなのである。

 裏のナナカマドにも実がなったのだから(笑)、くじけちゃいけないか。

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October 25, 2011

Daily Oregraph: 鉄ちゃん未満

厚賀駅残念編

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 10月21日。いよいよこのたびのドライブ・レポート最終回である。

 -はてな、駅はどこにあるんだろう?

 「←厚賀駅」という道路標識を目にしたので、急に思い立ってハンドルを左に切り、踏切を渡ったのはいいが、駅舎はどこにも見あたらないのだ。

 写真の左手に見える道路を線路沿いに進んでも駅はありそうに思えなかったから、首をかしげながら国道に復帰したのだが……あとで詳しい地図を調べてみると、実はそのありそうもないところに厚賀駅はあったのだ。

 もうひとつ標識を設置してくれればいいのに、残念なことをした。

豊郷駅無事到着編

 いわゆる鉄ちゃんなる人種には、鉄道写真専門の撮り鉄や、もっぱら列車の旅を楽しむ乗り鉄と呼ばれる愛好家がいるようだ。

 ぼくはどちらかといえば乗り鉄の部類に属すると思うが、それも若いころの話である。昔はいくら長時間列車に乗っても一向に平気だったけれど、もはやその体力は失われ、最近ではせいぜい数時間がいいところなのである。

 それでも地方駅の雰囲気は好きだから、ときどきドライブのついでに立ち寄っては写真を撮っている。ほんとうはローカル線に乗車して、駅ごとに途中下車してホームや駅舎を鑑賞するのが正統派なのは承知しているし、ぼくもそういう旅に魅力を感じないではない。

 しかし今となってはそれは最高のゼイタクというべきだろう。山手線ならともかく、極端に便数の少ないローカル線普通列車でそんなノンキなことをしていたら、時間がいくらあっても足りないからだ。どこかで宿泊する回数も増えるだろうし、費用もかえってかさむのではないだろうか。

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 ぼくには日本国内全駅制覇などという野望はもちろんないけれど、せっかく長距離ドライブに出た以上、ローカル駅をひとつも訪れないのはどうもおもしろくない。

 厚賀駅では失敗したから、豊郷駅にねらいを定め、今度は慎重にカーナビをチェックしたおかげで、めでたくたどり着くことができた。

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 コンパクトな駅舎内はシンプルそのものである。

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 さっそくホームに出る。こちらは東の様似方面。さきほど見逃した厚賀駅はこの先二つ目の駅である。

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 こちらが西側、苫小牧方面。

 身ひとつでこういう禁欲的なホームに立ち、海からの風に吹かれながら鈍行列車の到着を待てば、旅愁切々として胸に迫ることうけあいである。

 しかしそういう旅は多感な青年にこそふさわしく、いい年をしたおじさんが真似をしたってみじめったらしいだけかもしれない。

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 この駅には意外にもトイレが完備している。左手の小さなドアがそれである。すばらしい。記憶にとどめておく価値はあると思う。

振内 D51 編

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 ところはいっぺんに変わって、平取町振内(ふれない)の鉄道記念館。ここは1986年に廃線となったJR富内線の振内駅跡らしい。

 この記念館の存在だけは以前から知っていたけれど、いつも素通りしていたから、訪れるのはこの日がはじめてであった。

 まだ10時前だったから開館前と思いこんでいたため中へは入らなかったが、あとで調べてみると開館は9時らしい。厚賀駅にひきつづき、この日二度目の失敗である。

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 記念館に向かって左手へ回ってみると、客車が2両ライダーハウスとして提供されていた。無断で客車内に立ち入るのは遠慮して、車に戻ろうとしたとき、写真左手に見える貨車らしきものに気がついた。

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 近づいてみると、貨車などではなく、撮り鉄でなくたって知っている D51 だから驚いた。いったいどうしてお尻をこちらに向けているのだろうか。

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 機関車の前に回ってみると、鉄道記念館付近はこんな感じ。なかなかいいじゃないか。これでライダーハウスの車両をクラシックな色で塗装して、機関車に連結してあれば申し分ないと思う。

 旅路の果に D51 と出会えたのだから、鉄ちゃん見習いとしてはまず満足すべき成果であろう。鉄道記念館を見物するのは来年かな。

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October 24, 2011

Daily Oregraph: 静内散歩 (2)

盛り場の朝

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 10月21日。

 夜の写真を撮れなかったのはまことに残念だが、人気のない朝の盛り場をブラブラ歩くのもオツなものだ。

 静宝通りというからには、ここは静内の宝にちがいない(?)。同じ場所を2002年5月12日に撮影した写真が残っているのでくらべてみよう。

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 アングルがちがうので正確な比較はむずかしいけれど、お店はずいぶん入れ替わったらしい。しかし小蝶というスナックは健在とわかる。

