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August 31, 2011

Daily Oregraph: 2011-08-31 釧路マチ歩き

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 -あ~、きみきみ、今日はひさしぶりに北大通界隈を歩いたから、写真をいくつかお目にかけよう。

 -平日の昼間に北大通を散歩とはいいご身分ですね。

 -ばかいえ。仕事の途中で待ち時間ができたから、ほんの30分ほど歩いたのさ。

 -ふ~ん。でものっけからヘンな写真ですね。

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 -ヘンな写真とは失礼な。いつもいってるだろう、美術館の外に美を求めるのがプロというものなのだ。

 -で、プロはこんなワケのわからない写真を撮るわけですね。

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 -そこがマチ歩きの妙味だな。きみも大人になったらきっとわかるさ。

 -ちぇっ、この景色のどこが美なんですかね。

 -きみみたいに、なんでもけなすのが批評だと心得ちがいしている連中が多くて困るな。人はほめて育てなくちゃいけない。

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 -やれやれ……この写真はいったい?

 -作者みずから作品を語るのはご法度、ヤボの骨頂なのだが、きみみたいにもののわからん男には説明が必要かもしれない。

 -ではうかがいましょう。

 -今日は蒸し暑かった。まだ遠くにある台風の影響だろう。歩いているとじっとり汗がにじんでくる。いっそ歩くのをやめて喫茶店に避難したくとも、そこまでの時間はない。ああ、疲れるなあ。

 -どうもよくわかりませんね。

 -その倦怠感がふたつ並んだバケツからユラユラ立ち上っているのに、きみにはそれが見えないとでもいうのか?

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 -あ、ここはカラオケ屋ですね。

 -さよう。あるところにヒマを持てあました主婦がおりました。

 -え? なんですか、いきなり。

 -まあ、聞きなさい。亭主が職場で上司に叱られながら、泣き泣き仕事をしているというのに、彼女は自転車をこいでいそいそとマチに出かけ、昼間からカラオケに興じるのでした。女というのはしょせんそんなものなのだから、きみも気をつけなくてはいけません。

 -よくまあ、そんなデタラメな話を……

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 -これは?

 -つづきものになっているんだよ。さてカラオケをたっぷり楽しんだ主婦は、当然のごとくノドが渇いたな。そこで釧路名物の夕日ハイボールをゴクゴク飲むわけさ。

 -まさか、いくらなんでも主婦が真っ昼間からハイボールだなんて。

 -だからそこが女の底知れぬおそろしさなのだ。

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 -ああ、ぼくはだんだん頭がクラクラしてきました。

 -これはね、ふと目にしてギョッとしたのさ。真昼の首なし幽霊とはおもしろいじゃないか。

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 -おや、どうしてCDがぶら下がっているんでしょうね?

 -うむ、おれも最初はわからなかった。客寄せの飾りにしては、たった2枚というのが解せないしね。ヒントをあげようか?

 -お願いします。

 -ここは果物屋さんの店先なんだよ。

 -あ、わかった! カラスよけのおまじないですね。でもこんな写真を撮って恥ずかしくないんですか?

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 -こんどはカモメですか。

 -うむ。せっかくおつかいを頼まれて魚屋に来たのはいいけれど、金がないとは気の毒千万だよ。カモメの身にもなってみたまえ。

 -あの……ぼく、これで失礼します。

 -まあ、待ちなさい。写真ならあと20枚ほどあるんだから。おっと、ほんとに帰っちまった。ヘンな男だよ、まったく。

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August 30, 2011

Daily Oregraph: 2011-08-29 知人から南新埠頭へ (2)

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 「次回につづく」とカッコよく宣言したはいいけれど、この日は石炭を積みこむ船も人影もみあたらず、南埠頭にはなにも撮るものなんかありはしない。

 困ったなあと思ったら……あった、あった、アートがあったよ。いずこの書家が腕をふるったのか、日通倉庫の壁面に「一心」とあざやかに……え、見えないって?

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 じゃあ、これなんかどうだろう。古ぼけた倉庫の隅につつましく活けられた菊。深まりゆく秋にふさわしい作品である。

 カメラを持ってうろつくと、目のつけどころがシャープになる……というのは真っ赤ないつわり(笑)、ただの苦しまぎれですよ。

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 南新埠頭では船が荷役作業中であった。昔はこの岸壁にもよく仕事に来たものだが、西港の発展とともに訪れる機会は激減してしまった。

 さかんに長い髪を振り乱していたホソノゲムギの群落にも、ようやく衰えが見えてきた。

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 南新埠頭の東側は釧路重工のドックに隣接しており、船から取り外したとおぼしき大小さまざまの奇妙な物体が置かれている。

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 この場所の非日常性、意外性はたいへん刺激的で、日本的なワビサビとはまるで方向のちがう魅力に満ちている。

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 せっかく芸術の秋にひたっていたというのに、おやおや、ブラウン管TVやビデオデッキなどが不法投棄されているではないか。

 困るなあ。副港にある造船所近くの岸壁みたいに立入禁止のロープが張られたら、このモダンアートの展示場に出入りできなくなるからである。

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August 29, 2011

Daily Oregraph: 2011-08-29 知人から南新埠頭へ (1)

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 年期の入った案内図である。掲載してもご迷惑はかからないと思うが、念のため画像サイズを小さめにしておいた。この案内図は左が北を指しており、右側の路地の行き止まりが臨港鉄道の踏切。それを渡ると太平洋が広がっている。

