Daily Oregraph: 2007-03-16
もう15年前にもなるが、一生懸命マザーグースを日本語に移してみたことがある。会社から帰ると本を開き、今日はここと決めて仕事にとりかかったことを思い出す。
バカなやつだといわれるかもしれないが、一円にもならぬことに情熱を傾けるほどおもしろいことが、ほかにこの世の中にあるだろうか? ホリエモンには理解不能の世界かもしれないね。
英語などろくにわからぬ、雑文科の劣等生のくせに大胆不敵な試みをしたのだから、もちろん今読み返すとあちこち書き直したくなるところもある。しかしひどい間違いでもないかぎり、そのままにしておこうと思っている。1992年当時の自分をごまかしてもはじまらないからだ。
じゃあ2007年のぼくが進歩したかというと、全然進歩していない。それどころか勉強をうっちゃってしまったし、適者生存の理屈からいえば、ぼくなんか絶滅危惧種というところだろうか。
雑文学界のヤンバルクイナが今宵取り上げるのは、R. L. Stevenson の Rain である。
The rain is raining all around,
雨、どこもかしこも雨
It falls on field and tree,
野にも雨、樹にも雨
It rains on the umbrellas here,
ぼくたちの傘にも雨
And on the ships at sea.
沖行く船たちにも雨
なおテキストとして用いたのは『英語の詩』(河野一郎著 岩波ジュニア新書214)。先生の訳は、
雨がふっている あっちでもこっちでも
野原にも木の上にも
この傘の上にも
海の船の上にも
若い人々向けの訳だから、河野先生はわかりやすさを重視し、あえて歌心を抑えておいでのようだ(そこはぜひわかってあげなくてはいけない)。
しかし酔っ払いの薄氷堂は、生意気にも先生に申し上げたい。傘と船とは複数形であることに意味があるのだと。傘をさした少年ひとりが沖行く一隻の船を見ているのと、何人かのこどもたちが傘をさしながら、ぽつりぽつりと見える何隻かの船(しかもほとんどが帆船ではなかっただろうか)を見ているのでは、ずいぶん感じがちがうと思う。
日本語で複数を表現するのはむずかしいけれど、ここは無理にでも複数であることを表すべきところである。
妄言多謝。
なお今日の一枚、撮ったことだけに意義があり、まったく本文とは無関係である。
TrackBack
TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/62056/14284592
Listed below are links to weblogs that reference Daily Oregraph: 2007-03-16:

Comments