January 27, 2012

Daily Oregraph: 逆から見れば

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 今日はいくつか雑用のあった合間に、中央埠頭・北埠頭方面に立ち寄った。南埠頭から港内の氷を撮影したからには、反対方向からも観察しておこうというわけである。

 中央埠頭西側から北埠頭を見ると、巡視船「そうや」から盛んに煙が立ち上っていた。蒸気機関車の吐き出す煙には大勢の写真ファンが群がるけれど……

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現場に急行しても、カメラを持った趣味人(笑)はひとりもいなかった。もったいないなあ。豪華客船ばかりが船じゃないんだし、「そうや」はたいへん美しい優秀船なのだから、どうかひいきにしていただきたいものである。

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 北埠頭南側岸壁から南埠頭方面を見る。水面にはまったく氷がない。逆光で見にくいけれど、氷はすべて南に吹き寄せられているからだ。あたりまえの話だが、逆方向から見れば景色は一変する。

 岸壁の雪かきしていない部分はテカテカ光っている。恐ろしいほど滑るから、命が惜しければ要注意である。

 さて今日の古新聞だが、2011年8月6日の記事を読んでみた。

 2011年7月にノルウェイで起こった、32歳の極右青年による大量殺人事件をご記憶だろうか。ムスリム(イスラム教徒)から欧州を守るというのが犯人の動機で、事件後もまったく反省の色を浮かべていないという。

 犯人が過激の度を加えていった背景には、欧州各国の右翼団体や極右系ウェブサイトの影響があると指摘されていることはご存じだと思う。欧州の右翼の掲げる反マルチナショナリズムは、主にイスラム系移民を標的とするものである。

 ノルウェイ国内でも、第2党である右派の進歩党 (Progress Party)は、前回の選挙では23%の票を獲得したというから、あなどれない勢力を誇っている。欧州ではもっとも移民にオープンな
スウェーデンでも、極右が勢力を増しているという。

 こうした状況下、事件の4ヶ月前、英国のキャメロン首相は「英国ではマルチナショナリズムは失敗に終わった」と述べた。その発言を、英国内だけではなくフランスの右派も歓迎している。

 それに対して、ノルウェイの元首相にしてノーベル平和賞委員会議長である Thorbjorn Jagland 氏(北欧語の発音はたいへんむずかしいので、そのままにしておく)は、

 政治的指導者は、社会がいっそう多様化しているという事実を擁護せねばなりません。

として、政治家の軽率な発言をいましめ、マルチナショナリズムに替えて多様性(diversity)ということばを使おうと主張している。

 イスラム・テロということばも、テロリズムはイスラムにかかわるものだということですから、使うのをやめるべきです。テロリズムはテロリズムであって、宗教とは関係ないというべきなのです。

 ぼくはノーベル平和賞については少々疑問もないではないが、Jagland さんの発言はたいへん適切なものだと感心した。大人とはこういう人のことをいうのであろう。

 日本の政治家のうちに、世界に向かって堂々とこういう発言をすることのできる人物がたったひとりでもいるだろうか。情けない話である。

 なおこの事件では、犯人の標的がイスラム移民そのものではなく、マルチナショナリズムに寛容な人々であったことは注目に値すると思う。どこの国でも似たような事件が起こりそうないやな予感がする。

 いやでもこういう気の重くなる記事に出くわすから、そろそろ古新聞あさりも止めどきだろう。さてどっちへ向かおうか。 

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January 26, 2012

Daily Oregraph: 風が変われば

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 南埠頭を定点撮影。氷のかたちも分布も20日とはかなりちがう。表情を変えるところがおもしろいのである。

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 -ほんとに、この間とはずいぶん印象がちがいますね。

 -風が~変わ~れ~ば おい~らも変わ~る

 -ぎょっ、なんですか、その歌は?

