Daily Oregraph: 2011-03-30 地噴津特約
オドメータの数字がいっぺんに1千キロ台に減ってしまった……といっても、メータが故障したわけではない。なんと車が新しくなったのである(といっても試乗車上がりの中古だけどね)。
3月11日の記事に書いたとおり、ぼくの車は西港を脱出する際、津波によって冠水した道路を無理に走らざるをえなかった。その途中エンジンがいったんストップしたもののやがて復活し、翌日からはなんの不具合もなく動いていた。
しかしなんとなく気になったので、数日後になってディーラーに点検を依頼したところ、意外にも大損害をこうむっていることがわかったのである。一見しただけではわからなかったけれど、ほとんどの重要な部品に海水が侵入しており、いずれ重大な故障が起きること必至というのだ。走行中にいきなりエンジンが止まる可能性もあるという。
最低でも数十万の損害となれば、車両保険のお世話になるしかない。車両保険ではこの種の損害は免責となるのだが、幸いぼくは地震噴火津波特約(略称地噴津特約)をつけていたのでカバーされるのである。
ぼくがこの特約の存在を知ったのは、2003年9月26日の大地震によって倉庫内の貨物が荷崩れを起こし、たまたまその近くに停めてあった車のフロント部が大破した(上の写真)ときであった。車両保険があるからだいじょうぶだと思っていたら、地震による損害は免責だというのでビックリしたのである。それを機に特約をつけたことはいうまでもない。
さて海水中を走ったぼくの車はどうなったかというと、あれこれチェックした結果、なんと全損というから驚いた。水没車と同じ扱いになるため、一切メーカー保証は効かなくなるのだという。保険会社としても、全損となった水没車は、たとえ次の車が納車になるまでの短い期間といえども一切運転はまかりならぬ、万一事故を起こしても保険は無効だというのである。
全損が認められたから保険金を限度までもらえるのは大いに助かった。もちろんそれだけで新車一台ポンと買えるわけではないし、程度のよい中古車を手に入れるためには?十万円の追加出費が必要であった。臨時の出費は確かに痛かったけれど、保険金がおりなければ何倍もの涙が出ていたところである。
そういえば、あのとき冠水した道路を何台もの車が走っていた。それらの車のエンジンが止まらずに走破できたのは、はたして幸運だったのかどうか。ディーラーの方のお話では、結局は水没車と同じ結果になるらしい。海水は非常にタチが悪く、当面はなにごともなく走ることができても、いずれほとんど確実に問題が生じるらしいのである。ぜひとも点検を受けるようおすすめしたい。
その場合、修理はもちろん引き受けるが、以後メーカー保証はなし、修理後トラブルが生じても完全には責任は持てない。それでもよければ誓約書を取りつけたうえで修理するというのである。地噴津特約などつけていない人がほとんどだから、実際その条件で修理を依頼したお客さんが何人もいるらしい。それはそうだと思う。下取り価格ゼロですぐに車を買い換える余裕のある人などそうざらにはいないだろうしなあ。
実はその地噴津特約をみなさまにもおすすめしたかったのだが、本日保険代理店の方とお話ししていたら、保険会社ではつい先日から地噴津特約の引き受けを中止したのだという(ただし従来からの継続分については、いまのところ引き受けるらしい)。このたびの大震災の余波であろう。さすが保険会社は機敏なものだと感心した。
このたびの災難、運が悪かったような、よかったような、複雑な気分である。
Recent Comments