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January 20, 2011

Daily Oregraph: 2011-01-20 酒のみに与ふる書

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 はるか竹富島まで遠征したYさんからいただいた沖縄みやげ。品薄でなかなか手に入らぬ逸品らしく、お店によってはとんでもない値段をつけているという。

 そんな泡盛が磁石に引き寄せられるように飲んべえの手元にやってくる、というのがフレミングの左党の法則であったか。まことにありがたいことである。

 さてせっかくアルコールをいただいたことでもあるし、読み終えたばかりの『病牀六尺』から、アルコールに関する一節をご紹介してみたい。

われわれ下戸の経験を言ふて見ると、日本の国に生れて日本酒を嘗めて見る機会はかなり多かつたにかかはらず、どうしてもその味が辛いやうな酸ぱいやうなヘンな味がして今にうまく飲む事が出来ぬ。(九十一)

 下戸の子規先生は日本酒はあまりお好きではなかったらしいが、

これに反して西洋酒はシヤンパンは言ふまでもなく葡萄酒でもビールでもブランデーでもいくらか飲みやすい所があつて、日本酒のやうに変テコな味がしない。(同上)

と、意外にも西洋の酒には好意的であり、ひととおりは試してみたものとみえる。

 そのせいか、激痛に耐える病床にあっても、気分のすぐれたときには、

豆腐汁木の芽あへの御馳走に一杯の葡萄酒を傾けたのはいつにない愉快であつた(九)

と、ワインを楽しんでいる。野球(ノボール)の先生だけあってハイカラなものだ。

 ぼくは酔っ払いだから日本酒ももちろん飲むけれど、子規の言い分にはもっともなところがあると思う。同じ醸造酒にしても、日本酒よりワインのほうがはるかに飲みやすいからである。原料である果実の爽やかさによるものかもしれない。

 日本酒はヘンテコとまではいわぬにしても、たしかに一言では形容できないほど複雑な味がする。しかし子規の予想に反して、近年日本酒がかなり西洋人にも好まれているのはおもしろいことだ。

 焼酎には触れていないけれど、芋焼酎などは子規の口に合わなかったにちがいない。泡盛も古酒になると大変品のよい美酒であるが、若い泡盛には独特の臭みがあるから、先生はやはり敬遠したはずである。ブランデーはほめているが、ウィスキーは苦手だったのではないかとも推測できる。

 文学上の見識においては子規の足元にも及ばぬ劣等生たる薄氷堂先生だが、もしいささか取り柄があるとすれば、アルコールでさえあれば和洋を問わずなんでも飲んでしまうという一点のみであろうか。ああ、情けなや(笑)。

(Nikon D70 + Ai Micro 55mm F2.8S)

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Comments

>そんな泡盛が磁石に引き寄せられるように飲んべえの手元にやってくる

私はこの記事に惹きつけられたやってまいりました。
泡盛・・・いいですねえ・・・

ここに豆腐ようなんかがあったら大変だ。本の小さな一切れを小皿において、爪楊枝なんかで端から少しずつ・・・私なんかはケチなので、鼻くそほどの大きさで・・・

こんな事を言っている人間が飲んでいるのは、しがない中年男。息子達は誰もあいてにしてくれません

Posted by: 三友亭主人 | January 20, 2011 at 22:34

お二人のやり取りを読んで、爆笑に継ぐ爆笑!!
わずかな量をちびちび味わい、愉しむのが解るようになった私です。
若い頃、遅れて飲み会に到着し、駆けつけ2杯、ぐーーーっとあおったかと思えば素早く踵を返して全速力で町内を一周し、先に宴会を始めていた奴らの酔いのペースに追いつこうとしたことが思い出されます。楽しい思い出です。
北大の正門前に大将という居酒屋があって、そのころ、教育大学と北大生の同じ年ごろの学生が「モツ煮と日本酒」を囲んで交流していたのですけれど、現在も続いているかしら。というか、その居酒屋はまだあるかしら。白味噌の入った美味しいモツ煮だったなぁ・・・
お酒もいろんなのが置いてあって、鬼殺しとか泡盛もあった記憶があります。

Posted by: ありす | January 21, 2011 at 09:05

>三友亭さん

 昨夜さっそくいただいた泡盛の味見をしました(人間いつ死ぬかわからないので、たいていはその日のうちに封を切るのです)。

 いい酒でしたよ! ツンとしたところもなければ雑味もなく、スイスイと喉を通過していきました。もったいないので(笑)、一杯で我慢しましたけど……

>ありすさん

 さすがに蒸留酒をガブガブとは飲めませんが、チビチビの二乗くらいでやっております。

 がぶ飲み、一気飲みは危険です……といっても、そんなことができるのは若いうちだけでしょうが。

 モツ煮もいいですね。日本酒だけでなく、焼酎にも合います。でもウィスキーのオンザロックには向かないかな。

Posted by: 薄氷堂 | January 21, 2011 at 19:40

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