 今日は知人(しりと)町の路地を往復してから、南埠頭・南新埠頭方面へ向かうという変則的なコースを選んで歩いてみた。いわゆるお散歩写真だから、どうか気楽におつきあいいただければ幸いである。

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 長いつきあいの路地だけれど、ふだんとは逆のコースというのは、ちょいと新鮮な気分である。

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 路地は短く、すぐに臨港鉄道の踏切に出る。踏切を渡るとすぐに知人の浜。

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 今日は少し波が高かった。霧のせいで紫雲台方面はまったく見えない。

 浜には人っこひとり見あたらず、貸し切りなのは実にいい感じだが、入水でもしかねないやつれた美女が波打ち際に立って海をながめていればもっと絵になると思う。

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 いつもと変わらぬ昭和の景色。フェンス沿いに線路がつづいている。ぼくが釧路八景を選ぶとすれば、ここは絶対に外せない。

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 しばらく砂浜をぶらぶらしてから踏切にもどる。この景色もまたいまどきのものじゃない。

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 踏切のすぐ隣は貯炭場。モノクロのように見えるがカラーである。よくよく見ると、石炭は単純に真っ黒なのではないということがわかる。

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 ふたたび知人町の路地へ。今日はいつもの黒猫には出会わなかった。

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 路地の入口が見えてきた。左手が南埠頭方面である。

 今日はズルをして車で来たというのはないしょね。このつづきは明日。

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August 28, 2011

Daily Oregraph: 2011-08-28 朝霧夕霧

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 港町岸壁の朝霧。太陽が出ているから明るく見えるのである。

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 日中は空が晴れ渡ったのに、夕方からふたたび濃霧になった。

 ひさしぶりにやってきたのは弥生中学校校舎跡。記録のつもりで何枚か撮ることにしよう。

 「弥生中学校」で検索してこのブログにたどりつく方がたまにおいでなので、ローカル紙ならではの大サービスである。

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 荒廃もある程度まで進行すると一服するらしく、建物は思いのほか荒れていなかった。

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 よほどインターホンのボタンを押そうかと思ったけれど、返事をされたら怖いから(笑)やめておいた。

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 裏手に回ってみると……屋根はカラスの休憩所と化したらしい。

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 なかなか印象的な木である。カラスどもはここをねぐらにしているようだ。

 わびしい景色だ。つくづく廃校とは悲しいことだと思った。

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 中学校前の通り。この坂を下って十字路を左折すれば太平洋は間近だが、この霧では海は波打ち際しか見えないだろう。

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August 27, 2011

Daily Oregraph: 2011-08-27 春採湖畔

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 ここしばらく天気がぐずついていたけれど、今日は快晴であった。

 肌寒い日がつづいたあとだけに、少し暑く感じたが、最高気温23.4度だからたいしたことはない。釧路では残暑といってもこの程度なのである。

 ご退屈だろうからいちいち写真は掲載しないが、春採湖畔ではミヤマニガウリ、エゾフウロ、ヒロハヒルガオ、ツリガネニンジンなど。

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 そうそう、ひとつだけ。今年はどうしたことか、エゾスグリが大不作である。これではもいで食べるわけにはいかないな。

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Daily Oregraph: 2011-08-26 ラーメンには麩を

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 十勝川河口橋。この橋を渡るのは何年ぶりだろうか。

 今日は十勝港(広尾町)に向かったのだが、往復約 300キロを同僚のW君が運転してくれたから、めずらしく VIP 気分である。

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 仕事をすませてから十勝港内をひと回りしてみた。穀物の荷役設備やサイロが建設された第4埠頭は目を見張る変わりようであった。

 (写真はパノラマ合成したもの。サイズちがいの写真を無理に合成したので、お見苦しいところはご勘弁いただきたい。)

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 3月の大震災で港内に流入したと思われる流木などがまだ残っていた。港湾地域の事業所は津波で相当の被害を受けたらしい。

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 昼食は地元スーパー内の食堂で。かつてぼくがひんぱんに十勝港へ通ったころ、ここでは500円で食べ放題という、信じられぬ安さの昼食バイキングを提供していたのだが、すっかり様変わりしていた。

 入ろうかどうか迷っているところへ、お店のおばちゃんが声をかけてきたのでその話をすると、

 -そうそう、バイキングやってたよね。いまは経営が替わったの。

 当時の仕事はいくぶん肉体労働もまじっていたので、昼は腹ぺこ。どんぶり飯を二杯も平らげていたのだから、われながら信じられない話である。

 -お客さん、どちらから?

 -釧路です。

 正直いっていまはあまりはやっているようには見えなかったが、おばちゃんと会話が成立したからには席につかざるをえなかった。

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 釧路ラーメンとはちがって太麺だが、スープは札幌系のこってり味ではなくあっさりしたもの。

 写真ではわかりにくいけれど、ノリの下には麩がある。釧路のラーメン屋で麩を入れるところはほとんどないが、以前広尾の別の食堂で食べたラーメンにも麩が浮かんでいた。

 なんとなく気になったので、勘定をすませるついでに、

 -広尾ではどこでもラーメンに麩を入れるんですか?

 -え? どこでもかどうかはわからないけど。

 意外な質問であったらしい。あたりまえのことをあらためて聞かれたという風に見えたから、

 -お家でラーメンを作るときには入れますか?

 -入れます。

 おばちゃんの隣にいたもう一人の女性にもたずねると、やはり麩は入れるという。するとおばちゃんが、

 -釧路では入れないんですか?

 -ふつうは入れませんね。

 -ラーメンに麩が入るとヘンでしょうかね?

