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September 29, 2011

Daily Oregraph: 冬遠からず

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 当ブログ名物の(笑)しょうもない写真でまことに申し訳ない。恥ずかしくてとてもシラフではいられないから、もう一杯やっているところ。

 そういつもネタがあるはずはないから、今日も休業にするつもりだった。しかしずいぶん日の暮れるのが早くなったことにあらためて驚き、そうか、日暮れが早くなったのなら、暮れた空を撮ればいいのかと気づいたのであった。

 あいにく釧路の夕日を売り込むような空模様ではなかったので、第2埠頭で荷役中の貨物船をあしらってみた。ここでは穀物を専用のアンローダ(荷役機械)で揚荷している。

 釧路港が国際バルク戦略港湾に指定されたことはみなさまご存じだと思う。いずれこの岸壁も喫水の深いポストパナマックス船型対応に整備され、航路も浚渫されることになる。工事にはこれから何年もかかるだろう。西港の見なれた景色もやがて変わるにちがいない。

 本日の日没は17時09分。写真を撮影したのは17時14分である。季節の移り変わりは早いもので、このぶんだと冬もそんなに先ではない。いっぺんに年を取った気分になってしまった(笑)。

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September 27, 2011

Daily Oregraph: 東京 駅舎編

 今日の一日一枚は、なんとカモメの死骸の写真。それによって無常迅速の教えを説こうとしたのだが、さすがに見た目がよろしくない。

 しかもぼくみたいなバチあたりが坊さんの真似をして説教したところで、ちっとも説得力はあるまいと反省して方針を大転換し、9月14日に東京で撮影した駅舎の写真を掲載することにした。

 駅舎の写真はぼくのテーマのひとつでもあるのに、なぜ先日ボツにしてしまったのかというと、今回撮影した駅はどれもつまらなかったからだ。風情というものがまるでないのである。

 ぬくもりなどという甘ったるいことばは、会社主義リアリストの好むところではないけれど、機能一点張りというのは実に味気がないものだ。

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 京急大鳥居駅。無趣味ということばをかたちにしたらこうなる、といういい見本である。駅という看板がなければ、なんとか歯科医院と変わるところがないように思う。

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 ゆりかもめ新橋駅。京急大鳥居駅よりはだいぶマシだが、とても男女の別れや恋人との出会いの舞台にふさわしいとはいいかねる。まるで住民票を取りにやってきた区役所という感じではないか。

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 ゆりかもめ国際展示場正門駅。いかにもついでに作りましたというイヤイヤ感漂う駅である。田舎の古ぼけた木造駅舎に及ばぬこと千里、関係者には猛省をうながしたい。

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 かくなる上は工事中のJR東京駅に期待するしかないけれど、あの格調の高さがどこまで再現されるものか……なんとなく悪い予感がしないでもない。頼むよ、ほんと。

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September 26, 2011

Daily Oregraph: 困ったことばかり

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 西港の釣りはどうか知らないけれど、道東のサンマ漁は絶好調らしい。

 
サンマ道東集中困った
 4港で5千トン超 空前の大漁
 ■花咲 港で足止め 日曜に競り
 ■釧路 冷凍庫満杯 値崩れ懸念

   (北海道新聞 9月25日朝刊見出し)

 上記記事によれば、先日の台風が海を攪拌して水温が2~3度下がったことにより、根室の東南東約70キロに漁場が形成されたためだという。不漁はもちろん困るが、獲れすぎもまた頭が痛いというのだから、ほんにこの世はままならぬ。

 そうはいっても、豊漁はやはり景気のいいニュースであり、胸躍るものがある。それにひきかえ、官僚のいいなりになって復興増税とはいかがなものか。ぼくなどは不景気が長期化し、かえって復興が遅れるのではないかと危惧するのだが……

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September 25, 2011

Daily Oregraph: 秋の一日

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 午前中は家人のお供をして紫雲台墓地へ。墓もこれだけの数が並ぶと壮観である。

 最近ゆりかもめの車内から見た東京都内の高層ビル群がこれとそっくりの景色であった。なあんだ、あそこは巨大な共同墓地だったのか。

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 墓参りからもどると、旧東栄小学校の運動場からさかんに歓声が聞こえてきた。どれどれと行ってみると、ちょうど少年野球の試合中であった。

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 何枚かシャッターを切ってみたけれど、どれもタイミングが合わない。それも道理、ぴたりとタイミングを合わせる腕前があれば、ぼくはスポーツ音痴になってはいなかっただろう。

 それにしても、黒板でいいからスコアボードを設置すべきだと思った。チーム名も得点もわからないのでは、途中から加わった観客には応援のしようがないからである。

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 観客席に並ぶ貴婦人用の日よけつき椅子は初めて目にするものであった。知らぬ間に時代は変わる。

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 午後は『つげ義春流れ雲旅』(1982年刊 旺文社文庫)を読む。墓参りではじまった一日を締めくくるにふさわしい一冊であろう。

 しかし大都会に超モダンな高層墓石立ち並び、下北半島にまで原発を建設しようというこの国に、つげ義春の描いた景色ははたしてまだ残っているのか?

