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January 30, 2011

Daily Oregraph: 2011-01-30 北大通を歩く 往路編

 思い切って取材を敢行した。といっても海外へ出かけるほどのヒマも金もないから、釧路駅まで行ってせめて旅行気分にひたろうという、涙ぐましき低予算ロケである。

 しかしこれがなかなか楽しめたので、まさに最低費用で最大幸福(笑)。その成果を3回に分けて、ノンキなレポートを掲載したい。

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 まずは車を港文館裏に停めて、幣舞橋へ。橋の下の氷はこんなぐあい。気温は-6度だが、風がないから快適に歩くことができた。

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 橋を渡ると……おや、案外人出があるようだ。いや、冗談ではなく、画面を拡大してチェックしたところ、歩行者を九人まで確認できたから、休日の北大通にしては少なくないのである。

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 やはり歩くにかぎる。ふだん見過ごしているものを発見できるのだ。

 道路標識の片側に児童絵画らしきものが見える。かなりのサイズだから、原画を拡大したのだろう。おもしろい試みだが、意図のほどは測りかねる。

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 取り壊されたビルの跡地が駐車場になり、偶然芸術の現れた場所。大通りからこういう景色がむき出しになっているところは、情けないといえばいえるけれど、世の中にはこういうのをおもしろがる変人もいるのである。

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 これも上に同じ。こういう壁面を意図的に作ろうとするのは困難なのだから、偶然芸術の資格十分である。

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 十字街にさしかかる。ここの標高が1.7メートルとは新発見であった。なるほど津波に襲われればひとたまりもあるまい。

 ふだんから町歩きをしていればいざというときに身を守れる、という好例である。

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 信号を渡れば、釧路市民にはおなじみの景色。ああ、マチへ来たという実感が得られる、いまとなっては貴重な一角である。このへんから駅にかけて、人影はほとんど見あたらなかった。

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 残念ながらその後偶然芸術には出くわさぬまま釧路駅に到着……といっても、実はこの写真は帰りがけに撮った一枚である。釧路駅編は明日掲載する予定。

 ついでながら……ちょっと見にくいかもしれないけれど、画面右端に一人のおじさんが写っている。このおじさん、ぼくが駅に到着したときはすっくと立って、朗々たる声を張り上げて古い歌を歌っていたのにはビックリ。その昔は新宿駅のフォークゲリラだったのかもしれない(笑)。

(Nikon D200 + Ai 35mm F2S)

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January 22, 2011

Daily Oregraph: 2011-01-22 弥生中学校~さいはての停留所

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 弥生中学校前の坂道を登りながら、こう考えた。

 地道に書けば目立たない。流行(はやり)に乗れば流される。Easy を通せば退屈だ。とかくに記事は書きにくい。

 書きにくさが高じると、田舎を出て旅をしたくなる。どこへ旅をしても書きにくいと悟った時、記事が生まれて、画が撮れる。

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 そう悟ったつもりになったところで、とても
霊台方寸のカメラ(≒魂宿る心というカメラ)に澆季溷濁(ぎょうきこんだく≒人情乱れて濁った世)の俗界を清くうららかに収め得ることなどできそうにないのである。

 しかしそんなことにはお構いなしに、澄み切った冬の青空の下、閉校になった弥生中学校の校舎はひっそりと眠っていた。

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 おや、体育館に真新しいアルミのドアができていた。「監視カメラ作動中」と標示されているドアの向こうには、PCB なる物騒なものが保管されているらしい。なるほどこれが澆季溷濁というやつらしい。

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 監視カメラの前にいつまでも身をさらすのはご免だから、いつものように校舎の脇を通って浜へ降りようとしたら、道がついていない。

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 やむをえず、いったん学校前の道路に出て、校舎裏をめざす。写真左上には、釧路埼灯台が見える。

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 ああ、ここだ、ここだ。やはり道はついていないけれど、雪はさほど深くないから、時々くるぶしのあたりまで埋まりながらも歩くことができた。

 写真に見える家は廃屋である。その右の建物は完全に崩壊している。木造のアッシャー家である。この眺めはちょっと気に入っている。

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 ここを下っていくと、浜への道に出る。足跡はあるものの、ほとんど人通りのないことがわかる。用事もないのにここを通るような人物は純然たる物好きにちがいない。

 このあたりは京都西陣の路地に匹敵する裏道ともいうべく、釧路の達人と自称してもいいんじゃないかと、ちょっと鼻が高い。

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 通りに出てアッシャー家を見上げる。つい数年前までは原型をとどめていたはずの二階が完全に潰れている。

 この建物を 1998年の8月に撮影した写真が残っているのでごらんいただこう。

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 窓がコンパネでふさがれているから、このときすでに廃屋だったのだろう。