 -いえ、とんでもない。すごくトクをした気分になりますよ。

 これにて一同大笑い、めでたし、めでたしだったが、ラーメンと麩の関係を全国的に調査すれば、日本民俗学界に一大貢献できるかもしれないとぼくは思った。しかしそのためには資金がいるから、どなたかスポンサーになっていただけないだろうか(笑)。

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 仕事に行ったのかラーメンの調査に行ったのかよくわからぬ日帰り出張を終えて広尾町を後にし、帰り道は十勝太から厚内へ抜けるコースを選んだ。

 写真は新しい厚内トンネルを厚内側から見たところ。入口をふさいだ旧トンネルが左手に見える。このあたりは太平洋を横に見ながら走る快適なドライブコースなのでおすすめである。


 なお本日から使用したカメラ名は記載しないことにした。よくよく考えてみれば、たいして意味はないからである。第一どんな安カメラを使っても、くやしいことに(笑)腕のいい人はそれなりに見せる写真を撮るものだ。

【追記】

 麩の入ったラーメンについては、2008年10月4日の記事をご参照いただきたい。

 ご参考までに……こちらが1999年6月11日に広尾町のある食堂で撮影した麩入りラーメンの写真。

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 なおこのラーメンにはワカメも入っている。ワカメ入りのラーメンはときどき見かけるけれど、個人的にはあまり好きではない。ワカメそのものはきらいではないが、ラーメンにワカメはちょっと異質な取り合わせという感じがするのである。

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August 25, 2011

Daily Oregraph: 2011-08-25 クシロの雨傘

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 残念。今日もピンクの傘をさした女性には出会わなかった。

 マチで見かけたこのおねえさん、いわゆる流し撮りにすべきだったのかもしれないけれど、こっちも傘をさしながらではそうもいかなかった。

 ごめんね、修行が足りなかった。

 実はこのあとひとりボランティアの女性がピンクの傘をさしてモデルになってくれたのだが(これ、ほんと)、外はすでに真っ暗。アルコールが入っていたから手ぶれ補正一段プラスと踏んで、生意気にもスローシンクロというワザを使ったのはいいが、さすがにシャッター速度1/2秒では無理があり、とてもお見せできるような写真ではない。

 ごめんね、未熟であった。

(Canon IXY 30S)

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August 24, 2011

Daily Oregraph: 2011-08-24 降っても晴れても

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 早朝は小雨がぱらついていたのに、午後からは日が射してきた。なあんだ、こんなことなら一眼レフを持ってきて、駐車場の花を撮ればよかった。

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 そんな次第で、ピンクの傘をさした女性を撮ることはできなかった。

 降れば降ったで文句をいい、晴れれば晴れたで失望するような不満分子に未来がないことは承知しているけれど、すべてに感謝せよと説教する坊さんはきらいだ。そんなえらそうなことは、諸葛亮孔明みたいに天候を自在にあやつる法力を身につけてからいってほしい。


 おれはね、花もピンクの傘の女性も撮りたかったんだよ(笑)。

(Canon IXY 30S)

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August 23, 2011

Daily Oregraph: 2011-08-23 雨のブルース

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 またしても雨。

 淡谷のり子女史は「雨よ降れ降れ」と歌ったけれど、雨は困る。昨日会社の駐車場前でおもしろい花をみつけたから、今日はぜひ撮ろうと一眼レフを用意していたというのに、これではだいなしではないか。

 そこで花のかわりに傘をさした女性をパチリ。ぼくは傘と女性の組合せには弱いのである。

 予報では明日も明後日も曇りときどき雨。そこのお嬢さん、特別出演を頼むよ、ほんとに。傘はピンクがいいかな。

(Canon IXY 30S)

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August 21, 2011

Daily Oregraph: 2011-08-21 トウキビの季節

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 やや小ぶりなれどトウキビ一本60円也。

 最近のトウキビはひたすら柔らかくて甘い。人間様向けに改良を重ねたのだろう。もちろんうまいことはうまいのだが、欠点は歯ざわり。フニャフニャして、なんとなく頼りないのである。

 こどものころ食べたトウキビは、たぶん現在輸入している飼料用のコーンに近いのではないかと思う。とにかく堅い。茹でたやつの実をほぐし、指でつまんでも弾力があって、簡単につぶれたりしないのである。

 噛みごこちはアル・デンテ。甘さもほのかに感じる程度で、噛めば噛むほど微妙なうまみがにじみ出てくる……つまり穀物であることをしっかり主張していたように記憶している。大人の味といってもいいだろう。

 家畜用でもいいから、そんな昔風のトウキビが手に入れば食べてみたいような気もする。小学校で飲まされたアメリカのブタ用ミルクよりまずい、なんてことはありえないだろうしね。

(Nikon D200 + Ai Micro 55mm F2.8S)

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August 20, 2011

Daily Oregraph: 2011-08-20 朝の温根内を歩く

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 -おや、温根内へ行くんじゃなかったんですか?