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September 24, 2011

Daily Oregraph: 温根内

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 ひさしぶりの温根内はすっかり秋景色であった。花もたいてい枯れてしまったけれど、本日の目的は……

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ゴキヅルの実。あちこちにぶら下がっているこのひょうきんものを見逃すわけにはいかないのである。

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 ひとつだけ失敬して中身を確認するのが、いつのまにか年に一度の儀式となった。撮影後はもちろん湿原にもどしてやる。

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 果実といえば、左はコウライテンナンショウ、右がヒメカイウ。どちらもサトイモ科だけあってよく似ている。

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 咲き残ったミヤマアキノキリンソウ(キク科)。高山型と湿原型があって、これはもちろん湿原型。

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 花の乏しいこの時期にたくさん咲いているのがウメバチソウ(ユキノシタ科)。ツボミもいっしょに撮影できたのはこれが初めてである。

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 今日は午前10時を回っていたから、途中大勢の人たちとすれちがった。駐車場もなかなか盛況であった。

 ゴキヅルはまだしばらくは鑑賞できるだろう。おもしろい実だから、こどもたちにぜひさわらせてあげるといい。昔の自分を反省していうのだが、日本のこどもたちは野生の植物について無知すぎると思うのである。

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September 23, 2011

Daily Oregraph: 山の上ちょっとだけ

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 わが裏庭のナナカマド。雑草がぼうぼうと生い茂り、正面からは足を踏み入れられないので(笑)、わざわざ裏通りへ回って撮影した。

 これまで実はならないと思いこんでいたのに、ちゃんと赤い実が…… ヘンだなあ。狐につままれたような気分になる。

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 ナナカマドの実を確認したついでに、ちょっとだけ近所を歩いてみた。

 写真は旧東栄小学校付近の案内図。内容が少し古いけれど、全国一千万の釧路ファン、とりわけ「山の上」愛好家の中には、これをなつかしくごらんになる方もいらっしゃるのではないかと思う。

 この案内図(右側が北)には記されていないけれど、釧路少年鑑別所の左斜め上が旧弥生中学校である。図の左端を走る線路が、石炭列車で名高い臨港鉄道。

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 旧東栄小学校の校舎脇から北、つまり浦見・釧路川方面を見下ろしたところ。やはりナナカマドが赤い実をつけている。

 正面の道をまっすぐ進んで坂を下れば南大通、目の前の道を左に折れて坂を下れば、やはり南大通。つまりこのあたりは丘のてっぺんだから、通称「山の上」。古くから開けた住宅地である。

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 ちょうど秋の彼岸だから、本行寺や門名寺の駐車場は満杯であった。写真は門名寺前だが……はてな、こんなところにバス停があったとは気づかなかった。

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 ネコ除けか、単なる飾りか、それともネコ寄せか? 本筋とはまるで関係ないが、おもしろいからついパチリ。

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 臨港鉄道の踏切近く。このあたりは海岸のすぐ近くなので、正確にいえば山の上ではない。

 いつもとは逆コースで歩いたから、ほんの少しだけ景色が新鮮に見える。超マンネリズムを避けるため、これでも少しは気をつかっているのである。

 山の上はぼくの縄張りだから、またいずれ。

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September 22, 2011

Daily Oregraph: 風雨強けれど

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 06時56分。まだ風は強く、吹き落とされた木の葉が路上に散乱していた。

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 07時04分。風向きが北寄りだから白波は立っていないけれど、不穏な空模様である。

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 ところがそのあと空はけろりと晴れ渡り、風もウソのように弱まって、10時25分にはごらんのとおりであった。しかし沖は相当シケていたはずである。

 釣り人たちは本能に導かれて(?)、いつものように続々と集まってきた。かれらがこの熱心さを勉学に振り向けていれば、釧路市からはえらい学者が輩出していたことだろう(笑)。

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 14時15分。雲が多く、日が射したり翳ったり。深まりゆく秋の空というよりも、夏の終わりの空といったところだろうか。

 とにかく台風の影響がさほどでもなかったのは幸いである。

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September 21, 2011

Daily Oregraph: 台風にそなえて

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 帰宅途中に中央埠頭から撮影。
台風にそなえて漁船や小型内航貨物船が錨泊している。西港とちがって東港内はシケに強く、これまでの経験からいえば、岸壁に係留したままでも台風をしのげるだろうと思うが油断は禁物。