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 あちこちうろうろしているうちに……

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ずばり迷路に足を踏み入れてしまった。


ワンショット静内


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 さてここからはワンショット。通りをまるごと、つまり一升瓶をラッパ飲みするのではなく、ほんの一口ずつ味わおうという趣向である。ワンカップより少ないのだからご注意(笑)。

 この写真はひとつ前の写真に見えるサウナ跡のドア。全体と一部ではずいぶん印象が異なるから、ぼくのいわんとしているところをご理解いただけるのではないだろうか。

 なお記録的価値という観点からは、一升瓶サイズも同時に撮っておいたほうがいいと思う。全体が不明だと、あとでどこのなにを撮ったものかさっぱりわからず、ただのゴミの山と化してしまうからだ。

 以下でたらめに撮った写真をいくつか。どれも深い意味はない。なにも考えずにシャッターを切るのが、案外楽しいのである。

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 考えた末にお店の名前と電話番号の一部を消しておいた。就職希望者にはこっそりお教えするので、ご一報くだされたし。

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 意識せずに撮っているつもりでも、こうして並べてみると、自分の好みには一定のパターンがあることに気づくからおもしろい。

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 自分ではこれが一番気に入っている。どこがいいんだ、といわれても困るけどね(笑)。

 朝食の時間が近づいてきたので、散歩を切り上げてホテルに戻ったから、静内散歩編はこれまで。たっぷり楽しませてくれたこの町には、いつかまたゆっくり訪れたいと思っている。

 次は最終回の鉄道編である。

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October 23, 2011

Daily Oregraph: 静内散歩 (1)

みゆき通りで買い物を

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 10月20日。

 新ひだか町は平成18年に静内町と三石町が合併して誕生した新しい町である。平成17年の国勢調査では人口の合計は約2万7千人。そのうち旧静内町地区が8割以上を占める。

 それだけに静内は堂々たる町であって、中心をなすみゆき通り商店街(写真)は、釧路市の北大通シャッター街よりもにぎわいがあるし便利でもある。

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 ホテルにチェックインしたぼくがまず向かったのは、そのみゆき通りにあるショッピングセンター・ピュア。襟裳岬の悲劇によって深刻なダメージを受けた靴をすぐに買い替えねばならなかったのである。

 幸いピッタリサイズの靴もみつかり、次に入ったのが薬局(笑)。おみやげではなく靴や薬なんぞを買うと、町にぐっと親近感が湧くから不思議である。

 ふだんなら夕食がてら夜の町を散歩するところだが、この日はさすがにその気にはなれず、スシの出前を注文してホテルに届けてもらい夕食とした。

朝日のあたる文化通り
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 10月21日。

 一晩寝たおかげでいくぶん元気を取り戻し、さっそく朝の散歩に出かけることにした。

 日高地方は有名なサラブレッドの産地だけあって、ホテルのすぐ近くにスマートな馬の像が立っていた。コンパクトな時計台もなかなかしゃれていると思う。

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 つづいてこの通りにさしかかり、あっと驚いた。馬の像は初めて見るものだったが、この通りには見覚えがあったのである。

 通りの名までは知らなかったけれど、アーチには文化通りと記されている。ゆかしい名前である。

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 これは東側から見たところ。しかしどうもおかしい。なにかが足りないような気がするのだ。

 そこで昔フィルムカメラで撮った写真をチェックしてみると……

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 これら二枚の写真は、いずれも2002年5月12日に撮影したもの。赤ひげとその右隣りの建物(リリー理美容院)はいまも残っているけれど、画面左手の映画館が消えて駐車場になっていることにお気づきだろうか。

 では消えた映画館をお目にかけよう。

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 在りし日の静内文化劇場(2003年10月12日撮影)。たぶん「文化通り」の名はこの映画館に由来するのではないだろうか。

 静内には不思議と縁があり、かつて苫小牧にたびたび車で出張していた頃、たいていこの町で小休止したのである。こうして古い写真を見ていると、静内駅でごぼう天ソバを食い(笑)、近くをぶらぶら歩いた思い出がよみがえってくる。

 そうか、味のある映画館だったが、静内文化劇場は取り壊されてしまったのか……ちょっとしたセンチメンタル・ジャーニーだなあ。

 静内散歩、次回へつづく。

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October 22, 2011

Daily Oregraph: 土曜サスペンス劇場 襟裳岬の謎

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 -ふむ、ちょいとつげ義春風の景色だな。

 風采の上がらぬ男はそうつぶやいて、いったん外した銀縁のメガネをかけ直した。年の頃は六十近く、だぶだぶの着古したグレーの背広に擦り切れた地味なネクタイ、茶色の革靴は薄汚れたままである。白髪まじりの髪には櫛を通した形跡がなく、第一床屋に行ったのはどう見ても数ヶ月前らしかった。

 満足な食事を取っていないのか、やせこけて骨と皮、シワだらけの顔の中に埋没しかけた細い目に、あるかなきかの低い鼻……とても若い女から声をかけられるようなおじさんではない。

 -警部、木紛(きまぐれ)警部! 遅かったじゃありませんか。

 背後から声をかけられた男がゆっくり振り向くと、若い刑事が息を切らして駆け寄ってくるところであった。

 -おお、鵜狩(うっかり)君か。君、レストハウスでラーメンを食ったね。

 -えっ、どうしてわかりましたか?