 -西港経由で行くのさ。

 -まだ6時5分ですよ。すごいにぎわいですね。

 -いや、みんな5時から集まっているんだよ。物好きだね。

 -人のことはいえませんよ。ぼくらだって。

 見れば半袖姿の人はだれもいない。細かい霧雨が降って、肌寒いくらいなのである。

 途中コロッケパンをかじりながら、なんだかんだと無駄話をして温根内の駐車場に到着すると、先客の車が2台停まっていた。

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 -いやあ、ビックリしましたよ。駐車場から下る途中、バラバラ音がしてしずくがたくさん落ちてくるから、雨になったのかと思いました。

 ほんとうにそうだ。ぼくも雨かと思って、車に戻ろうとしたほどである。木立の中を歩く間、木々の葉にたまった水が降り注いでいたのだ。

 とにかく暗くて光が足りない。三脚を使わず写真を撮るには最悪のコンディションである。

 -あ、エゾトリカブトですね。

 -きれいな花なんだけど、ダメだな。うまく色が出ない。この天気じゃなあ。

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 ビジターセンターの裏手から鶴居軌道跡へ通ずる小径に回る。クサレダマをみつけた。ここでこの花を確認したのははじめてである。

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 -ヒルガオですね。

 -ヒロハヒルガオだと思うんだ。花の色はふつう白いというんだが、ここのはみなピンクがかっている。ツルの先に花が咲いているね。

 -湿原の花じゃなくて、人里の花といった感じがします。

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 ヒヨドリバナ。これは春採湖畔にもたくさん咲いている。

 -ヒヨドリの鳴く頃に咲くからヒヨドリバナというらしいよ。

 -へえ、でもヒヨドリって知っていますか?

 -北海道にもいるらしいが、どんな鳥かぼくは知らない。ヒヨドリを知らぬくせにヒヨドリバナの名前だけを覚えても、なんだか虚しいような気がするな。

 -そういうことって、よくありますよね。

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 -これは?

 -シオガマギクだろう。キクといっても葉の感じが似ているというだけで、実はゴマノハグサ科なんだ。

 -なんでシオガマなんですか?

 -エヘン、牧野先生の図鑑によればだな、花だけでなく「葉までも」、つまり「浜でも」鑑賞に堪える、浜で趣のあるものといえば塩竃だからというシャレらしい。

 -へえ、ずいぶん手のこんだシャレですね。

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 -やっと木道に入りましたね。軌道跡の道はクマが出そうで怖かったからホッとしました。

 -見ろよ、またミゾソバの季節になったなあ。秋だよ、秋。

 -秋になると感傷的になるのは若い女性だけじゃないんですね。残り少ない人生を前にしたおじさんもまた……

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 -ミゾソバの花は金平糖に似ていますね。おや、どうしたんですか?

 -メガネが曇ってピントが合わないんだよ。おまけに暗いしさ、今日はダメだなあ。

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 ドクゼリの花。こいつが咲いているということは……

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 -ほらね、やっぱり。ドクゼリとサワギキョウはこの時期セットで咲くんだよ。

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 -おい、見ろ、ゴキヅルの花が咲いてるぞ!

 -そんなに興奮しなくたって。

 -ばかいえ、おれはこいつを見るために来たんだ。

 ゴキヅルはまさに花盛りであった。ここにもあそこにも、小さな白い花が顔を出している。

 ゴキヅルはその風変わりな実も楽しみだが、花を見ぬまま夏が過ぎてしまうのはいかにも心残りである。ほんとうによかった。

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 -ツリフネソウはね、尻尾がくるりと丸くなっているのが特徴なんだ。キツリフネは巻いていない。

 この天気では冴えないけれど、ツリフネソウは露に朝日が射したときに見ると格別美しい。エロティックな感じさえするのである。

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 -どうだい、天気はよくなかったけど、ゴキヅルの花も見られたし、おもしろかっただろう。

 -ええ……おや、駐車場はぼくたちの車だけになりましたよ。そういえば、国立公園貸し切り、途中だれにも会いませんでしたね。

 ほんとうにここは早朝来るにかぎる。じゃまが入らずにゆっくり歩けるからだ。

 写真に見える自転車の青年は、このあと案内板をじっくりながめていたから、ひとりで木道を歩いたのかもしれない。だとすれば幸運な人である。

(Nikon D200 + Ai 55mm F2.8S)

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August 19, 2011

Daily Oregraph: 2011-08-19 イヌホオズキの花

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 今朝は会社前の岸壁に車が約30台ほど並んでいた。ノンキな人たちがうらやましい。

 午後からは太陽も顔を出し、おまえも仕事なんかやめて外へ出ろという声が聞こえてきたのは、ひょっとして幻聴であろうか。

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 天命には逆らえないから仕事をサボって外へ出た(笑)というのはもちろんウソだ。

 港湾部で仕事をすませた帰り道に、イヌホオズキの花をパチリ。ぐずぐずしているうちに花期が過ぎてしまってはいけないからである。役に立たぬ植物とはいえ、花はなかなか愛らしいと思う。

 予報では明日も明後日も曇りだという。ひさしぶりに温根内へ行きたいのだが、どうしようか迷っている。

(RICOH CX2)

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August 18, 2011

Daily Oregraph: 2011-08-18 巷に雨の降るごとく

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 またしても雨。今週は天気が不安定である。こんな鬱陶しい天気がつづくおりしも、泊原発営業運転再開のニュースに、道民の間では高橋知事への不満や失望が広がっている。

 なにしろ福島原発事故の始末がてんで片づいていない時期だから、マスコミにも評判よろしからず、たとえばネットで拾った東京新聞の記事をごらんいただきたい。はるみちゃんボロボロ。よくここまで書いたものだなあ、と驚くほど辛辣な文章である。これを読んだあなたは、なんだ結局は北電から金をもらっていたのか、やっぱりなあ……そうお思いになるかも知れない。