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             (気象庁サイトの画像)

 台風が釧路を直撃するのはめったにないことだ。明朝9時通過の予報だが、これまた経験からいって、波がもっとも高まるのは台風が過ぎたあとだろう。

 このコースだと風は北寄り、つまり陸側から吹くので、港内のウネリはさほどではないと思う……といっても、土地の故老の話だから(笑)、あんまりあてにはならないけれど。

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 ひどい写真でもいいじゃないか。ヘタなんだもの。

 奥さん、明日の朝は風が強いから、きっと傘はさせませんよ。

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September 20, 2011

Daily Oregraph: 三陸上空から

 2011年9月15日。帰りの機内から撮影した、たぶん岩手県あたりの海岸部。

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 あたりまえのことといってしまえばそれまでだが、この景色を見るにつけ、人々の暮らしやすい土地の多くは、津波の被害をもろに受けやすい地形であることがよくわかる。

 いつかふたたび津波の襲来することが予測されるからといって、海岸付近の平坦な土地を避けて住宅地を開発するのはとてつもない難事業にちがいない。結局そう簡単には移動できない以上、危険を承知の上で同じ場所にもどるケースがほとんどではないかと思う。

 これは他人事ではなく、日本各地の海岸に位置する都市は、多かれ少なかれ同じ問題を抱えている。釧路もまた例外ではない。

 それにしても……地震多発国の海岸地帯に原発を建設するなど正気の沙汰ではないことを、あらためて痛感した。頭のいい御用学者の先生たちに欠けているのは、ほんの少しの想像力なのかもしれない。

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September 19, 2011

Daily Oregraph: 東京 番外編

これなむ都鳥

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 新橋1丁目1番地1号……ではなく、ゆりかもめ先頭車両の乗り場である。これまでりんかい線には何度も乗ったけれど、ゆりかもめは初めて。

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 大の男が三人、一番前の座席を確保して喜ぶ姿はこどもといっしょ。田舎者丸出しである。

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 モノレールかと思ったらちがうんだってね。おったまげました。

涙落としてほとびにけり

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 ぼくは一人で旅に出たら、まずろくなものを食べない。ケチともちがう。そもそも旅先の名物を食おうなどという趣味がまるでないのである。空腹さえしのげれば、食事などはなんでもよろしい。

 東京駅の地下街でしゃれたお店に入り、ハンバーグ・ランチだなんてあなた、そりゃ連れあればこそですよ。

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 夕食はさるお店で和食のコースをご馳走になった。シメはうどんすき。こんなゼイタクができるとは、感激で胸一杯、涙がこぼれそうになる。

 このお店の名物は凍結酒と称するシャーベット状の日本酒なのだが、注いでくださるままグイグイ飲んでいるうちに、すっかり酩酊君になってしまった。

夢かとぞ思ふ

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 このたびの写真はすべてこのカメラで撮影した。もちろん高級品ではないが、形状といい表面がツルツルしているところといい、ワイシャツの胸ポケットから出し入れするのがたいへん楽であった。

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 ちっぽけなカメラだけれど、サッと取り出してシャッターを切れば、オート任せでここまで写るのだからすごい。昔の普及品フィルム・コンパクトよりはるかに高性能というのは、まるで夢のようである。一眼レフはじゃまくさいし、もはや旅にはコンパクト・デジカメ一台あれば間に合うんじゃないだろうか。

 しかしこのカメラにかぎらず、コンパクト・デジカメには注文をつけたいところもないではない。まず合焦に時間がかかりすぎる。ワンテンポどころかツーテンポ遅れるのは、スナップ派にとって大いに不満である。またまったくピントの合わない場面が意外に多いのはどうしたことか。結局でかくて重い一眼レフの優位性は当分ゆるがないだろうと思う。

 ぼくが期待しているのは最近流行のレンズ交換式コンパクト・デジカメである。合焦さえそこそこ速くて確実なら、路地めぐり最強のツールになると思う。次回はどこのマチの路地をうろくつかしれないが、ぜひ試してみたい。


(以上 2011年9月14日撮影)

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September 18, 2011

Daily Oregraph: 東京 羽田路地編

 まったく期待していなかっただけに、羽田界隈の迷宮のような路地には驚いた。裏通り派としては、思わぬご馳走にあずかった気分である。

 2011年9月15日、稲荷巡りのついでに撮った写真を適当に選んでみた。気楽に路地歩きの気分を味わっていただければ幸いである。

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 まずはホテル前の通りを穴守稲荷方面へ向かって出発。ひどく暑い。

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 テクテク歩いているうちに、どうやら京急の穴守稲荷駅を見過ごしてしまったらしい。