 ぼくは嵐が丘とアッシャー家を足して2で割った孤高の建物として、ここが気に入っていたのである(どういいう趣味なんだ(笑))。

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 いつものコースに従って浜をめざす。毎度申し上げるように、天気がいいとデジカメの液晶モニタはほとんど見えない。カンに頼らざるをえないのだから、本当に困る。早く液晶ファインダを標準で内蔵装備してほしいものだ。

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 臨港鉄道沿いの道から太平洋を定点撮影。

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 今日の目的地である弁天ヶ浜停留所に到着。ぼくが勝手に「さいはての停留所」と呼んでいる場所である。

 踏切の手前には啄木の歌碑がある。啄木の行動範囲を考えれば、当然このあたりも歩いているはずだが、現在では浜の景色は大きく変わってしまった。当時の面影をしのぼうとすれば、もう少し東の知人(シリト、あるいはシレト)の浜まで行かなければならない。

 釧路を訪れるみなさまには、もし時間がゆるせば、ぜひこの停留所から知人の浜まで歩くことをおすすめしたい。足を伸ばすだけの価値があること請け合いである。ガイドがご希望ならご一報あれ。

(RICOH CX2 & Epson CP-500)

【1月23日追記】

 弁天ヶ浜バス停近くの踏切手前にある啄木歌碑の写真を追加しておく。

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(2000-09-13 撮影。Nikon New FM2 + AF 50mm F1.4D)

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January 17, 2011

Daily Oregraph: 京都通信員写真だより 上京区路地編

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 実にややこしい住所である。これを見て自分の位置がただちにわかるようになれば、まちがいなく京都の達人であろう。当社の京都通信員S君は、そんな達人のひとりである。

 S君の送ってくれた写真の整理がとんでもなく遅れたため、昨年(2010年)4月13日のレポートをいまごろ掲載するのはちと気がひけるけれど、写真を十数枚選んでみたので、上京区の路地歩きをお楽しみいただければ幸いである。あいにくの曇り空で色彩が冴えないため、すべてモノクロ変換したことをお断りしておく。

 実はHPのほうに記事を作成しようと思い、ひととおりの準備はしたのだが、面倒くさいので途中でやめてしまったのである。いまとなっては、専門業者に外注できる企業ならともかく、個人が一文にもならぬウェブサイトを維持するのは労力がかかりすぎると思う。

 さて今回の路地歩きコースを略図にしてみたのでごらんいただきたい。

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 おおざっぱにいえば西陣のあたり。このコース、名所旧跡を完全に無視しているところが売りである(笑)。

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 六軒町通仁和寺街道下ル西入付近(利生町)。このあたり相当路地が入り組んでいるらしい。

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 路地を抜ければ七本松通に出る。

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 下長者町通七本松西入下ル付近。

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 相生図子通下長者町下ル東入のあたり(鳳瑞町)。ここにも小さな祠がある。地蔵盆をやるのだろう。

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 鳳瑞町のとなり、三助町付近。

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 ここから仲之町。

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 これも仲之町。御前通に面した喫茶店である。町名標示は「御前通下立売上ル二丁目」となっている。

 なお「黒木」というこの喫茶店、マニアにはちょっと知られたお店らしい。

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 喫茶店脇の路地に入る。路面に足跡の残っているところなど、ちょいとアートっぽい。正面左にまたしても祠あり。

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 祠の前から振り返って見たところ。

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 祠を正面から見るとこんなぐあい。ちょっと意外な光景である。この路地を抜けて天神通に出る。

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 これはご愛敬。

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 たぶん冒頭のカラー写真にある住所のすぐ近くであろう。現在ヤマイチパンを買えるのかどうかは疑問だが、お店のガラス戸がなんとなくモンドリアン風でぼく好み。

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 終点の銭湯「源湯」。いかにも堂々たる構えで、料亭か旅館のようにも見える。番台で待ったがかかり、一見さんお断り、なんてね。

 ネット検索してみたら、この銭湯の住所は「上京区御前通西裏上ノ下立売上ル北町580−6」なので、まさに冒頭の写真と一致する。

 駆け足で写真を見てきたけれど、これはじっとしていられない。裏通り派の血が騒ぐのである(笑)。無数の名所旧跡はいうまでもなく、迷路のような路地といい、あちこちにあるなつかしい商店街といい、京都は靴をすり減らして一日中歩き回っても飽きのこない町なのである。

 ぼくも取材に行きたいのは山々なのだが、マイナーな報道機関ゆえにスポンサーのなきぞ悲しき。当分の間は通信員に任せることにして、取材用のデジカメもくたびれてきただろうから、先日 R10 を予備として送ったところだ。

(Panasonic DMC-FX37)

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