 しかし東京新聞の書きようはあんまりではなかろうか。高橋知事にはファンが多く、実際に会って話したことのある方は、たいていその頭の回転の早さと人をそらさぬ応対ぶりにコロリとまいるらしい。失礼をもかえりみずぼくがはるみちゃんと呼ぶくらいだから、なかなかチャーミングな女性なのである。

 そんな彼女がたかが数十万円ほどのはした金とひきかえに、道民の安全を売り渡すような悪人であるはずがないではないか。だから「話せばきっとわかってもらえる」と期待する人々も少なくない。しかしぼくはいくら話し合ってもムダだろうと思うのである。

 なんだ、おまえさんざんホメておいてそれはないだろう? とおっしゃるかもしれないが、ホメるわけでもけなすわけでもない。よくお考えいただきたい。

 注目すべきは彼女の経歴である。属する世界がぼくらとはまるでちがうのだ。ぼくらが多数だけれど力のないその他大勢だとすれば、彼女は少数だが金も力もある人々の間で、道を踏み外すことなくすくすく育ってきた優等生である。彼女は根っから業界寄りの人なのだから、それがいかんと苦情をいったってしかたがない。そもそも話が噛み合うわけはないのである。

 彼女は正しいと信ずることを着実に実行しているにすぎない。つまり信念に基づき、雑音に惑わされることなく仕事を確実にこなす理想的な官僚なのだ。どんな議論をふっかけたところで、ああいえばこうと、優秀な頭脳を駆使して必ず巧みにかわすに決まっている。とてもあなたやぼくのかなう相手じゃない。

 だから夢を壊してまことに申し訳ないけれど、凡庸かつ素朴な庶民がいくら熱心に脱原発を訴えたって、彼女には少しも効果がないだろう。それが長く憂き世に生きてきたぼくの予想である。

 優秀かつ立派な人なのだ。だから困るのである。

(Canon IXY 30S)

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August 17, 2011

Daily Oregraph: 2011-08-17 船の代名詞

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 少しずつ日が短くなってきた。もうすぐ夏も終わる。

 さて写真とはまったく関係ないけれど、1996年の「船のセックス・チェック」という記事の中で、

 代名詞に「彼」が使われることもあり、トム・クランシーの小説の中に「敵潜水艦の」に his を使った例があります。

と書いたことがある。ふつう(潜水艦も含め)船の代名詞は she と相場が決まっているのにどうしてだろうと、ずっと疑問に思っていたのだが、先日それがやっと解決したのでご報告したい。

 やはりトム・クランシーの『レッドオクトーバーを追え』の中に答はあった。原文は以下のとおり。

  An American or allied ship was a she; the Russians used the male pronoun for a ship; and the intelligence community usually referred to a Soviet ship as it.

 そうだったのか! 結局ロシア人の視点から見た場面に船が登場するときだけ、それを忠実に再現するために、作者は代名詞に he を使っていたわけである。知らぬこととはいえ、ぼくもずいぶんデタラメな推測を書いていたものだ。世を惑わせた罪軽からず、ここに深くお詫びする次第である。

 手持ちの露和辞典ではсудно(スードナ=船)は中性名詞になっているが、トム・クランシーのいうとおりだとすれば、代名詞には男性を用いるのだろう。 судноには別に「容器」という意味もあるから、英語でいえばまさに vessel である。

 なおずいぶん以前のことだけれど、海運界では船一般の代名詞として  she はやめて it を使おうという提案があったことを覚えている。ただし現在 it が一般的になったかどうかはわからない。ふつうは依然として「彼女」のままのような気もするのだが、情報部員たちはことロシアの船に関しては時代の先取りをしていたらしい。

 今日は問題が解決するまでに15年もかかったという間抜けな話だったけれど、ずっと疑問を持ちつづけたという一点だけはどうか買っていただきたい(笑)。

(RICOH CX2)

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August 16, 2011

Daily Oregraph: 2011-08-16 イヌホオズキを切る

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 なかなかかわいらしい実だとお思いにはならないだろうか。このかたち、いかにもナスビの仲間である。

 今日はあいにくの雨だったので現場での撮影はあきらめ、小降りになったときをねらって、イヌホオズキらしき植物の実を一房だけ失敬してきた。サイズを測定するためである。

 天気のせいで室内がひどく暗く、三脚なしで撮影するのは一苦労であった。画像がザラついているところは、どうかご勘弁いただきたい。

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 5個の実はサイズが微妙に異なるけれど、一番小さいもので径約 6mm、ほかは 7~8mmというところであった。写真の実はほぼ 8mmである。

 アメリカイヌホオズキの実は一回り小さく、径 6mm内外というから、これは在来種のイヌホオズキと見てまちがいなさそうである。

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 当ブログはハッタリなし、タイトルどおりイヌホオズキを切ってみた。みずみずしい感じがするので試食してみようかとも思ったが、「イヌ」ホオズキというからにはまずいにちがいなく、やめにしておいた。

 実が熟したらタネがどうなっているか確認したい。お願いだから草刈りしないでくれよ。

(Nikon D200 + Ai Micro 55mm F2.8S)

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August 15, 2011

Daily Oregraph: 2011-08-15 イヌホオズキ?

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 ふだん気をつけているつもりでも見落としはあるものだ。仕事中に西港の裏通りをトボトボ歩いていると……おや、あれはなんだろう?