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 裏通りへ入ると、釣船の看板に出くわした。軌道修正するためにいったん川へ向かうことにする。

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 この川は海老取川というらしく、少し先で多摩川に合流する。コンクリートで固められてはいるけれど、漁業集落の面影は残っているようだ。

 地図を確認すると、やはり穴守稲荷前をとっくに通り越している。

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 穴守稲荷前の通り。このあたりから路地の迷宮に足を踏み入れる。

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 路地の複雑さに気づいたのはごのあたりである。

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 鴎稲荷神社前。羽田小学校へ通う小学生たちだと思う。

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 それにしても朝から尋常の暑さではない。これほどの汗は釧路ではついぞかいたことがない。行き倒れになりたくはないから、近くの自動販売機で飲み物を買って一気に飲む。

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 おばさんのあとについてこの通りを抜け、

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バス通りへ出ると、白魚稲荷神社はもう間近である。

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 白魚稲荷を見物して、ふたたび海老取川沿いの道に出る。ムクゲが咲いていた。

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 汗を一升五合ほどかいてホテルにもどると、シャツはぐっしょりと濡れ、バケツに漬けた雑巾のようになっていた。

 朝風呂に入って下着を取り替え、ミネラルウォーターをごくごく飲んで、やっと人心地がついたけれど、もう年なんだからね、こんな無茶をしてはいけない。みなさまもどうか真似をなさいませぬように……といったって、路地歩きはやめられないか。

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Daily Oregraph: 東京 鴎稲荷・白魚稲荷編

 前回に引きつづき、2011年9月15日。穴守稲荷をあとにして、あらかじめ印刷しておいた道路地図をポケットから取り出すと、汗に濡れて折り目の端がちぎれかかっていた。

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 このあたりは路地が複雑に入り組んでおり、地図はあまり頼りにならなかった。そこで大体の見当をつけ、あっちへ曲がりこっちに折れながらテクテク歩いていると、コンパクトな神社がひょっこり姿を現した。鴎稲荷神社である。

 ちょうどゴミの日だったらしく、鳥居のとなりにゴミ袋が山と積まれていたのは気の毒である。


110915k_inari02_4  この道路は羽田道というらしく、案内板が設置されていた。

 鴎という名前の示すとおり、もともと漁業集落であったようだが、いまも近くの川沿いに小さな漁船や釣り船をたくさんみかける。

 散歩の間中、肝腎のカモメには一羽もお目にかかれなかったけれど、さほど残念には思わなかった。カモメなら釧路でさんざん見飽きているからである。

 白魚稲荷もそうだが、狐以外の生物の名を稲荷に冠しているのはおもしろい。鳥にせよ魚にせよ、狐に食われてしまうせいだろうか、どちらの神社にも(祠の中までは確認しなかったけれど)狐らしきものは見あたらなかった。

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 鴎稲荷神社の成立は弘化2年 (1845) とされており、穴守稲荷神社よりやや新しい。

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 住宅街に囲まれた鴎稲荷神社から白魚稲荷神社へ向かう。

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 白魚稲荷神社。やや広いバス通りに面しているが、これまたこじんまりした神社である。

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 鴎稲荷、白魚稲荷はどちらも羽田神社の兼務社である。祭神は宇迦之御魂命(うかのみたまのみこと)。

 この神社の成立年代は不明だが、17世紀中期から後期ではないかと推定されているらしいから、穴守稲荷よりも歴史のある古社である。

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 羽田七福稲荷というのがあって、両神社とも穴守稲荷とともに名を連ねている。残念ながらこのたびは時間が足りず、三福のみに終わってしまったけれど、

 七福に四福足りぬ三福に不服はいはずこれで満腹  薄氷堂

というわけで、朝っぱらから暑さをものともせずに散歩した成果は十分あったというべきだろう。いや、実際これ以上歩きつづけていたら、熱中症でバッタリ倒れていた可能性大である。

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 これはおまけ。弁天橋から見た羽田の大鳥居である。

 敗戦後移転を強制された穴守稲荷だが、なぜか鳥居には米軍も手をつけず、そのまま残されたという。ただしもともと鳥居はここにはなく、その後の空港拡張の障害となったため、平成11年に現在地に移転された。神風を吹かせて戦局を打開することこそできなかったけれど、神様も意地を見せて鳥居を守ったわけである。

 次回はこのたびの稲荷めぐりで歩いた路地をご紹介したい。

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September 17, 2011

Daily Oregraph: 東京 穴守稲荷編

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 2011年9月15日。朝食後ホテル前から羽田空港行きバスが出るまでの間に、約 1時間半の散歩を楽しんだ。いや、楽しんだというのはいささか無理がある。