 -ネクタイにシナチクの切れ端がついておる。

 諸君、人をみかけで判断してはいけない。木紛警部こそは、北海道警察にその人ありと知られた名探偵で、これまで数々の難事件を鮮やかに解決してきたのである。

 鵜狩刑事はきまり悪そうにシナチクをはじいた指で鳥居の方向を指しながら、

 -被害者はあの鳥居の前に倒れていたのです。観光客が通報したので、すぐに救急車でえりも町の病院に搬送されたのですが、さきほど死亡が確認されました。死因は打撲による右側頭部の陥没です。

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 -鵜狩君、この鳥居は?

 -あの石碑に刻んだ文字がすり減って読みにくいんですけど、「襟裳神社旧鎮座詞跡」と書いてあるようです。被害者はカメラを二台……一台を右手に握りしめ、もう一台は右肩から左脇に向かって斜めにかけた状態であおむけに倒れていました。

 -なるほど。しかし負傷した現場はここじゃないな。

 -おお、さすが警部ですね。

 -なに、三歳の童子にだってわかるさ。血痕が少なすぎるからね。ここに来る途中、遊歩道の石段に大量の血の飛び散った跡があった。あそこだろう。

 -ご明察です。

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 -警部、この写真をごらんください。

 -へたくそな写真だな。これがどうかしたのかね。

 -岩礁の先端付近がぼやけて見えませんか? こちらに拡大したものがあります。

 -どれどれ。

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 -ほほう、これはレンズに付着した血痕のせいだね。負傷しながらも写真を撮りつづけたとは立派だよ。なあ、鵜狩君、被害者の写真はヘボだが根性だけは買ってやろうじゃないか。

 -ええ、カメラを握りしめていた右手の小指が腫れ上がっていました。とっさにカメラをかばったのでしょう。

 -この写真の撮影時刻はわかるかね?

 -はい、13時11分と記録されています。ですからケガをしたのは13時前後でしょう。で、事件性の有無ですが……

 -それはないだろうな。白昼観光客のいる中で凶行に及べば、必ず目撃者がいるだろうし、自殺の線も考えられない。

 -はあ、単純な転倒事故だとして、原因はなんでしょうね?

 -靴だよ、靴。被害者の靴の写真を見せたまえ。ほら、靴が両方ともつま先革と靴底との間がパックリ開いている。

 -ほんとうに両方とも開いていますね。

 -うむ、ふつうなら片方だけつまずくから、頭を打つほどのケガには至るまい。せいぜい膝を擦りむく程度だろう。しかし不幸にも両方同時に石段の角にひっかかったから、被害者はぶざまに転倒したわけだ。見たまえ、この靴は足のつま先から靴の先端まで少し長さのあるタイプだ。本人のつま先と靴の先とにズレがあるから、つまずきやすいのさ。

 -なるほど。おまけにカメラを二台も持っていたから、足元への注意が不足したわけですね。

 -さよう。だから私は不格好な靴をはいているのだよ。鵜狩君もそんな先のとがった細長い靴をはいていると、いつかケガをするだろう。気をつけなくてはいかん。

 木紛警部はそういうと、背広のポケットからつぶれたアンパンの袋をひとつ取り出して、

 -さて、ちと遅くなったが、昼飯にするか。鵜狩君、すまないがなにか冷たい飲み物でも買ってきてくれんか。

 結局本件は敏腕をもって鳴る木紛警部にご登場願うまでもない、ごくお粗末な事故だったようである。しかし筆者が自分自身を死亡させてしまうという、非常にめずらしいケースであることはまちがいなく、心より薄氷堂氏のご冥福を祈りたい。

 それにしてもTVドラマの事件がいつも岬の突端で解決するのは奇妙である。関係者一同警察署内で番茶をすすりながら決着をつければいいものを、海風に吹かれながら延々と長話をするのはなぜだろうか。

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Daily Oregraph: 襟裳岬へ

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 10月20日。雲一つない上天気である。

 この写真は広尾へ行く途中にある一本の木。かつて頻繁に十勝港まで仕事に通っていたとき、ああ、またここまで来たか、と一種の目印にしていた木である。取り立てて美しいというわけでも、堂々たる大木というわけでもないけれど、不思議な存在感がある。