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 はじめて見る植物である。花はまぎれもなくナス科のものだ。ワルナスビの花をコンパクトにしたようなかたちである。

 図鑑を調べてみると、候補はふたつ。イヌホオズキかアメリカイヌホオズキのどちらかにちがいない。

 在来種のイヌホオズキ S. nigrum L. によく似ているが、アメリカイヌホオズキは葉の質が薄く、花や果実が小さく、種子も径 1.2mmと小さい。イヌホオズキは花が径約 8mm、果実が径約 8mmと大きく、種子は径約 2mmである。しかし両者を直接比較しないと区別するのはむずかしい。 - 『日本の帰化植物』(平凡社)

 果実の径を測ったわけではないが、滝田謙譲さんの『北海道植物図譜』にある図版の標本は「釧路市西港の荒れ地」で採取したものだから、イヌホオズキの可能性が高いと思う。

 どちらにしても、果実は熟すると黒くなるらしい。明日はコンベックスを持って再確認しよう。果実の黒く熟したところもぜひ撮りたい。

 ああ、こんなおもしろい植物を見落としていたとは!

(Canon IXY 30S)

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August 14, 2011

Daily Oregraph: 2011-08-14 春採湖畔

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 ミヤマニガウリはまだまだ元気だけれど、葉っぱの一部にしおれたものが現れはじめた。秋が忍び寄っているようである。

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 そろそろかな……と思ったら、やはり実の生長したものがみつかった。

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 今日は虫は見あたらなかったけれど、小さなカタツムリがへばりついていた。

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 今年の春採湖畔のビッグ・ニュースはイケマ(ガガイモ科)の大繁殖である。先週来たときも、おや? と思ったのだが、あちこちに群落ができている。そのぶんだけミヤマニガウリが目立たないと思うのは気のせいだろうか。

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 ミヤマニガウリとイケマの競演をごらんいただこう。どちらもツル性だが、印象はかなり異なる。

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 交尾中のコガネムシ。ぼくの視力ではピント合わせが困難だから、昆虫は敬遠したいところだけれど、これも自然観察の楽しみのひとつにはちがいない。

 名前は知らないが、このコガネムシは釧路地方ではよくみかける種類である。

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 毛むくじゃらで暑苦しいコガネムシのあとは、口直しにハッカ(シソ科)はいかが。ハッカの葉っぱはさわやかな香りがして、まさに夏向きの植物だと思う。

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 ホザキシモツケ(バラ科)。どことなく園芸植物みたいな感じがするように思う。

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 クサレダマ(草連玉。サクラソウ科)。春採湖畔では草むらに半ば埋もれているため、どうにも撮影しづらい花である。

 ハサミムシが写っているので、探してごらんなさい。

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 ここからはちょっと地味な花を。これはアキカラマツ(キンポウゲ科)。これまた写真に撮りにくい花である。もう一絞り絞ったほうがいいかもしれない。

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 ノブキ(キク科)。ずいぶんたくさん咲いているけれど、花が地味なせいか目立たない。黙々と生きているのである。

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 ヨブスマソウ(キク科)。堂々たるサイズの植物だが、花はいたって地味である。

 さて春採湖畔の植物は種類が豊富で、実はまだ撮影していないものがたくさんある。それらを探すだけでも、あと数年は確実に楽しめそうだ。

(Nikon D200 + Ai Micro 55mm F2.8S)

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August 13, 2011

Daily Oregraph: 2011-08-13牛肉を食ふ男

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 昨日とたいして気温は変わらぬような気がしたけれど、本日の最高気温は24.5度。好天だったのに、所用のため植物観察は断念せざるをえなかった。

 夕方外出したついでに副港に寄ってみると、イカ釣り漁船が集結していた。明日は日曜だから漁には出ないのだろうか。

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 副港といえば、お気に入りの場所が立入り禁止になっていた。

 この岸壁の突端には、漁船を解体したときに出るガラクタが置かれているのだが、そこへ大型ゴミを不法投棄する連中がいるらしい。困ったものである。

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 さて夏といえばこれ。冷凍庫でキンキンに冷やしたジンをオンザロックでやるのがぼくの好み。氷のほかにはなにも足さない。こいつにはグラスも飾り気ゼロの安物がふさわしい。

 話ができすぎているようだけれど、今夜はほんとに牛肉も食べたし(笑)、最高の気分である。

(Nikon D80 + Tamron A16)

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August 12, 2011

Daily Oregraph: 2011-08-12 飲めます、いや、飲みます

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 昨日の最高気温は31.1度、今日は29.2度と、夏らしい日がつづく。しかし霧がかからずからっとしているし、事務所にいるかぎり、開け放った窓からは心地よい海風が吹き込んでくるので、日中も快適そのものである。

 こういう日こそ昼間からビールを飲むとうまいのだが、世間様の手前そうもいかない。日曜日に飲んだヴェトナム製ビールの写真でがまんすることにしよう。まあ今どき流行の味じゃないけど、これはこれでハノイかどこかにいるつもりで飲めばけっこういける。一缶125円だからね、文句はいえない。

 いまの時期、水の中の話なら涼しかろうというわけで、数年前に50ページほど読んで放りっぱなしにしたままの『レッド・オクトーバーを追え(The Hunt for Red October)』を、昨夜からまた読みはじめた。

 まあ、あれこれ思い悩む文学青年(死語?)とは無縁のアメリカ万歳小説だけど、こちとらボケかかったおっさんだからたいして気にはならないし、海事用語の勉強のつもりで読んでみよう。

 問題は根気がつづくかどうかだ。若いころは多少つまらぬ長編でも一気に読み終えたものだが、だんだん気力が衰えてきて、「え~い、こんなタコな小説が読めるか!」と、文字どおり本を放り投げることが多くなったのである。

 そのくせいくら年を取っても「こんなまずい酒が飲めるか!」といって、コップを放り投げることがないのはなぜだろうか?

