Daily Oregraph: 2011-07-02 夏、ミヤマニガウリ
7月に入ったとたんに最高気温が一気に20度台に上昇し、いよいよ本格的な夏の到来である。もっとも本州よりも気温が10度は低いので、快適そのものである。
春採湖畔ではヒオウギアヤメの群落がみごとであった。あちこちで爆発的に開花しはじめたセリ科の大型植物が季節の変化を告げている。
しかし春採湖畔の夏の主役といえば、なんといってもミヤマニガウリ。こういう味のある役者が冷遇されているのは実に不公平というべきである。そこで今日は自由・平等・博愛の精神に則って、この驚異の植物の特集を組むことにした。
まだ花も咲かぬうちから目を楽しませてくれる植物というのは、ほかにはめったにない。あらゆるものにからみつくツルの挙動がおもしろいのである。
一見華奢な植物だが、どうしてどうして、こいつにからみつかれたが最後、逃れるすべはない。
このエゾオオヤマハコベをよく見ると、首をきつく締め上げられているうえに、花びらのひとつにもツルがからみついている。しかも空中にある 2本のツルは次の獲物をねらっているらしい。
枝や茎にツルがからみつくのはあたりまえ、葉っぱ返しのわざまで披露してくれる。この分厚い葉を引っぱって支えているのだから、相当の腕力があるにちがいない。一見弱そうな相手をなめてかかるとひどい目に会うという教訓であろう。
撤退を知らぬツルたちの行き着く先は……まさに自縄自縛、こうなるともうほどくのは困難だろう。
温根内のゴキヅルも付近の植物にからみつくけれど、ミヤマニガウリほど好戦的でも侵略的でもない。もう少しお上品なのである。
さて先日ミヤマニガウリの葉っぱを食べるテントウムシ(正確にはオオニジュウヤホシテントウ)をご紹介したけれど、今日はこのテントウムシがやたら多かった。
オオニジュウヤホシテントウはふつうジャガイモなどナス科の植物を食い荒らす害虫とされる。しかし今日もたいていはミヤマニガウリの葉の上にみかけたし、そこで交尾しているカップルも二組確認したので、やはりこの葉が好物なのだと思う。
ミヤマニガウリの葉ならほとんど無尽蔵にあるのだから、いくら食べてもおとがめなし、だれも害虫とはいわないだろう。春採湖畔のオオニジュウヤホシテントウは、ウリ科の葉っぱを長年食べつづけているうちに独自の進化をたどるかもしれない。もっともそれを確かめようはないけれど……
ミヤマニガウリが猛威をふるうのはこれからである。ハリウッドのB級映画より断然おもしろいので、あなたもさっそく明日から春採湖畔へ!
(Nikon D200 + Ai Micro 55mm F2.8S)
The comments to this entry are closed.
Comments