Daily Oregraph: 2008-05-11 (4) キナシベツ湿原入り口
謎のさんぽ道・石川木道だが、ネット検索して調べたところ、2006年の8月にボランティアの大学生諸君がキナシベツ湿原を広く世に知らしめるために、汗を流して作ったものらしい。
なるほど地図にキナシベツ湿原とあるが、もうこのあたりから湿原なんだな。ほとんど無名の湿原に木道を作ろうという学生諸君の無償の行為は、利権を確保するために粛々と(笑)汗をかく連中とはちがって、実にえらいものだ。
ごらんのとおり、手作り感あふれる木道は、なかなか好感がもてる。
ところどころに立てられた案内板も、でしゃばりすぎていなくてよいと思う。
このときは予備知識がなかったから、石川さんという奇特なお方が音別町の許可を得たうえで、私財を投じて作った木道なのだろうと勝手に推測したのであった。
根室本線と並行してつづく木道からは通過する列車が見えるけれど、列車の乗客はおそらく木道の存在に気づかないだろう。意外なところに意外な道があるものだ。
温根内の木道とちがって素朴な作りだけに、直接地面を観察できるところがいい。ヤチボウズのこども(?)も、こうして間近に見られるのである。
煙突ブラシのような花を咲かせているのは、たぶんカブスゲだろうと思う。スゲ(カヤツリグサ科)は仲間がやたら多くて素人には同定困難だけれど、カブスゲは、
湿原や、沢の中の湿地に生じ、北海道の湿原の、
代表的なスゲで、密に叢生し大きな株立ち(谷地坊主)
になる。(滝田謙譲『北海道植物図譜』)
しかし木道は唐突に終わっていた。
入り口の案内板によれば、「見晴らしの丘」のすぐ近くに至るはずなのに、そのかなり手前で終わっているのである。
事情を知らないぼくはガッカリして、おいおい、それはないだろう、と思わず不平をこぼしたのだが、上にリンクした記事によれば、
この木道は次回夏のワークキャンプで開通する予定
だそうだ。不満をいってはバチがあたる。
次回とは今年あたりだろうか。おおいに期待したい。
さて「工事中 この先行けません」という立て札にしたがって、戻ろうとしたのだが……おや、あれはなんだろう?
制止を振り切って立て札の向こうへ足を踏み入れると、盛りを過ぎたミズバショウ(写真右)はおなじみだが、問題は写真左の花である。
まぎれもなくイチゲの仲間だが、アズマイチゲではもちろんない。ウラホロイチゲとも感じがちがう。キクザキイチゲでもない。
帰宅して図鑑にあたってみたのだが、葉っぱを見ればヒメイチゲでもない。一番近いのはエゾイチゲ(ヒロハヒメイチゲ)だけれど、写真図鑑に載っているものとは葉っぱのかたちが一致しない。たぶんエゾイチゲの直別型ではないかと思うのだが、どうだろうか? 植物の世界は奥が深く、頭がクラクラしてくる。
あっけなく終わった短い木道だが、たっぷり楽しませていただいた。しかし残念ながら「見晴らしの丘」にはどう行ったらよいのか、どうして「石川木道」なのか、ついにわからなかったのは不満であり、これはボランティアのみなさまへの注文。
うろうろしているうちに直別海岸へ出て、「音別八景 キナシベツ湿原」の標をみつけ、あらためて疑問に思ったのは、三滝の沼もそうだったが、どうして道路標識がないのだろうかということで、これは釧路市音別町への注文。
【追記】
ヤチボウズを作るスゲはカブスゲだけではないので念のため。
またなんといっても湿原である。木道から降りて花を観察するときはくれぐれも足元に注意しよう。
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Comments
これは素敵な発見ですね。
十勝の根室本線沿いなかなかの見所満載ですね。
Posted by: 白樺台大すきっこ | May 17, 2008 at 09:05
>白樺台さん
ほんとうに見落としだらけです。まだまだ知らない場所はあると思いますよ。
江戸や京大阪の見物もいいけれど、地元をあちこち歩いてみるのもオツなものです。
Posted by: 薄氷堂 | May 17, 2008 at 23:09