 牧草地の所有者にもこの木の放つ磁力は伝わっているとみえて、大切に残している様子がうかがわれる。

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 広尾の町はずれから襟裳方面を望む。海岸の切り立った断崖に沿ってつづくのが、いわゆる黄金道路である。

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 フンベの滝。崖の途中からいきなり水が噴出しているのはたしかに珍しい。しかしそれよりもおもしろいのが、ビックリマークの標識。落石注意ではなく落氷注意なのである。

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 このあたりから覆道・隧道・トンネルが連続し、莫大な資金を投じたために黄金道路といわれる理由がよくわかる。これほどの難所によく道路を建設したものだと感心するほかないが、現在も黄金はばらまかれつつある。

 あちこちで道路工事がつづいているのだ。道路が補修されているだけではなく、新しいトンネルも建設中なのである。

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 快適なドライブをつづけ、12時50分ころ襟裳岬に到着。ここに来るのは十数年ぶりである。前回はろくに見物しなかったので、この日はゆっくり歩くつもりであった。

 観光シーズンもそろそろ終わりのせいか、駐車場には車が10台ほどしか見あたらず、観光客の姿もさほど多くはなかった。森進一の歌なんぞがやかましく流れていたらイヤだなと思っていたのだが(笑)、幸いあたりは静寂そのものであった。

 この前ここを訪れたときには、(記憶ちがいでなければ)レストハウスしかなかったと思うが、もう一軒食堂兼みやげ物屋が増えていた。えりもラーメンとやらには興味がないので、昼食は途中浦幌の道の駅で買ったうまいパン。

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 ここは遊歩道も整備されているし、きれいなトイレも完備しているし、灯台もなかなかシャレている。万事プリミティブな尻羽岬とはえらいちがいである。

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 ああ、こんなところにも集落があるのだ、と感心する。

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 年中吹き荒れる強風をもって知られる襟裳岬だが、この日は風もほとんどなく、海も穏やかであった。よほどの幸運に恵まれたにちがいない。

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 しかし花に嵐のたとえもあるぞ。世の中よいことばかりはつづかない。ラッキーだったのはそこまでであった。

 せっかくの天気だから、岬の突端まで行ってみようと歩き出してまもなく悲劇は起こったのである。

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October 21, 2011

Daily Oregraph: 一夜明けて

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 一夜明けて……今朝も上天気である。

 さて昨日のクイズだが、三友亭さんのみごとなご推測どおり、ここはホテルの8階。昨日の写真で明るく見えた画面右方向が西、この写真で朝日の射している画面左手が東だから、正面は南である。つまり遠くに広がる海は太平洋でなければならない。

 実は昨夜の写真にも写っているのだが、画面右手に見える pure という大きい看板が重要なヒントになる。これぞかの有名な(?)ショッピングセンター・ピュア。新ひだか町(旧静内町)の町民なら知らない人はいないはずである。

 このたびぼくがショッピングセンター・ピュアで addidas の靴を新調したのには、聞くも涙の悲しいわけがある。きっと靴を見るたびにその忌まわしい記憶がよみがえることだろう(笑)。

 まだ写真の整理がすんでいないのでレポートは明日にしたいが、これだけではあまりにも愛想がないので、ホテルの朝食の写真でも掲載しておこう。たべものの写真というのは世の中でもっとも無難なもののひとつであって、左右両派にすんなり受け入れられるだろうから(笑)。

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 あ、これがみかけによらずなかなか。サラダがうまかった。

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October 20, 2011

Daily Oregraph: 夕暮れの町

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 天気がいいのは日頃の精進のたまもの……などと調子に乗っていたら、某所で転倒して流血の惨事を招くとは情けない。幸い大事には至らなかったものの、午後からは戦意喪失、予定していた地方駅巡りを取りやめて、早めにホテルで体を休めることにした。

 この写真から、今夜はどこの町にいるかおわかりになるだろうか? 答は明日。

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October 19, 2011

Daily Oregraph: 明日は晴れるか?

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 幸い今日もきれいな夕焼けだし、予報では明日の天気は晴れ。

 最近低調だから、気分転換のため、明日から休暇をいただいてドライブに出かけ、ブログ数日分のネタを取材してくるつもりである。ただし取材費が乏しいので(笑)、遠くへは行かない(行けない?)。

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October 17, 2011

Daily Oregraph: イヌホオズキの研究

 釧路西港のイヌホオズキについては、すでに8月15日と8月16日の両日に当ブログでご紹介した。8月16日の記事では果実をまっ二つに切断した写真を掲載したが、ありすさんのお寄せくださったコメントに、

  
鉄紺色に熟すと、猛毒になった証です

とあったので、実の熟すのを待ちかねていた。

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 これは9月20日に撮影したもの。この様子では、熟すのはまだまだ先の話である。