(RICOH CX2)

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August 10, 2011

Daily Oregraph: 2011-08-10 草木も眠る

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 雨。湿度は高いけれど、気温がぐっと下がるから霧よりも過ごしやすいと思う。

 さて真夏の夜にイギリス怪奇小説のアンソロジーをめくりながら、オンザロックを一杯やるのはなかなかオツなもので、雨降りの晩などには格別の味わいがある。

 幽霊出現の時刻といえば、わが国では丑三つ時(午前2時あたり)とされているが、イギリスの幽霊も同じ時間を好むという証拠をみつけたので、今日はそれをご報告しよう。

  時は午前2時。通りは墓場のように静まりかえっていた。

        (シェリダン・レファニュ 『エインジャ街怪奇譚』)


 これはまさにわが「草木も眠る丑三つ時」に相当する表現である。こんな発見をしたところで一文にもならないし、だれもほめてくれないのは悲しいが、ささやかな喜びを感じるんだよね。

 怪奇小説は丑三つ時に読むのが一番だけど、読書とともにウィスキーがはかどると翌朝にこたえる。ダメだよ、まねをしちゃ。あんた、明日仕事だろう。

(RICOH CX2)

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August 08, 2011

Daily Oregraph: 2011-08-08 ちいさい秋

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 驚いた。グンバイナズナがこんなに早く枯れるとは思わなかったのである。

 手前に見える白っぽいトゲトゲ風のものはワルタビラコ。こいつもワルと呼ばれたわりには老けるのが早い。

 あんただっていつまでも若いつもりでいるけどさ、たまには鏡を見てごらん。自然はね、冷酷なものです。

 駅裏で易者をしている薄氷堂などは、若い娘をかたっぱしからつかまえては、汝の容色はいずれ衰えるべしと説教するものだから、このごろではとんと客も寄りつかないが、賢者の言には耳を傾けるべし。

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 さて西港の路傍にちいさい秋をみつけ、わが余命いくばくなるやと考えこんだって、結局は死ぬまで生きるしかない。

 飲めるうちは飲む。食えるうちはイカ刺しを食う。とても賢者とは思われぬ発言だと、笑わば笑え。

 幸い今年はイカが豊漁のようである。今夜もイカで一杯だな。

(RICOH CX2)

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August 07, 2011

Daily Oregraph: 2011-08-07 春採湖畔

 今日の最高気温は24.5度だからそう暑くはないはずだが、なにしろ湿度が高い。体がベタベタするのである。

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 ひさびさの春採湖畔。もちろん目的はミヤマニガウリである。ちいさな花があちこちに咲いていた。

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 ミヤマニガウリの花は側面から見るべきである。正面からだとあまり美的とはいえないからだ。

 春採湖畔で見られるのは両性花。「
雄しべ3個、花柱は3裂し裂片の先がさらに2裂」(滝田謙譲『北海道植物図譜』)している。

 ミヤマニガウリには雄花もあるらしいのだが、ぼくはまだ見たことがない。死ぬまでに一度は見たいと願っているけれど、夢がかなうかどうかはおおいに疑問である。

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 ミヤマニガウリと昆虫……今日はハサミムシである。なんとなく気味の悪い虫だが、春採湖畔ではこいつをよく見かける。あまり気は進まないけれど、記録と割り切ってパチリ。

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 よく見かけるといえば、この小さなカタツムリもそうだ。たいていは殻の中にすっぽり隠れており、このようにツノを出しているのはめずらしい。

 カタツムリがはい回っているのはイケマの葉である。右下に花が見える。

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 ヨブスマソウ。これから花が咲くところである。地味な存在だが、どうか博愛の精神でよろしく。

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 今日の新顔はキツリフネ。このほか写真は割愛するけれど、エゾフウロ、ホザキシモツケ、エゾノレンリソウなど。北岸沿いではクサフジが花盛りであった。

(Nikon D200 + Ai Micro 55mm F2.8S)

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August 06, 2011

Daily Oregraph: 2011-08-06 「鉄」のすすめ

 今日は釧路名物の深い霧の中に出港する貨物船を見送ろうという趣向である。

 いつもなら最後まで見送るのは貨物船愛好家のぼくだけなのだが、今朝は同僚のW君も加わって、めずらしく二名。豪華客船の見送りにくらべればひどくさびしいけれど、いつもの倍である(笑)。

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 最後のロープを放すところ。これを放した瞬間が出港時間である。

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 写真ではタグボートがトモ(船尾)側に一隻しか見えないけれど、オモテ(船首)側にもう一隻。まずは岸壁から平行に船体を引き出す。

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 本船は東を向いて接岸していたから、出港するには船首を180度回さなければならない。

 そこで岸壁から十分離れると、オモテのタグボートは引きつづけ、トモのタグボートは押しつけはじめる。貨物船の写真を撮るなら、この前後がねらい目だと思う。

 鉄道写真より愛好家は少ないけれど、船舶写真ファンも確実に存在する。「鉄」というなら船は鉄の巨大なかたまりなのだから、機関車など目じゃない。

 石炭時代とはちがって、いまは煙突からモクモクと黒煙を吐き出さないから人気が今ひとつなのだろうか。全国の船舶愛好家の奮起をうながしたいところである。

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 ほぼ90度回って、船首が南を向いたところ……なにしろ濃霧だから、いちいち書かないと方角がわからないのである。