 二日酔い気味のW君は部屋で休んでいたらしい。ぼくもたいして調子はよくなかったけれど、与えられた機会は最大限に活用したいから、暑さの中を汗を流しながら歩いたのである。この元気、あと何年持続することだろうか。

 ホテルのロビーにあった大田観光協会刊の「多摩川 かわめぐり地図」(写真はその一部)をながめて、目標を稲荷神社に定めた。神社マニアの血が騒いだわけである。歩いたのはおおむね赤い線で囲んだ範囲だが、記事を穴守稲荷編、鴎稲荷・白魚稲荷編、羽田路地編の三回に分けて掲載したい。

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 穴守稲荷神社。たびたび付近の堤防に大穴が生じたことから、文化元年(1804) に創建されたという。もともと現在の羽田空港敷地内にあったのだが、敗戦後空港拡張のため米軍によって強制退去させられ、この地に移転したのである。

 ずいぶん無茶な命令だけれど、敗者の運命がどういうものかよくわかる話だ。道理が通らないのは北方領土問題も同じである。

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 広大な敷地とはいえないけれど、境内はそこそこの広さがある。通勤の人たちが通り抜ける、一種の生活道路としても機能しているようだ。

 写真にはないが、神楽殿前にはベンチや灰皿もしつらえられ、住民の憩いの場にもなっているのは、いかにも町中の神社らしく好感がもてる。この開放性こそ神社の魅力のひとつだろう。

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 手水舎に用意された手ぬぐいには、工務店の名前が見える。使いこんだ感じが悪くない。

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 本殿。豊受姫命を祀る。

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 狐塚。お稲荷さんに狐がいるのはあたりまえだが、この神社の狐にはなかなか迫力がある。

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 いずれも眼光鋭く、さればこそ霊力も高いのであろう。

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 中にはこういうかわいらしいのもある。

 あとになって気づいたのだが、この瀬戸物の(?)狐はおみやげとして販売しているのかもしれない。小さな鳥居をひとつと狐をふたつ購入すれば、あなたの部屋もたちまち神社に変わるわけだけれど、そんなことがゆるされるのかどうかは不明。

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 境内には入れ子のようにいくつかの小さな稲荷社がある。人々の狐に対する信仰がこれほど篤いというのに、わがキタキツネがみすぼらしい姿でうろついているのはどうも納得がいかない。ブラキストン線からこっちは信仰が足りないのかな。

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 この鳥居の列をくぐった先に、穴守稲荷神社でもっとも興味深い建物がある。

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 奥之宮である。この神社のサイトの説明によると、ここは「お穴さま」とも呼ばれ、

 ここの「お砂」を持ち帰り、敷地内または玄関等に撒く。或いは身につけると所願がかなうと、古くから大勢の信仰を集めています。

という。

 しまった! お砂をもらってくればよかった。いや、笑ってはいけない。ご利益のない宗教にいったいなんの価値があるだろうか。

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 ぼくは神社マニアのくせに信心が足りないからよくわからないけれど、所願のかなった人々が奉納した小さな鳥居をここに納めるのだろうか? ちょっとシュールな感じのする場所である。

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 穴守稲荷神社の見物を終え、鴎稲荷神社へ向かう。

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September 16, 2011

Daily Oregraph: 2011-09-16 いずこにありても酔っ払い

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 今日の釧路の最高気温は 25.0度だったから、この時期にしてはずいぶん暖かい。それでも東京にくらべれば、この時間でもたぶん 5度以上は低いはずだから、ゼイタクはいえまい。

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 東京でもさんざん遊んで来たらしいともっぱらの評判だけれど(笑)、そんな男が幣舞橋を渡って河畔公園の不思議空間を歩いたからには、シラフでいるわけがない。

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 馬刺をはじめとして、いくつかご馳走をいただきながら、仲間たちとビール、日本酒、芋焼酎をぐいぐい……もちろん世界平和を祈りつつね。読者よ、ゆるしたまえ。


 東京シリーズは明日再開の予定。

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September 15, 2011

Daily Oregraph: 2011-09-15 東京疲労編

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 9月14日06時29分。朝から強烈な日光が降り注ぎ、とにかく暑い。

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 昼休み。とにかく暑い。

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 涼を求めて木陰に憩う人々。たしかに木陰はちっとはマシだが、それでも暑い。

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 いつ来ても工事中の東京駅。この分だと工事は22世紀までつづくのではないだろうか……そう考えるだけでも暑苦しい。

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 17時55分。いかにも涼しげな夕景だけれど、だまされてはいけない。

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 21時15分。釧路なら人影まばらな時間でもこのとおり。よく働き、よく飲み……親愛なる東京の労働者諸君は実にタフである。

 あちこちで路上にうずくまる人をみかけたが、無理もない。この暑さの中を一日働いたあとでしこたま飲んだら、いかにタフな東京人といえども、こうなるのはあたりまえだろう。