 -やっぱりこの名曲を知らないのか。情けないなあ。そういえば、東海林太郎先生亡きあと、おれは日本歌謡界への興味を失ったのだ。

 -ふつうの若者なら知りませんよ。まったく、もう。

 -ともかくだ、風や気温の変化によって、港の氷もその表情を変えるのさ。

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 港町岸壁。

 さて古新聞の束もかなり減ってきた。今日の記事は2011年8月22日、バイオテクノロジーの話題である。不得意分野だから、ちっとも心が温まらなかった(笑)。

 一匹狼の分子生物学者クレイグ・ヴェンター (Craig Venter) 先生に関する記事なのだが、一匹狼というのは、山奥の一軒家に籠もって怪しい研究をしているマッド・サイエンティストという意味ではない。たいへん優秀な学者なのだが、言動が派手で資金集めが得意、ちょっと山師風の印象を与えるから、学界では嫌う人も少なくないということらしい。

 2010年にクレイグ・ヴェンター研究所では、合成細胞とでもいえばいいのか、synthetic cells なるものを製造したと発表した。まず自然界のバクテリアの染色体のコピーを縁続きのバクテリアに移植する。すると移植されたほうの細胞は新しい別種のものに変化するということらしい。

 この技術を応用すれば、将来的には食糧危機から水不足、エネルギー危機まで解決できるし、環境浄化にも貢献するというのがヴェンター先生の主張である。

 たとえばある種の藻類から作り出す合成細胞によって、二酸化炭素と水と日光を油に変えようという研究が進められている。エクソンモービルでは、ヴェンター先生率いるシンセティック・ジノミックス社と協同で、数億ドルを投じて、その油からガソリンを精製しようと計画しているというから、けっしてホラ話ではない。他の石油会社でも、別のバイオ技術会社と組んで、バクテリアによる炭化水素燃料の製造に取り組んでいるという。

 なるほどさまざまに応用できそうでたいへん結構な話ではあるが、遺伝情報を操作して自然界には存在しない新種の細胞を作り出すというのだから、一歩まちがえばなにができるかわからないし、厳重に管理しなければ、外部に流出して環境を汚染しかねないという不安が残る。技術が悪用される恐れもないとはいえない。

 なお詳細についてはご専門の方のお話をうかがっていただきたい。染色体のコピーなどといわれても、ぼくにはさっぱりわからないからだ。ただ原発の二の舞にならぬよう、この種の技術については、すごいなあと感心してばかりいてはいけないと思う。よく考えると、ずいぶん怖い話のようにも思えるのだ。

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January 25, 2012

Daily Oregraph: 足元にご注意

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 いったん融けた雪が凍ると始末が悪い。気温が上がりはじめると、氷の表面に薄い水の膜ができるからだろうか、新品の冬靴をはいていてもツルツル滑るのである。

 写真のおばさんは綱渡りでもしているように見えるが、実際体のバランスを上手に取らねば危ないのだ。今日の滑りようにはぼくも恐怖を覚えるほどであった。

 というわけで、今日の古新聞記事(2011年2月10日)は危険な綱渡り状態にあるキューバ経済である。

 キューバのラウル・カストロ政権は、2010年9月に民間の起業を178の業種に限って認めると発表した。経済危機の深刻化によってにっちもさっちもいかぬ状態に追いこまれたあげくの窮余の策であるらしい。

 キューバでは現在政府が労働者の84%を雇用し、経済の90%を管理している。国家が労働者に支払う給与は月約20米ドルにすぎないが、そのかわり医療や教育は完全に無料で、交通、住居や水道などはほぼ無料に近い。配給手帳によって、食料の一部は補助金で抑えられた価格で販売される。

 ところが世界経済の下降、ニッケル価格の下落、2008年に襲った3つのハリケーンによる被害、タバコ・ラム・砂糖による歳入の減少、海外在住のキューバ人からの送金の減少などによって情勢はどんどん悪化するに至った。

 経済成長率は2009年が1.4%、2010年が2.1%と、途上国としてはあまりにも低すぎる。しかしその数字すら怪しいものだと見る専門家が多い。キューバでは、経済成長率を計算する際、社会事業に対する国家支出をもカウントしているからだ。

