Daily Oregraph: 2011-07-25 植物ワンダーランド
胸に錨のマークがないとカモメなのかアヒルなのか、水兵なのか幼稚園児なのか区別しにくいけれど、役目を終えた着ぐるみは絵画展の絵と同時に片づけられた。
恒例の行事がひとつ終わると、早くも年をひとつ重ねたような気分になるから妙である。
しかし植物観察の季節はまだまだ終わってはいない。
先日写真を撮った場所から少し離れたところに小ぶりのグンバイナズナをみつけた。出遅れた個体だとしたら花が残っていやしないかと期待したけれど、やはり花期は終わってしまったようだ。
軍配型の果実のひとつひとつが花のなれの果だとは信じられないほどふしぎな植物である。来年こそはぜひとも花を撮影したいものだ。
果実をよく見ると、まん中に縦の切れ目が入っている。きっと完熟したらひとりでに裂けてタネが落下するのだと思う。それも確認しなくてはいけない。
ワルタビラコの成長ぶりを目にすると、なんとなくエントロピーということばを連想する(笑)。よくもまあ、これほど傍若無人に茎を伸ばすものだと感心するのである。
しかも美しい曲線を描くミヤマニガウリのツルとは大ちがいで、その描く模様は実に見苦しい。北海道弁でいえば、みったくない。たしかにこいつはワルである。
もっとも一見無秩序かつデタラメのようでいて、実は茎の成長のしかたには一定のルールがあるはずだし、どこぞの大学の研究者がワルタビラコをテーマに博士号を取ろうとして、デートにも行かず、飲み会にも参加せず、日夜黙々と観察をつづけているかもしれない(ちょっと想像しにくいけどなあ……)。
生物の世界は広大な宇宙にも劣らぬふしぎに満ちている。株価の上下や為替レートの変動にばかり気を取られている場合じゃないぞ。そうワルタビラコは教えているのである。ぼくにえらそうなことをいう資格はないけどさ。
(Canon IXY 30S)
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