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 10月11日。実はまだ青い。

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 そして本日(10月17日)。実のほとんどは青いままだが、一房だけ黒く熟したものがみつかった。釧路でイヌホオズキの実が熟すのは、だいたい10月の下旬といっていいだろう。

 さっそく黒い実をひとつだけいただいて観察することにした。

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 なるほどナスビ色である。どれどれ、カッターナイフですぱっと切ってみよう。

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 おお、なんたる驚異! 一刀両断するつもりだったのに、柔らかくて手応えがない。ブドウの実と同じである。結局切るというよりつぶしたに近く、果汁があふれ出てきた。

 これで甘ければ上等なフルーツなのだが、有毒だという。

 人家に近い荒れた畑などに生える一年生の毒草である。ソラニンを含んでいる。(『図解 植物観察事典』 昭和57年 地人書館刊)

 ではソラニンとは?

 ソラニン【solanine】ナス科植物に含まれるアルカロイド配糖体。ジャガイモの新芽に多く含まれる。苦みがあり有毒で、腹痛・めまいなどの中毒症状を起こす。(『大辞林』)

 食用になるホオズキにもヒストニンという有毒成分が含まれており、

 このヒストニンには、子宮の緊縮作用を起こすことがわかっている。そのため、今でいう自然堕胎(流産)をさせる植物として、江戸時代から使われていたという歴史を持っている。-中略-ヒストニンは大量に用いれば、大脳や呼吸中枢を麻痺させ死ぬこともある。(奥井真司著『毒草大百科』 2001年 (株)データハウス刊)

ということなので、多食は禁物のようだ。ホオズキにしてこうなのだから、イヌホオズキのつまみ食いは厳禁である。

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October 16, 2011

Daily Oregraph: 孤城落日

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 低調がつづく。ダメなときはなにをどうしたってダメなのは承知しているけれど、部屋に籠もっているのもシャクだから、ふらりと南新埠頭へ出かける。

 最後の花を撮ろうと思った。傷んでいるのでわかりにくいが、これはハチジョウナだろうか。

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 どうも調子が出ないので、ヘンな写真路線に切り換えようとしてまもなく、ポツポツと雨が降り出した。泣く子と雨には勝てないから、早々に退散。

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 昨日も天気にはしてやられたが、今日もまただまされた。いつの間にか晴れていたのである。

 港の夕日は専門家にお任せすることにして、部屋の窓を開け、手近にあったカメラでシャッターを切ったとたんに後悔した。

 バカな写真である。ふつうはこんな間の抜けた景色は撮らないものだ。しかしこれもヘンな写真として残しておこうと思い直し、削除するのはやめにした。

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October 15, 2011

Daily Oregraph: 雨のあと

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 明け方まで強い風が吹き荒れ、トタン屋根に叩きつけるスコールのような雨に何度か夢を破られた。

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 夕方港町から入舟のあたりを歩くと、あちこちに大きな水たまりができていた。

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 -写真ですか?

と声をかけてきたのは、自転車に乗る男性である。どうもぼくが夕日を撮りにきたのだと思ったらしい。

 -先日もそこ(港町岸壁)で夕日を撮る人がいましたよ。

 -はあ、そうですか。

 最近釧路の夕日を売り込もうと熱心に活動中の人々がいらっしゃるから、きっとそのお一人だったのだと思う。

 -いい写真を撮ってくださいね。じゃあ。

 いい写真! せっかくそういってくださったのだから、ありがとうございますと返事はしたものの、とてもご期待には応えられそうにない。第一に、ぼくはヘンな写真が専門なのだし(笑)、第二に、夕日を撮りにきたのではないからである。

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 それにこの空模様では夕日は無理だから、このあとヘンな写真をいくつか撮って帰宅したのであった。

 ヘンな写真の見本を見せろって?……ますます評判を落としそうだから(笑)、掲載するのはやめておこう。

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October 13, 2011

Daily Oregraph: 相合傘

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 低調である。今日は一日一枚を実行できなかったので、昨夜の写真をもう一枚掲載してお茶を濁したい。お茶を濁すというだけあって、写真がブレているのはご愛嬌。

 夜なのでしかと色はわからぬが、ピンクの傘ではないだろうか。だとすれば、やっと念願かなったことになる。しかも相合傘である。相合傘も若い男女だとくやしいけれど(笑)、中年のカップルは味があっていい。

 傘がひとつではどうせ二人とも濡れるわけだが、自然に体を寄せ合えるところに値打がある。ほのかに人の体温を感じさせる、美しい日本語のひとつだと思う。

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October 12, 2011

Daily Oregraph: 夜歩く

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 なんだか定点撮影風になってきたけれど、本日18時58分の気温は11度。