 しかも労働者は低賃金ではとてもやりくりできないから、国営企業では盗みが横行し、国家財政に大きな打撃を与えている。アメリカとの通商が禁止されているため国際通貨機関からの借り入れもできない。

 こうして大量に抱えた余剰人員の雇用を維持する余裕がなくなり、最近では職場での無料ランチは廃止され、配給手帳の対象品目も削減されたという。そこでレイオフを断行して、新たに育成する民間企業に吸収させようというもくろみらしい。

 しかし高い税金、原材料の不足、ベースとなる顧客の確保、お役所の複雑な規則、開業資金や店舗の確保のむずかしさなど、独立開業するには高い壁がある。

 たとえばピザ屋を開業するにしても、店舗は自宅に構えるとして、非力な銀行には余力がないから、開店資金を調達するのはむずかしい。あらゆるところで不足している物資の確保も問題だ。そもそも月給20ドルの人々が一枚1ドルのピザをどれだけ食べてくれるだろうか。政府内でも起業家の多くが一年以内に行きづまるだろうと予想しているほどである。

 それでもめげないのはキューバの国民性だろうか、様子見している人々も多い半面、起業ライセンスを取得した人は1月7日までにすでに7万5千人、最終的には25万人に達すると専門家は見ている。

 もしこの自由経済の実験が失敗すれば、多くの失業者を路頭に迷わせることになる。まさにキューバの命運がかかっているわけだが、またしても古新聞の悲しさ、現在どうなったのかは不明である(調べろよ、という声が聞こえる)。

 しかし独立開業を目前にして意気盛んなおにいさんの写真の笑顔を見ると、心から成功を祈らずにはいられない。

 なおオバマ政権がキューバへの送金をアメリカ国民一人あたり年間2千ドルまで認める決定をしたことをご存じだろうか。世の中知らないことだらけである。

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January 24, 2012

Daily Oregraph: 断固飲むべし

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 昨日の午後、除雪車がもういっぺん家の前さ通って、歩道脇さ雪を寄せてったのよ。したっけ、それがしばれてカチカチだもな、たまげたよ。スコップなんてあんた、とても歯が立たねえのよ。物置からツルハシば出して、氷割ったさ。したってほかにやらせるやついねえんだから、しかたないべさ。

 や~や、一時間半かかったもな。ゆるくないよ、あんた。え、古新聞? はんかくさいこというんでないの。体こわくて、そったらもの読む元気あるわけないべや。酒だ、酒、酒もってこい。

 てなわけで、先日もらった泡盛ね。これとてもうまいんだけど、アルコール43度だから、効くのなんの。きつい泡盛は飲んじゃいけない、なめるものです、という助言を某氏からいただいたけど、断固として飲みます(笑)。

 それにしても方言が自由に出てこなくなった。さびしい話である。一杯飲んだら、ジョッピンかけて寝るべかな。

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January 23, 2012

Daily Oregraph: 雪のちみぞれ

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 昨日からの積雪はわずか9センチにすぎなかったが、気温が高かったせいだろう、しまいにはみぞれに変わったから、道路はベチャベチャになってしまった。

 豪雪地帯にくらべればお話にならぬ量とはいえ、たっぷり水分を含んだ雪は重く、雪かきには案外手間取った。ふだん少雪だから、肉体労働に慣れていないせいもある。

 こんな日にはコタツに入って、昨日に引きつづき心温まる記事でも読みたいところだが、そうはいかなかった。冬の最中に読む2011年8月27日の古新聞記事はアメリカ南部の不法移民問題(オブザーヴァー紙提供)である。

 アメリカ南部のジョージア、アラバマ、サウスカロライナ州では、不法移民(主にメキシコからのヒスパニック系)を一掃すべく、厳しい取締り法案が通過した。不法就労はもちろんとしても、不法移民を車に便乗させたり、家に泊めたりしただけで罪に問われることもあるというから驚く。

 問題の不法移民だが、推計によれば、ジョージア州では42万5千人、アラバマ州では12万5千人もいるという。これだけの人々が、たとえ不法入国とはいえ、職を得て家族を養い、納税もしているのだから、強制退去させればいいというほど話は簡単ではない。

