Daily Oregraph: 2011-08-17 船の代名詞
さて写真とはまったく関係ないけれど、1996年の「船のセックス・チェック」という記事の中で、
代名詞に「彼」が使われることもあり、トム・クランシーの小説の中に「敵潜水艦の」に his を使った例があります。
と書いたことがある。ふつう(潜水艦も含め)船の代名詞は she と相場が決まっているのにどうしてだろうと、ずっと疑問に思っていたのだが、先日それがやっと解決したのでご報告したい。
やはりトム・クランシーの『レッドオクトーバーを追え』の中に答はあった。原文は以下のとおり。
An American or allied ship was a she; the Russians used the male pronoun for a ship; and the intelligence community usually referred to a Soviet ship as it.
そうだったのか! 結局ロシア人の視点から見た場面に船が登場するときだけ、それを忠実に再現するために、作者は代名詞に he を使っていたわけである。知らぬこととはいえ、ぼくもずいぶんデタラメな推測を書いていたものだ。世を惑わせた罪軽からず、ここに深くお詫びする次第である。
手持ちの露和辞典ではсудно(スードナ=船)は中性名詞になっているが、トム・クランシーのいうとおりだとすれば、代名詞には男性を用いるのだろう。 судноには別に「容器」という意味もあるから、英語でいえばまさに vessel である。
なおずいぶん以前のことだけれど、海運界では船一般の代名詞として she はやめて it を使おうという提案があったことを覚えている。ただし現在 it が一般的になったかどうかはわからない。ふつうは依然として「彼女」のままのような気もするのだが、情報部員たちはことロシアの船に関しては時代の先取りをしていたらしい。
今日は問題が解決するまでに15年もかかったという間抜けな話だったけれど、ずっと疑問を持ちつづけたという一点だけはどうか買っていただきたい(笑)。
(RICOH CX2)
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