Daily Oregraph: 2008-05-18 門静への道 (3) 行きつ戻りつ
さんざん引っぱってきたけれど、やっと門静に入ったのはお互いのために(笑)めでたい。
道の左手に門静神社が見えたので、臨時停車して見物することにした。神社をみかけると記録したくなるのである。
残念ながらつまらない建物で、なんとなくプラスチック風味が漂うけれど、これも時代の流れなのだろう。塘路の神社だっていずれこうなるのかもしれない。
そんなけしからぬことを考えたせいだろうか、神罰てきめん、連れが砂利に足を取られて転倒し、膝を派手にすりむいてしまったのである。見れば数ヶ所出血している。
車に常備している普通サイズのバンドエイドではとても間に合わないから、急遽予定を変更して、すぐとなりの厚岸町市街へ向かう。
大手チェーンのドラッグストアに寄って応急手当をすませ、さてどうしようかと思案したが、負傷兵を抱えていてはあちこち歩き回るわけにもゆかず、撤退することにしたのであった。大本営風にいえば転進だね。
どうせ予定を変えるなら……と、道の駅「コンキリエ」なる施設に初めて立ち寄ってみた。
休日の昼時だというのに空いていたのは、この日は町内の公園で(たしか)サクラ祭りが開催されていたせいだろう。幸いレストランもがら空きだったから、ついでにここで昼食を取ることにした。
厚岸産大型カキのフライを胃袋におさめて帰途につく。さきほど素通りした門静駅を、帰り道に見物しようという寸法である。厚岸駅はまたの日にしよう。
う~む、直別駅同様、これもまたどう評していいやら。さすがに人家の少ない直別ほどではないけれど、やはりしっくりこないところがある。あたりの景色になじむまでには、かなりの歳月を要するのではないだろうか。
土台というか床の一部に厚岸名物のカキ殻を埋めこんだ工夫は買ってやりたいと思う。しかし待合室が狭いのはともかく、文明国日本の駅にトイレがないのはまずい。直別駅にはあったというのに。
写真はホームから釧路方面を見たところ。
このあっけらかんとした空間はなんとなく北海道らしいが、nothingness というにはやや中途半端かもしれない(駅舎の骨組みをたどって眼球が忙しく運動し、ホームの端にあるパイプを組んだ柵が目ざわりで、落ち着かない気分にさせるせいだろう)。
しかし根室方面に目を転ずれば……おお、すばらしい。シンプルの極致である。
一切の虚飾を排し、徹底的にあれを捨てこれを削り、もはや二酸化炭素の出しようもないという、ギリギリの緊迫した美が実現されている。ここでは色彩さえ余計に思えるほどだ。
電柱などの配置も心にくいばかり。これで高倉健さんがコートの襟を立ててひとりホームに佇めば絵は完成するのだが……
ああ、門静駅の美点を発見することができてよかった。
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