 地方自治体では、彼らが大量に去れば税収が減る。すでに農業、建設業、サービス業など、低賃金で働く不法移民に頼っている部分が大きいから、結果的には有色人種ぎらいの保守層自体が打撃を受けるのである。

 実際ジョージア州では、10億ドル相当の農作物が収穫されぬまま腐敗しているという。トルネードの被災地では建設業者が人手不足に悩み、レストラン業界もスタッフが足りずに苦労している。

 つまり不法移民の増加によってアメリカ国民の雇用が失われるというのは事実ではなく、だれも彼らに代わって低賃金で仕事を引き受けようとはしないというのが本当のところらしい。不法移民の低賃金労働によって利益を得ていた連中自身が、自らの首を絞めつつあるというのは皮肉な話である。共和党の保守派の中にも、不法移民に同情的な立場を取る人がいるらしいのはもっともだろう。

 親は不法移民でも、アメリカ国内で生まれたこどもには市民権があったりすることが、話をいっそう複雑にしているようだ。連邦政府と南部諸州との対立も根深いらしい。

 苦境に陥った不法移民もだまってはおらず、大規模なデモが頻発しているというが、なにしろ古新聞の記事だから、最新の状況はわからない。

 違法な移民を無制限に受け入れるわけにはいかない、法律は法律だ、という立場も当然あるだろうと思う。しかし貧乏人が国境を越えて流れこんでくるのにもまた事情があるのだし、これまで受け皿があったからこその不法移民増加ではないだろうか。

 たいへんむずかしい問題だが、日本にとってもまったくの他人事というわけではない。最近のネット右翼といわれる連中を見てもわかるとおり、国内がゆきづまると排外主義が高まりを見せるので、注意しておく必要はあると思う。

 というわけで、今日はちょっぴりマジメになってしまった。ぱっと明るいニュースでもあればいいのだが……

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January 22, 2012

Daily Oregraph: 生活欄読むべし

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 ひさびさの雪。たいした降りではないが、これから明日いっぱい降りつづくらしいから、雪かき必至だろう。

 大手スーパーの文房具コーナーで、手帳代わりに愛用しているA6判のノートを数冊買ったついでにカメラ店の店先をのぞくと……

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コダックのフィルムが一本178円也。この写真界の巨人の運命を忘れぬために、保存用として購入した。時代の流れとはいえ悲しいものがあるなあ。

 さて今日のジャパン・タイムズ古新聞だが、2011年8月16日の記事(ワシントン・ポスト提供 "Mother of 11 kids says alone time is overrated")から。生活欄のいわゆる心温まる記事を読むのは、あまりぼくの柄じゃないのだが、おおいに考えさせられるところもあった。

 2010年の人口調査では、アメリカの家庭のこどもの数は平均で一人を切っているそうだが、この記事では、12歳から1歳まで11人もの子育てをしているキルマーさん一家の暮らしぶりを取り上げている。

 ご主人は53歳の高校教師、奥様は45歳の主婦。こどもの数からもわかるとおり、カトリックのご家庭である。

 学期中の奥様の一日はこうだ。

 起床は午前5時。こどもたちの衣服を用意し、弁当を作ってから6時半にはミサ。ご主人と大きいこどもたちを送り出してから、朝食の後片づけをすませて、ベッドメーキングと洗濯に取りかかる。洗濯は毎日4回から5回の分量があるという。

 こどもたちが午後3時までに帰宅し、おやつを食べたり宿題に取りかかると、奥様は夕食の支度をはじめる。その合間を縫ってこどもたちの勉強もみてやらねばならない。

 午後7時半からこどもたちは寝室に下がりはじめ、大きい子たちは掃除を手伝う。午後9時にはこどもたちは全員就寝するというから、きっちりしつけしているわけだ。

 やっと自分の時間ができると思いきや、台所の片づけやら、追加の洗濯、翌朝の衣服の用意などがあるから、日中の活躍ですでにぐったり疲れた奥様は、仕事に取りかかる前に20分ほど仮眠を取ることもあるという。