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 ノー・コメント。

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September 14, 2011

Daily Oregraph: 2011-09-14 銀座にて

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 いろいろあったが無事仕事も済み、最後のしめくくりは銀座。すてきなお店に連れていっていただいた。みなさまには Many thanks. である。

 ぼくもおおいにジャーナリスト精神を発揮し、仕事の合間にシャッターを切って、ブログのネタをしっかり確保した。委細面談、いや明日以降の記事をごらんいただきたいと思う。

 かなり酔ってはいるけれど、いつものことである。日付の変わらぬうちに記事を更新することができたのは、われながら上出来というべきであろう。

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September 13, 2011

Daily Oregraph: 2011-09-13 東京にて

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 空を飛べればなあという願いは、運賃さえ用意できれば容易にかなう。つまりスポンサーがいればね(笑)。

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 東京は暑い。もう九月だぜ、冗談じゃないよ、まったく。

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 今回の出張は同僚のW君といっしょ。こう暑くてはやりきれないから、さっそく居酒屋でビールを飲む。釧路ではふたりでしんみりという機会はありそうでないから、これはこれで悪くないものだ。

 明日は大事な仕事が控えているから軽くすませて外へ出ると、あいかわらず生暖かい風が吹いていたけれど、夜の底にはたしかに秋を感じさせるものがあった。

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 夜はまだちょいと早いけど、ポケットに突っ込んできたアーサー・マッケンの短編集を読んで寝ることにしよう。

 いや、ぬかりはないんだ。コンビニで芋焼酎とロックアイスを仕入れてきたからね。

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September 12, 2011

Daily Oregraph: 2011-09-12 月の出ぬ夜は

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 雨音で目がさめた。遠くで雷が低く鳴っている。ブラインドを開けると、お隣の軒下ではカラスが雨宿りしていた。

 残念ながらこの天気では名月をながめることはできない。しかしみなさまご存じのように、花見に行ったってだれも花なんて見ていやしない。月見も同じ。下戸には団子、上戸には酒があればいい。

 ペイパー・ムーンをぶらさげて一杯やるのもいいだろう。厚紙を丸く切り取ってアルミホイルを巻きつけ、蛍光灯のヒモにゆわえて吊すのである。

 まさか……とお思いだろうが、半分その気になったのはもう酔いが回った証拠だろうか。月が出ないのなら自分で作ってしまおうという発想が、われながら実にすばらしい。

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September 11, 2011

Daily Oregraph: 2011-09-11 秋といえば

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あす死ぬるいのちかも知らず秋刀魚焼く   鷹女

 今夜はその秋刀魚を食う。

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 明日は十五夜だそうな。鷹女の真似をすれば、この月が見納めかも知らず芋焼酎、というところか。わびしいねえ。

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 じっと秋の重みに耐える(?)老人。このポーズ、なんとなく宮澤賢治の写真を連想した。

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 コスモス。宇宙 (cosmos)とスペルは同じだが、語源は異なる。

 群れて咲く姿はうるさくてきらいだけれど、壁際にひっそりと咲く発育不良のコスモスはいい。ぼく好みである。わびしいねえ。

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September 10, 2011

Daily Oregraph: 2011-09-10 港の秋

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 気温は24.8度まで上がったけれど、まぎれもなく秋の空である。

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 しかし午後からは次第に雲が広がった。

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 さらば! 夕日に向かって出港してくれればカッコいいんだけど、ゼイタクはいいませぬ。 

 ひょっとしたら本船がぼくの担当する最後の船かもしれない。チャンスさえあれば、ギリギリまで船上セキュリティ・チェックポイントを撮影するつもりではいるが、さてどうなることか。

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September 09, 2011

Daily Oregraph: 2011-09-09 霧の中へ

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 昨日とは打って変わって冴えない天気であった。港は深い霧に包まれ、ときおり小雨がぱらつくのだからたまらない。当然のごとく、気分はクシャクシャ。

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 仕事の終わり近くに事務所の窓からふと港を見ると、ちょうど内航船が霧の中へ向かって出港するところだった。

 もう写真を撮る気力など失せていたはずなのに、ちょっと心が動いた。秋だなあ。

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Daily Oregraph: 2011-09-08 私の青空

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 「マイ・ブル~・ヘヴン」と歌いながら飛んでいたかどうかは、カモメに聞いてみなくちゃわからないけど、8日の朝は抜けるような青空。こんな空をスイスイ飛ぶのはさぞ気持がよかろうと思う。

 そういえば、昔英語の時間に I wish I could fly. とか I wish I were a bird. なんてのを習った覚えがある。前者ならなるほどと共感できるけれど、後者はいけない。いくら飛行が愉快だとはいえ、だれが鳥のようなみじめな境遇にあこがれるものか。

