October 20, 2018

Daily Oregraph: 裏庭画報 ミニ紅葉

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 今年最後の草取りでもしようと裏庭へ行ったら、一面の雑草の上に大量の落葉が散乱しているのには絶句した。これはあかん、とてもおれの手には負えそうにない。

  
ああ、何もかも、もう遅い。もう遅すぎる。

 先日引用した文章が頭をよぎったけれど、気を取り直して黙々と落葉を拾い、雑草をむしった。しかし拾ってもむしっても、未来永劫敵の減ることはないように思われる。

 大きなビニール袋ひとつを一杯にしたところで、絶望感に襲われた。とても一度では無理だ。ふだん怠けていた報いだろう。

 昼になったから作業をやめにして、缶ビールを飲んで本日はおしまい。ヤケ酒みたいなものである。少なくともあと二日はかかるんじゃないかと思う。

 低木が真っ赤に紅葉していた。それだけが本日の目のごちそう。

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October 18, 2018

Daily Oregraph: 秋の空

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 いかにも釧路の秋らしく好天がつづき、日中はポカポカと暖かい。しかし朝晩はぐっと冷えこんできた。

 少しだけ町を歩いた。写真はいなり小路の空である。狭くて短くてゴチャゴチャしてなつかしい小路の面影は、定規で引いたような直線によって、もはや完全に失われてしまった。

 北大通のあちこちで建物が姿を消し、そのあとに新しく駐車場ができている。マンションが建設されている一方で、廃屋となったビルがまだいくつも残っている。

 一人の男がジジイになるまでの短い年月のうちに、町はこんなに変るものなのか。そう思うと、いっそう秋の空ががらんと広く見えた。

   雲のみか秋天遠きものばかり  齋藤空華

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October 15, 2018

Daily Oregraph: 定例散歩 10月15日

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 -あんた、白髪が増えたねえ。

 -お互いさまだよ。

 おだやかな陽気に誘われて、いつものコースを散歩した。ほとんど風はないし、歩いているうちにうっすら汗がにじんでくる。

 知人の浜にさしかかると、打ち寄せられた昆布の匂いがいつもより強く漂ってきた。浜へ降りようかとも思ったが、流木に腰かけてウトウトと居眠りしそうだから、やめておいた。だれに叱られるわけでもなし、居眠りしたっていいんだけど……

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 おやおや、どなたかが市役所に通報したらしい。この種の苦情は面と向っていいにくいから、無理もないか。

 実はぼくもキツネに餌をやっている現場を目撃している。キツネの一家がうろついているからには、きっと毎日餌にありつけるんだろうと思ったとおりであった。

 キツネというのはいつも困ったような、いまにも泣きそうな顔をしているから、哀れを誘うのだろう。だから餌をやりたくなる気持もわからないではない。悪気がないこともわかる。しかし狭い町内がキツネだらけになるのは、保健衛生上からもいささか問題である。

 野生動物に餌を与えるのがよくないのは、キツネにかぎった話ではない。ダブルスタンダードは問題大ありだから、少しずつ農業に被害を与えはじめているタンチョウヅルの保護もそろそろ考えどきだと思う。

 見た目のよいタンチョウは、観光の金づるだからといって特別扱いされるのだろう。しかしキタキツネに餌をやれば叱られるのに、タンチョウに餌を与えれば美談になるというのは、ぼくにはどうも納得できないのである。

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October 14, 2018

Daily Oregraph: 石炭袋と高橋和巳

 -石炭の袋が届いているよ。

 -えっ? 石炭の……?

 それがこれである。

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 なるほど COAL SACK とある。つい先頃石炭に関係する仕事をしたばかりだから、ぼくは石炭のサンプル入りの袋かしらと思った(ほんとうである)。しかし、なぜ?

 落ち着いて封筒をよく見ると、出版社の名前なのであった。新刊書とは無縁のぼくは、最近の出版事情にはまるで疎く、すぐには理解できなかったのだ。

 恐る恐る開封してみると、石炭のかわりに入っていたのは……

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 ああ、太田さんがおっしゃっていたのはこの本だったか、と了解した。高橋和巳の本が出版されるから送ってあげる、とメールをいただいていたのである。

 ソフトカバーの本を予想していたけれど、ハードカバーの立派な造りである。編者のおひとり太田代志朗さん秘蔵の写真もいくつか収められている。

 太田さんは、学科はちがうけれど同じ学部の先輩である。ぼくみたいなボンクラな後輩にはもったいない贈り物に、恐縮するやら感謝するやら。どうもありがとうございます。

 目次を拝見したら『散華』の文字をみつけ、いっぺんに昔のある情景がよみがえってきた。ぼくが最初に読んだのが『散華』で、それを勧めたのは現在のわが大阪無給通信員であった。