 こういう毎日を送りながら、明るい笑顔を絶やさぬ奥様の超人的な努力には感服するしかない。しかし余計なお世話ながら心配になるのが家計である。アメリカの高校教師の月収がいかほどかはぼくも知らない。しかしかなり苦しいことはまちがいないだろう。

 食費だけで週に300ドル。それに加えて、住宅ローンに車のローン、医療費もかかれば学費も必要だから、当然収支の勘定が合わぬこともある。家計の足しにするため、ご主人は夏(休み)には副業やアルバイトをしているという。

 それにしてもよくやっているなあと思うのだが、周囲の人々の善意に支えられているところが大きいらしい。奥様によると、

 玄関先に衣類の入った袋が置かれていることがあるんですけど、どなたがくださったものかはわからないんです。

 衣類だけではない。家具や食事・食品のギフトカードなどをいただくことも多く、善意は善意を産むというわけで、キルマー家もまた不要になった衣類をよそのお宅に提供しているのだという。

 一家が病気で寝込んだときなどは、それを耳にした友人たちや近所の人々、ご主人の同僚が数時間のうちにやってきて、炊事・洗濯・こどもの世話をしてくれたばかりか、二週間もの間、食事が家に届けられたのである。

 いかがだろうか。もちろんアメリカのどこにでも見られる光景かどうかはわからないけれど、日本の都会では希薄になったこういう人間関係が残っているというのは、ぼくにとっては驚きであった。

 天下国家にばかり目を向けていると、かえって見落としがちなこともある。アメリカの一家庭の奮闘努力ぶりを知れば、軽率に鬼畜米英などと口走ることがいかに愚かであるかわかると思う。アメリカで日本であれどこであれ、市民の家に爆弾を投下しようなどという発想はけっして湧いてこないはずである。

 新聞の生活欄もバカにできないものだと悟った次第である。

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January 21, 2012

Daily Oregraph: 高みの氷見物

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 昨日は南埠頭から氷の広がる釧路港を見たので、今日は生涯学習センター10階の展望台から、文字どおり高みの見物をしようという趣向である。

 昨日の写真をごらんになった方は、あるいは釧路港内すべてが氷に覆われているとお思いかもしれない。しかしそうではない。冬は北寄りの風が優勢なので、氷は南側に吹き寄せられるのである。光線の加減でちょっと見にくいけれど、上の写真からもそれがわかると思う。

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 では釧路川の上流をごらんいただこう。川面には薄い氷がぷかぷか浮かんでいる。いくつか見える橋は、手前から久寿里橋、旭橋、根室本線鉄橋、そして少し離れて貝塚大橋である。

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 おまけは雄阿寒岳。いつも雌阿寒をひいきにしているので罪滅ぼしのつもり。あらためて見直してみると、この山もけっして捨てたものではないと思う。

 さて今日は2011年8月7日の横尾忠則氏インタヴュー記事から。

 横尾さんは昨日取り上げた梁石日さんと同じ1936年生まれ。1960年代に主流だったモダニズムは装飾を排したシンプルさを特徴としたが、横尾さんはあえてそこに昔風の土着的イメージを取り込むという独特の手法で知られた。

 ぼくなどは横尾さんというとなぜか週刊誌の「平凡パンチ」を連想するのだが、天井桟敷などのポスターをご記憶の方も多いのではないだろうか。宝石箱というよりビックリ箱をひっくり返したような、古いマッチ箱のデザインをいっそう複雑怪奇にしたような、一種のゴチャゴチャ感漂う謎めいた図柄が多かったと思う。

 日本ではいわば異端児であった彼は、アメリカで認められる。1967年に渡米したとき、ある画廊が彼のポスター展を開催したところ、展示された作品をニューヨーク近代美術館がそっくり全部買い取ったのである。