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 船体が少しずつ霧に溶けこんでいくように見える。

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 ああ、消えてゆく……

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 霧と船とは混然としてひとつになり、船体はこのあとすぐ完全に姿を没した。

   
船は長くもの悲しい汽笛を霧の中に放った。

            (ジェイムズ・ジョイス 『イヴリン』)


 この幻想的な光景を目にしたあなたは、きっと霧の釧路港を出港する貨物船の魅力にとりつかれたにちがいない。


(Nikon D80 + Tamron A16)

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August 05, 2011

Daily Oregraph: 2011-08-04 国際的田舎者

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 めずらしくにぎわう船上セキュリティ・チェックポイント。今日は貨物船に惜しみなく愛情を注ぐお客様が、はるばる東京からおみえになったのである。

 おもしろい記念写真も何枚か撮れたのだが、残念ながら公開するわけにはいかない。世界初のチェックポイント写真家であるぼくの後継者になるかもしれぬ女性にせっかくご登場いただいたというのに、後ろ姿だけとはさびしいかぎりである。

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 一枚だけではなんだから、船内風景を。

 メスルームでコーヒーをごちそうになっていたら、乗組員がアメリカのバスケットボールの録画らしいものを熱心に見ていた。

 ビデオテープではなさそうだったので、超簡単英会話で……

 -DVD?

 -No.

 ああ、なんと画面に映っていたのはプレイステーションのゲームなのであった。へえ!? ずいぶんリアルなものだなあ。
おったまげました。

 正直いうと、ぼくがプレイステーションを見たのはこれが初めて。田舎者丸出しである。おれは日本の恥ではないか。

(Canon IXY 30S)

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August 03, 2011

Daily Oregraph: 2011-08-03 貨物船にも愛を

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 08時42分。西港に入港した本船と待機中の綱取りボート。この時間に接岸するのはめずらしい。
いつもなら約 2時間前に作業しているところである。

 本船の船首は垂直に近く、包丁でストンと切ったような感じがする。昔の軍艦を思わせるのだが、最近の造船界ではこういうのが流行なのだろうか。

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 先日飛鳥Ⅱが入港したときは大勢の市民が歓迎したらしい。釧路は港町なのだから、市民が客船に関心を持ってくださるのはまことにけっこうなことだと思う。

 しかし当港は国際バルク戦略港湾に選定されたことでもあるし、これからはその関心を客船だけでなく貨物船にも拡張していただければ……とぼくは願っている。マチでこの連中をみかけたら、どうか温かく迎えていただきたいのである。博愛の精神ね。

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 今日の船上セキュリティ・チェックポイント。担当はとても実直そうな船員であった。

(Canon IXY 30S)

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August 02, 2011

Daily Oregraph: 2011-08-02 真夏の夢

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 夏向きの話をしよう。

 いつの間にか自分は四畳半ほどの古い和室にいた。記憶にあるようなないような、なつかしいような初めて見るような部屋である。どうも部屋は二階にあるらしかった。

 室内はものをぼんやり識別できるほどには明るいけれど、不安を感じるから灯りがほしい。やけに高い天井には旧式の蛍光灯があって、そこから長いヒモがぶら下がっている。

 しかし何度ヒモを引っぱっても電気はつかない。ヒモを引きながら見上げると、点灯管は一瞬青白く光るのだが、蛍光管は沈黙したままなのである。

 あきらめて窓際へ行き、引き戸になっている木製の窓を開けると、北国らしい二重窓である。外側の窓はひどく離れていて、そこから見える空はちょうど室内と同じ明るさであった。なぜか永遠にそれ以上明るくも暗くもならぬように思われた。

 内側と外側の窓の間にはアロエの小さな鉢がある。頭でっかちのアロエは、根元のあたりから折れそうになっている。アロエはぼってりしているからきらいだ、とぼくは思った。

 -しかし折れるのはいやだ。折れたらどうしよう。

 折れ曲がっているあたりにさわってみると、皮一枚でつながっている感じがした。いやな気分である。

 ばかに大きな綿ぼこりがいくつも漂っていて、部屋の中をふわふわ上下している。ふと天井の隅を見上げると、そこはほかよりも少し明るく、なにかの影が動いていた。

 -魚だ。ずいぶん大きいが、金魚だろうか。

 水槽は見えないのに、魚の泳ぐ影が天井際の壁に映っているのである。長い間人の住んだ形跡のない部屋に魚がいるからには、餌をやらなくてはならない、とぼくは思った。

 影の動いている手前-あいかわらず水槽は見えない-に、小さな青い紙箱が見えた。金魚の餌である。手を伸ばしてそれを取ろうとしたが、クモの巣やほこりがじゃまをしてうまくいかない。

 -ああ、この部屋はだめだ。第一空気が濁っている。風を入れなくてはいけない。

 外側の窓は遠い。手前にはアロエの鉢がある。そこでいったん外へ出ようとドアを開けて廊下に足を踏み出したとたん、部屋の中から猛烈な風が吹いてきた。見ればドアのまん中にはまった長方形のガラスがそっくり割れていて、風はそこからも吹き出してくるのであった。

 ぎょっとして立ちすくむと、部屋の中にいきなり人影が現れた。顔かたちはわからぬが背の高い男がひとり、その左側に女がひとり、右側には男の子らしい影がひとつ。なんだか遠い昔に出会ったことがあるような気もするが、思い出せない。

 しかしそれも一瞬のことで、人影も金魚の影もアロエの鉢も、なにもかもが部屋とともに消えてしまった。

(Canon IXY 30S)

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