 -これ、読んでみないか。

 当時のぼくは授業とはまったく関係のない、夢野久作から中国人もあまり知らない清朝花柳小説の翻訳まで、でたらめに読みあさっていた。いわゆる純文学というのが苦手で、「小説に純も不純もあるものか、ばかやろう」と敵視さえしていた覚えがある。

 生真面目な大阪通信員の勧めてくれた『散華』は、正直いって、ぼくにはあまり合わなかったと思う。その後だんだんわかってきたことだが、高橋和巳の小説に大衆小説風のおもしろさを求めるのは土台無理な話で、まずふつうの読者なら陰々滅々たる気分になること請け合いである。

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 ぼくが参ったのは『わが解体』である。文章と内容とが緊張感をもってみごとに一致し、一切無駄のない完璧な散文だと思った。一読して鋭利な刃物でスパッと切られたような気分になるのだが、刃はなによりもまず作者自身に向けられていて、みずからの退路をすべて断ってしまったように見える。それゆえに『わが解体』なのだろう。

 ぼくは決して高橋和巳の熱心な読者とはいえない。もちろんいくつかの作品は読んだけれど、本棚にはまだ未読の本が何冊も眠っている。読もうとして手を伸ばしかけては躊躇するということが、ここ数十年もつづいているのだ。読む前から気が重くなるのである。

 ここで『憂鬱なる党派』の最後を引用してみよう。

 ああ、何もかも、もう遅い。もう遅すぎる。乗りおくれた船員が見送る船の煙のように、最後の夢すらが、愛もなく終ってしまった肉体の波のうねりの上に、拡がり、拡散し、そして消えてゆくのを、そのとき千代ははっきりと見た。

 多くを読んでいないぼくには断言できないけれど、絶対に happy ending になどするものか、という強い意志さえ感じるのである。この長編に最後までつきあってきた読者は、それこそ茫然として岸壁に立ちつくすような気分に襲われる。

 『わが解体』に胸を突かれた読者のひとりとしては、いかに気が重くとも、本棚に残るいくつかの小説をきっと読破せねばなるまい。そう思いつづけているうちに、いつの間にか歳を取ってしまった。しかしもう遅すぎるということはないだろう。
 
 太田さんはじめ多くの方々のご努力の結晶である『高橋和巳の文学と思想』、必ず近いうちに読ませていただくことをお約束したい。

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October 13, 2018

Daily Oregraph: ヤマブドウ

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 朝から上天気。西部戦線の塹壕に嫌気がさしたので、ひさびさに春採湖畔を歩いた。

 もう花の季節は終り、みかけたのはヤマハハコとミゾソバくらいだったが、そうだ、ヤマブドウの実はどうだろうか……と行ってみれば、すでにほとんど採りつくされているではないか。

 それでもほんの少しだけ、とても手の届かぬところに残っていたから、カメラを強引に突き出してストロボ一発。めでたく生存証明写真が撮れた。

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 「こんにちは!」と元気よく挨拶してくれたこどもたち。なんだか不思議なハンドルと車輪つきの板(?)に乗っていた。

 おかげでこちらも明るい気分になれた。どうもありがとう。いい散歩になったよ。

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October 11, 2018

Daily Oregraph: 気分も曇り空

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 港町から入舟岸壁を少しだけ歩いた。いまにも降り出しそうな空模様だったから、どうも気が乗らない。

 おまけにいま読んでいる本のせいで気が滅入ることといったら……

 1916年7月1日、このたった一日だけでイギリス軍の兵士19,000人が死亡、57,000人が負傷。第一次大戦の長期塹壕戦で知られる、いわゆる西部戦線での出来事である。

 旧式の歩兵銃を持って突撃したところを、ドイツ軍の機関銃によってバタバタとなぎ倒されたのである。日本でもかつて似たような話があったけれど、こんな無茶な突撃を命ずるとはとても信じられない。

 先を見通せない愚かな高級将校に命じられて、まるで虫けら以下の死に方をするのである。名誉の戦死などといわれたって、飛んでくる弾に当たって倒れることのどこに名誉があるというのだろうか。いまさらながら戦争ほど愚劣なものはないと思う。

 明日も天気はよろしくないようだ。読む本を変えたほうがいいだろうか?

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October 08, 2018

Daily Oregraph: こんな日には落花生

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 どんよりとした曇り空。気温も低く、うすら寒い。とても散歩に出る気分にはなれなかった。

 こんな日には落花生の塩茹でがよく似合う。相模原のAさんが送ってくださったのを茹でたのである。今年は天候に恵まれず、出来が悪かったのだという。

 カリカリしたバターピーナッツとはちがって、ゆっくりポクポクと噛む柔らかい落花生からは、かすかに土の匂いを感じる。

 これはうまいものだ。当然一杯やりたくなるのだが、ウィスキーよりは芋焼酎だろうか。そうだ、両方試してみるとしよう(笑)。

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