 第一手がないのは不便で困る。たとえ空が飛べなくたって、左手にビールのグラスを、右手にヤキトリを持って、飲んだり食ったりしたほうがいいことは明らかだろう。空を飛びながら片手にグラス、片手にヤキトリを持てればいうことはないが、そりゃあなた、天使になるしかありませぬ。

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 そんな青空のもと、本船が堂々と入港できたのはめでたい。

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 ロープを取って無事接岸にこぎつけ……

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 今日も船上セキュリティ・チェックポイントを撮影することができた。

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September 07, 2011

Daily Oregraph: 2011-09-07 空は晴れても

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 ひさびさに太陽を拝めたのはよかったけれど、ウネリは依然として収まらず、おまけに風波ともに強まってきた。これでは港外の本船を接岸させるわけにはいかない。

 気疲れとemail 疲れ(?)が重なって、夕方にはクタクタになってしまった。明日も早出。ここんところひどい天気つづきだけど、明日こそは頼むよ、ほんと。

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September 06, 2011

Daily Oregraph: 2011-09-06 台風恐るべし

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 つまらない写真だが、まったく無価値というわけではない。岸壁に沿ってみごとな正弦波をなすウネリがはっきり確認できるからである。風はほとんどなく、沖に白波も立っていないのに、波が防波堤を越している。

 大型貨物船は船体が走ってロープが切れ、とても接岸していられないので沖出ししてしまった。なにが怖いといって、ウネリほど怖いものはないのである。古家の漏りよりも怖いんじゃないかと思う(わかるかな?)。

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 湖陵高校前にて。ここしばらく観察をつづけた結果、ぼくはピンクの傘はいまどきはやらないという、恐るべき結論に達した。ああ。

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September 05, 2011

Daily Oregraph: 2011-09-05 風の音にぞ

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 今日もピンクの傘の女性はみかけなかった。

 ズームを望遠側にして通りの向こうを狙うつもりでいたところに、歩行者が飛び込んできた。おっと失敗。出来そこないの写真を掲載するのはどうも気がひけるけれど、これしか撮れなかったのだから、どうかご勘弁いただきたい。

 しかし今日の天気はよくわかると思う。夕方から風がにわかに強くなってきたけれど、雨は降ったりやんだりだから、この女性が強風の中で傘を広げないのは好判断かもしれない。

 ここ数日はとにかく湿度が高く、ベタベタしてやりきれない。とてもシラフではいられないのである。だが飲んでしまえばこっちのもの、湿度だって平気だし、風の音にも驚かず寝る。

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September 04, 2011

Daily Oregraph: 2011-09-04 弥生橋から

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 和歌山、奈良、三重では台風12号によって大被害を受けたらしい。幸い当地では風はやや強かったけれど雨も降らず、なんだか申し訳ないような気もするが、ノンキに散歩することができた。

 今日は旧弥生中学校付近シリーズの最終回として、中学校前の道路を東から歩くことにした。

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 うっかりすると気がつかないけれど、この通りには弥生橋という小さな橋がある。

 はてな、どうもおかしい。欄干はどうしたのだろうか?

 昨年5月の記事を参照していただくとわかるが、どうやら最近欄干が崩れたため(?)、応急的に補修されたらしい。

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 弥生橋から海を望む。あいにく霞んでいるが、晴れていれば千代ノ浦漁港の一部と太平洋が見えるのである。

 せっかくだから下へ降りて、中村水産の工場跡を見学してみよう。

 昨年もここから撮った写真を掲載しているけれど、今日は5年前に買った広角端35ミリ相当のデジカメ(Canon A710 IS)だし、季節もちがうので、ずいぶん印象が異なると思う。

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 水産工場跡へ行くには、いったん裏通りへ出て、弥生橋の下をくぐる必要がある。ずいぶん狭い道路だが、車が通れるのはここだけだから、工場操業当時はトラックが行き来していたのだろう。

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 このあたりは蚊に刺されそうな場所だからめったに来ないのだが、荒れ放題の草地と化しているので、植物を観察する価値はあると思う。

 これはオニユリだろう。

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 だんだん浜に近づいてきた。

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 浜の手前で振り返って見る。ここはいわゆる産業遺跡だけれど、知名度が低いせいか、雄別とちがって訪れる人はほとんどいない。ひょっとしたら、このあっけらかんとした空間には幽霊が出そうもないから不人気なのかもしれない。

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 臨港鉄道沿いに西を望めば、丘の上には旧弥生中学校の校舎が見える。