 幣舞橋を渡るからには、もちろん仲間といっしょに一杯ひっかけてきたのだが、約束の時間までに撮った写真から数枚だけ。まだシラフなのに、写真はすでに酔っ払っている。

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 せっかく調子が乗ってきたところへ雨が降り出したのは、読者のみなさまにとっては幸いであったかもしれない(笑)。

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October 11, 2011

Daily Oregraph: 魔法の時間

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 17時08分。本日の日没は16時48分だから、いつの間にかずいぶん日が短くなった。ぼくの愛用している釧路港安全対策協議会のカレンダーによれば、一日あたり1分か2分ずつ日没が早まっている。

 今日の夕日もみごとであった。しかしほんとうに美しいのは日没後の空のほうだと思う。ふだんはつまらない西港の景色が一変するのだから、まさに魔法の時間である。

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October 10, 2011

Daily Oregraph: 連休絵日記

10月8日(土)

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 春採湖畔でヤマブドウを食べる。ほとんど採りつくされていたが、高いところに一房だけ残っていたので、一粒いただいたのである。

 もちろん酸っぱいけれど、口が曲がるほどではなかった。秋を味わって、今年も一区切りついた気分。

 別の場所では、せっかく房ごともいだヤマブドウが手つかずで捨ててあった。せっかくの自然の恵みだというのに、愚かなことをするものだ。

10月9日(日)
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 買い物に行った先で、かしこそうな犬をみかけたのでパチリ。ベンチに腰かけているうちのお一人が飼い主かと思ったら、どうもそうではないらしい。

 この釧路版ハチ公、ワンとも吠えなかったのはえらい。ぼくは犬派だが、キャンキャンうるさい犬は大きらいなのである。

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 落ち葉が目立つようになった。この木もやがて丸裸になるのだろう。

10月10日(月)

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 天気がパッとしないので、納戸の本を整理した。雑誌を数十冊捨てる。

 おや、こんな本あったっけ……というのが数冊みつかる。これもそのひとつ。
アカイ アカイ アサヒなんてね。若者はまったく知らないだろうけど、こんなおもしろいマンガ(?)があったんだよ。

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 主人公は馬オジサンと泰平小僧。赤瀬川原平さんのサイトを参照されたし。

 というわけで、この連休はボンヤリ過ごしてしまった。人間もこうなっては、葉の散りはじめた街路樹みたいなものかもしれない。

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Daily Oregraph: 苫小牧 みちばた植物編

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 片側4車線の堂々たる道路だが、さすが北海道というべきか、これは国道ではなく道道259号線(上厚真苫小牧線)。はじめてここを車で通ったとき、どの車線を走ればいいのか迷ったおぼえがある。

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 この道道の一本裏手、案内図の上端に見える鉄道線路沿いの道を30分ほど歩いてみよう。

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 別の意味で北海道らしい景色である。道路と鉄道との間には原野の切れ端が残っている。今回はこの道路沿いの植物を観察しようという趣向である。

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 これはユウゼンギクだろう。ふつうは薄い青紫色だが、この一群だけ赤味を帯びていた。

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 ちょっと貧相だが、ムシトリナデシコだと思う。実物はもっと鮮やかな赤だが、写真ではうまく再現できていない。

 それよりも気になるのが、タンポポに似た黄色い花である。

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 ほかにないかと探してみたら、あった、あった。ノボロギクではないかと思うが、どうだろうか。

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 もう花の終わりかけなのか、発育不良なのか、ちょっと区別しにくいが、オオアワダチソウだろうか。セイタカアワダチソウなら茎に短毛があるけれど、この写真を拡大しても確認できない。接近してもう一枚撮っておくべきであった。

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 イヌホオズキだろう。最初実が見えなかったので確信がもてなかったけれど、写真をよく見直すと実が写っているのでまちがいないと思う。

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 エゾノコンギク。もう花がしおれている。

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 すぐ上の写真とずいぶん印象はちがうが、花びらの数からして、これもエゾノコンギクだろう。ちょいと前衛活花風。

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 これはおまけ(笑)。青いペンキの面積配分が絶妙であり、アートの域に達していると思う。

 ではさらば苫小牧。

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October 09, 2011

Daily Oregraph: 苫小牧 自然編

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 -ときどきここに来ると、とてもリフレッシュできるんですよ。

と、案内してくださったNさん。なるほどそうだろうなあ。

 ここは駒大付属苫小牧高校のすぐ裏手だから、市街地に接しているのだが、まさに別世界である。時間がなかったので、入口付近を少し歩いただけだったけれど、おおいに期待の持てるすばらしい場所である。ぼくは一目で気に入ってしまった。

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 なるほどクマの現れそうな場所である。一般人が立ち入れるのはほんの一部にすぎず、ほとんどの区域は承認を得て入林することになっているらしい。

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 林内にはカモの泳ぐ池もあれば、サケの上る川もある。

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 来年は半日くらい時間をかけて、ゆっくり見学したいものだ。植物を観察するにはやはり 6月がいいかもしれない。クマが怖いから、だれか道連れを探さなくては。

