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July 09, 2011

Daily Oregraph: 2011-07-09 原発百まで……

110707warutabirako
 7月7日に撮影した西港のワルタビラコ。前回の写真とくらべてみると、花茎がずいぶん伸びてきた。渦巻状にクルリと曲がりかけてきたことがわかる。けっしてみかけはよくはないけれど、おもしろい花である。

 さて九州電力のやらせメールが問題になっているが、どこの国のどんな業界だって、あらゆる汚い手を使って利益を追求しようとするのは当然だろう。だからさほど驚くにはあたらない。

 もちろん九電を弁護しているわけではない。善か悪かといえば、当然悪いにきまっている。しかしその悪いことをするのが人間という生き物なのではないだろうか。あと千年たっても悪風があらたまるとはとても思えないのである。

 6月30日付けのジャパンタイムズに、アメリカの原発業界に関する AP の記事が掲載されていた。このすぐれた記事はかなり反響を呼んだらしく、ネットでもあちこちで引用されているが、ジャパンタイムズのウェブではすぐにみつからなかったので、こちらからお読みいただければと思う。

 例によって思い切り乱暴にまとめてみると、

 ・1960年代から1970年代にかけてアメリカで建設された原発の設計耐用年数は40年。官民ともに当時はそう明言していたし、実際に設計にあたった人物も耐用年数のあることは認めている。

 ・ところが2000年からライセンスの更新時期を迎えた業界では、なんだかなんだと屁理屈をつけて、まだまだ使えますという申請書類を NRC(原子力規制委員会)に提出。

 ・NRC ではろくに審査もせずにポンポンとスタンプを押し、これまでに 104基の原子炉のうち 66基のライセンス更新を認めている。

 ・ここ数十年、老朽化してきた設備を基準内で運転しつづけるために、原発に関する基準はたびたび緩められてきた。

 ・業界では原子炉は少なくとも80年は持つという見解が6割以上を占めている。

 ああ、やっぱりね、と思わないだろうか。どこの国も同じ、結局こうなるわけだ。

 新たに原発を建設するとなれば、べらぼうな投資が必要だし、このご時世では建設用地を確保するのはかなりむずかしい。そんな苦労をするよりも、古い設備をそのまま使いつづければ丸儲けである。80年たったら、あと20年は持ちますというにちがいない。

 利益優先、官民癒着と批判するのは簡単だが、こういう悪しき状況を改善できるかというと、この世に金のあるかぎり、人間が人間であるかぎり、なかなかうまくはいくまいとぼくは思う。

 五百万円差し上げますから、雑誌の原発PR記事にご登場願えませんかと頼まれて、ホイホイと引き受けないだけの気骨ある「文化人」がいったいどれだけいるだろうか。

 おまえ、やらせメールを書け、と親会社や上司に指示されてキッパリ断れる人がいったいどれだけいるだろうか(この場合、日々の生活がかかっているだけに選択の余地は少なく、「文化人」よりはるかにつらい立場といえる)。こと原発にかぎらず、金の力を前にすれば、精神の自由とはまことに得がたいものであることがわかる。

 さて上記記事を書くにあたって、AP通信では、

 多くのインタビューを行い、数千ページにも及ぶ業界や政府の記録・報告書・データを分析した

という。日本のマスコミにもぜひ見ならってほしいものである。

(Canon IXY 30S)

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