 かつてこの一帯に広がっていた遠浅の砂浜はすっかり浸食されて、いまでは見る影もない。昔は干潮時になると知人まで砂浜づたいに歩いていけたのである。

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 目を東に転ずれば、線路は千代ノ浦や春採湖畔へつづいている。しかし今日の散歩はここまで。

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 ふたたび弥生橋へもどって弥生中学校向かいの少年鑑別所前を通ると、ハマナスが真っ赤な実をたくさんつけていた。

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September 03, 2011

Daily Oregraph: 2011-09-03 風の吹く日に

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 湿気を含んだ風が強かったけれど、暴風というほどではない。

 朝のうち少しだけ降った雨はすぐに上がり、午後からはときどき日も射してきた。台風のスピードは非常に遅く、天気予報によれば、北海道が荒れるのは4日から5日にかけてとのこと。

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 夕方ぶらりと浜へ出てみると、わざわざ写真に撮るほどの大波ではなかったけれど、次々と白波が打ち寄せ、轟々とすさまじい音で海が鳴っていた。

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 帰り道に先日川中さんにお約束した写真を撮影。嵯城商店前の通りである。写真正面の坂を上れば右手に旧弥生中学校、お店の手前から右に折れて少し歩けば浜に出る。

 この古なじみのお店も、最近ではたまにタバコの自動販売機のお世話になるくらいで、近所の住人としてはなんだか申し訳ないような気がする。

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 このアングルからだと、左上に中学校の校舎が見える。すっかり見なれたあたりまえの景色だが、記録しておく価値はあると思う
なんの前触れもなく一変することがないとはいえないからである。

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September 02, 2011

Daily Oregraph: 2011-09-02 颱風来つつあり

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 台風12号はスピードが遅く、まだ四国の南の沖をウロウロしているというのに、ここ数日湿った空気が流れこみ、体がベタベタして気持が悪い。昨日あたりから西港にはウネリが入り、繋船ロープが何本か切れた船もあるらしい。

 予報では今夜も明日も雨。家の中でおとなしくしていろということなのだろう。さっぱりはかどらぬ読書を再開するとしようか。

 雨の晩は蒸留酒にかぎる。あいにくジンは切れてしまったけれど、ぼくは防災意識が高いから(笑)、ちゃんとウィスキーの備蓄はあるのだ。

 雨音を聞きながら、ひさしぶりに歳時記をめくってみた。

  
颱風の夜は紺靑の絽の寝間著   鷹女

 ぼくはうなじの湿り気を感じたね。紺青という色もいい。いっぺんに蒸留酒から日本酒へ向かって気圧計の針が振れたみたいだけど、残念ながら日本酒はダシ酒しかないんだよ。えらそうなことをいったくせに、防災意識が足りなかったようだ。

  
颱風來つつあり大小の紙の鶴   三鬼

 これで針が戻ったかな? この句には、丸ビンの安ウィスキーがふさわしい。高級スコッチでは逆に下品になるような気がするのだ。そいつをあまりきれいとはいえない指紋べたべたのグラスでストレート・ノーチェイサー。くいっと口に含み、いったん噛みしめてから、一気にノドに流しこむのである。

 まさか三鬼先生ご自身が鶴を折ったとは考えにくいから、ドラマがある。やはり女だろう。折り紙だから子連れの女とはかぎらないように思う。鶴は三鬼先生の留守に折ったのかもしれない。で、この場に女がいたかというと、ぼくはいなかったほうに一票を投じたい。

 男はひとりでウィスキーを噛みしめるのである……といったって、句中に酒ビンは登場しないけれど、シラフの男が折り鶴をじっとながめるなんてあんまりではないか。どうにもやりきれない話である。台風も来ていることだし、どうか一杯飲ませてやってほしい。

 大小の折り鶴は色紙で折ったものか、ありあわせの紙を用いたものか、女とは別れたのか、腐れ縁がつづいているのか……などと、さまざまなことを想像させる手腕には脱帽するしかない。

 なんてね、いいかげんなことを書き散らしたけど、入試問題じゃないんだから解釈が外れたって平気(笑)、国文科の先生、デタラメをゆるしたまえ。

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September 01, 2011

Daily Oregraph: 2011-09-01 乾杯の歌

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 いや、飲んだものだなあ。釧路市民はあっぱれである。こうして酔っ払ったあげく、みんな死んでいくのだろう。

 放射能を吐き出しつづける活火山を抱え、とてもシラフではいられない21世紀。人類の歴史もそろそろ九月にさしかかったころであろうか。

 さあ、飲もう。血糖値がどうした、尿酸値がなんだというのだ。そんなに気になるんなら、暫定基準値を上げればいいのさ。どうせあんたやおれの余命なんて知れたもの。乾杯だ、乾杯。

 そうはいっても……一晩でこんなに飲めやしないよね。

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