 そう心に決めて車にもどると、次にNさんが連れて行ってくださったのは……

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ウトナイ湖畔である。

 ウトナイ湖野生鳥獣保護センターのパンフレットによれば、湖は周囲約 9km、面積 275ha、水深 1.2mで、ラムサール条約湿地に登録されている。

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 この日は曇ったり晴れたり、ときどき強風が吹いたり、天気がひどく不安定であった。このときも風が強く、湖面にはさざ波が立っていた。

 写真ではちょっとわかりにくいけれど、白鳥や(たぶん)カモなどの姿が見える。千歳空港に近いので、ときおり飛行機が上空を通過し、その取り合わせがちょっと不思議な空間でもある。

 自然観察路も整備されているし、道の駅もあるので、ドライブの途中に立ち寄って歩いてみるといいだろう。ここは野鳥の宝庫として知られるが、植物観察も悪くなさそうだ。

 時間の制約のため駆け足になってしまったのは残念だが、以前から気になっていた場所を二箇所とも実際に目にすることができたのは収穫だった。

 このあとNさんにはお忙しいところを南千歳駅までお送りいただき、おおいに恐縮。どうもありがとうございました。

 さて苫小牧シリーズ、これで終わりではなく、みちばた植物観察編がある。ふだんは不活発なくせに、こういう機会には短い時間を有効に使おうとするのだから、われながら不思議なものだ。

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October 08, 2011

Daily Oregraph: 苫小牧駅前20分の旅

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 2011年10月7日早朝。ホテルが駅の近くだったので、苫小牧駅付近を20分ほど歩いてみた。

 途中手当たり次第に撮った写真から選んで掲載したい。「これのどこがおもしろいんだ!」という苦情は一切受けつけないから、そのおつもりで(笑)。

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 駅前店というからには、駅はもう間近。

 苫小牧にはかつて何度も仕事では来たけれど、たいていは車だったし、たまに鉄道を利用しても駅前を歩く機会はほとんどなかった。見物するのは今回がはじめてなのである。

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 やっと念願かなって、苫小牧駅舎を撮影することができた。しかしまだまだ道内には取り残した駅舎はたくさんある。これからいくつ撮ることができるだろうか。

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 駅からホテルへもどる途中で。この朝撮った中ではこれが一番気に入っている。どうしてかって? そんなこと、本人にもわからないのである。

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 表町5丁目……だそうである。

 取材旅行した以上、きっちりモトは取らねばならないから(笑)、苫小牧シリーズ、まだつづく。。

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October 07, 2011

Daily Oregraph: 窓際のウィスキー

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 一夜明けて窓の外を見れば、苫小牧の象徴である王子製紙の煙突がそびえている。昨夜は雨が降っていたからよく見えなかったのである。

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 仕事も予定どおりに片づき、昼食には手打ちソバをごちそうになった。

 昼食後Nさんに北大演習林やウトナイ湖を案内していただいた。時間がなかったので入口をウロウロしたにすぎなかったけれど、ロケハンできたのはうれしい。感謝感激である。来年はじっくり見学するつもり。

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 列車の旅とくれば、缶ビールかワンカップ清酒かウィスキーのポケットビン。今日はこのまま帰宅するだけだし、めったにないチャンスだから、ほんのちょっぴり飲ませてもらった。しかしやはり特急は味気ない。ポケットビンは鈍行列車にかぎる。

 若いころは長時間列車に乗っても平気だったのに、年のせいだろうか、窮屈な姿勢がつらくていけない。疲れが出て、結局ほとんど景色も見ずに眠ってしまった。こんな調子では、列車の長旅は無理である。車を運転したほうがずっと楽かもしれない。

 本日撮影した写真は、明日にでも掲載するつもりである。今夜は疲れてダメ。

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October 06, 2011

Daily Oregraph: 苫小牧から

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 ひさびさの特急スーパーおおぞら。この前乗ったのはいつだったか、もう忘れてしまった。

 車内で読むつもりで本を一冊ポケットに忍ばせておいたのだが、結局ろくに読みもせぬうちに南千歳に到着した。高速になったのはたしかにありがたいけれど、このふりこ特急は揺れも相当なもので、途中車窓から写真を撮る気にもなれなかった。

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 途中省略して(疑う方がおいでになるかもしれないので断っておくけれど、仕事はちゃんとすませ)、夜は苫小牧の飲食店街にお招きいただいた。

 この街は釧路を脅かすほど人口が増えたとはいえ、同じく港町なのにずいぶん雰囲気が異なる。古くから開けた釧路の末広あたりとはちがって、際立った性格が感じられず、いかにも新開地という印象を受けるのである。

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 もちろん飲屋街が古くたって新しくたって、アルコールの効果には変わりなく、芋焼酎をぐいぐい飲んだら酔っ払うにきまっている。気心の知れた方々がお相手だったから、ワイワイ大騒ぎしてからホテルに戻った……にしては、まだブログを更新する元気が残っているのは、われながら立派である。

 なんとか日の変わらぬうちに更新できたようだ。

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October 03, 2011

Daily Oregraph: シヤープ鉛筆 月印

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 三日月を見るたびに思い出すのが、宮澤賢治の詩にある

  
シヤープ鉛筆 月印 (「水源手記」より)

という一行である。みなさまはどうか知らないが、ぼくはたいへん鮮烈な印象を受け、いまでもときどき口ずさむことがある。しゃーぷえんぴつ つきじるし……なんでもないようでいて、すばらしい感覚の冴えだと思う。

 どんなシャープ鉛筆なのかはわからないが、早川式は月印ではなかったはずだから、月星鉛筆かステッドラー製のものだったのかも知れない。どっちにしても、そんなシャープ鉛筆(シャープペンシルではつまらない)があったら、一本欲しいものである。もちろんノック式なんぞではなく、軸を回して芯を繰り出す昔風のものでなくてはいけない。

 ただし月星にせよステッドラーにせよ、マークの月の向きは写真と反対である。写真の月の向きは花王の月印と同じ。

  
すもゝが熟して落ちるやうに
  おれも鉛筆をぽろつと落し
  だまつて風に溶けてしまはう (同上)

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October 02, 2011

Daily Oregraph: 鶴ヶ岱のナシ

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 晴天。風が強い。

 ネイチャーセンター隣の駐車場に車を停め、昨日の記事で触れた貸しボート屋さんを撮影し……さて、どうしようか。

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 ちょっと迷ったが、たまには鶴ヶ岱のあたりを歩いてみることにした。

 工業高校前の名物タコヤキ屋さんの前を通りかかると、ガラス窓に「売家 アンティーク付」という貼り紙があった。ひょっとしたらこちらもお店を畳んでしまうのだろうか?

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 釧路聾学校近くの坂道。このあたりには用事がないので、めったに来ることがない。

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 ここは炭鉱や漁港などで働く人々の壁画で飾られている。写真のおじさんのモデルはスコップさんかもしれない。

 この種の絵は、たいてい「労働者階級万歳!」とか「一億火の玉」などという標語とともにリアリズム・タッチで描かれていそうだが(ちょっと古いか?)、ごらんのとおりのヘタウマ路線。ほのぼのとした感じが漂っている。

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 正直いって、この一帯はそうおもしろい場所とは思えないけれど……おや、あれはなんだろうか?

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 品種はわからないが、まぎれもなくナシである。ナシはリンゴ同様バラ科で、

 暑さ寒さに強く、北海道から九州まで植えられている。(北海道新聞社刊 『北海道の樹木』)

というから、釧路にあってもおかしくはないのだが、ぼくはこれまでみかけた記憶がない。新発見である。開花は5月なので、来年はぜひ花を観賞したい。

 なお鈴なりになっていた実はどれも小さく、こっそりもいで食べたってうまくないと思う。実際だれも手をつけた形跡はなかったから、念のため。

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October 01, 2011

Daily Oregraph: 春採湖 - ボートよさらば

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 今日は日が射したり翳ったり、にわか雨が降ったり、やや不安定だったけれど、ポカポカとした陽気であった。

 ほとんどの植物がそうであるように、ミヤマニガウリの葉もしおれはじめ、一時期の勢いがウソのような弱りようだったから、写真はほとんど撮らずに散歩を楽しんだ。

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 ボートを漕いでいるご年配のお二人をみかけたのでパチリ。

 写真の右手に見える貸しボート屋さんは、10月2日つまり明日、約80年の営業の幕を閉じる。最近ではボートを楽しむ人もめっきり減ったし、これも時代の流れなのだろう。

 ぼくのカメラに気づいたおばさまは、この直後両手を振って挨拶してくださった。別れを惜しむ気持が伝わったのだろうと思う。ぼくも右手を挙げて礼を返した。

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 亡父が1952年に撮影した写真。先日これを印刷して、上田貸しボートの奥様にさし上げたのだが、見ず知らずの男が写真を持ってふらりと現れたのだから、さぞびっくりされたことと思う。

 実はこの写真の貸しボートは上田さんのお店ではなく、

 -ああ、これヒブナさんね。昔はもう一軒あったの。向こう岸の景色がちがうでしょう。

 奥様によると、ヒブナ貸しボートは竹老園の近くにあったらしい。別のお店の写真というのは残念だったけれど、とても貴重な写真ですから喜んでいただきます、とおっしゃって受け取ってくださった。

 長年のお仕事、たいへんお疲れさまでした。

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