 横尾さんが1981年にグラフィック・デザイナーから画家への転身を宣言したのは、アメリカで観たピカソ展がきっかけだったという。

 会場に入ったときのぼくはグラフィック・デザイナーだったけど、会場をあとにしたときには画家だったんです。

 またこうも語っている。

 人様の求めに応えて仕事をするのと、自分の求めに応えてするのとでは大ちがいです。

 なるほどと素直に納得する方も多いんじゃないかと思う。もちろん自分のうちに求めるものがなにもなければ話にならないけれど。

 横尾さんはその後もポスターを手がけていないわけではなく、ぼくの手元にはなぜかこんな一枚(2002年の作品)があったので、ご参考までに。
 
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January 20, 2012

Daily Oregraph: 南埠頭氷景

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 ふだん午後はあまり出歩かないのだが、体が腐ってしまいそうなので、ふらりと南埠頭に来てみれば……おお、一面氷に覆われているではないか。

 もちろんそれほど厚い氷ではない。いわゆる流氷ではなく、釧路川の上流から流れてきた氷が、北寄りの風に吹き寄せられたものである。

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 そうは承知していても、やはりちょっと息を呑む光景である。

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 石炭ローダー前の岸壁もすっかり凍りついている。薄い氷といえども、これほど大量に水面を覆いつくすと、船の離着岸作業はむずかしいだろう。

 たとえ氷をバリバリ割りながら強引に船を岸壁に寄せたとしても、圧縮された氷が船体と岸壁の間に分厚い壁をなし、まともに接岸できないからである。どうするのかな、とつい余計な心配をしてしまう。

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 今日はローダーのあたりを歩いてもおじゃまにならないので、ちょっと失礼して、(たぶん)ベルトコンベアをパチリ。こういう設備を美しいと思うぼくの神経はふつうじゃないのかな(笑)。

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 上天気だけれど風が冷たく、やがて鼻水垂之助になってしまったので車へ戻る途中、石炭列車特集に登場した全農石油基地を撮影。こういう施設はたいていのガイドブックには登場しないだろうから、ちょっぴり自慢しておきたい。

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 最後に港町岸壁に立ち寄ると、やはり氷はつい数日前よりもかなり厚くなっていた。

 冬の釧路はこうでなくちゃいけない。この氷あるがゆえに、やがて到来する春の値打ちがぐんと上がるからである。

 さて今日の古新聞記事は2011年2月6日、在日朝鮮人作家

 面倒くさいから詳細は省くけれど(ごめんね)、映画「月はどっちに出ている」の原作者である

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January 19, 2012

Daily Oregraph: 千代ノ浦冬景色

 千代ノ浦漁港が整備され面目を一新したことは、当ブログでもすでに何度か触れた。毎度申し上げるとおり、悲しいことにこの国では再開発はほとんど常に風景の劣化を意味する。

 しかし没個性だ、無趣味だと、悲しんでいるばかりでは芸がないから、まだちょっぴり残っている昭和の風味を求めて浜を歩いてみた。

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 う~む、やっぱりむずかしい。顔を洗って出直して……来てもダメだろうなあ。

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 お口直しに春採川のカモをどうぞ。連中、こんなところにいたんだなあ。見ればみんな丸々肥えているから、ちゃんと食事はしているらしい。無事冬を乗り切ってくれよ。

 さて今日の古新聞記事は2011年2月13日のものだから、だんだん古くなってきた(笑)。マイクル・ホフマンというお方が日本のポップカルチャーの歴史について書いた、大長編記事である。

 ホフマンさんによると、日本のポップカルチャーの元祖・ゴッドマザーは出雲の阿国である。阿国の舞台の様子からはじまって、江戸時代に花開いた出版文化とその背景、そしてもちろん江戸文学作品についても、漫画の元祖たる黄表紙・洒落本のたぐいから西鶴・近松まで詳しく解説している。ものすごい博学ぶりから察するに、ホフマンさんは奇特にも江戸文学を専攻されたのだろう。

 『昨日は今日の物語』や『浮世物語』、『遊子方言』や『江戸生浮気蒲焼』についても詳述しているから、たいていの日本人よりははるかに広く深く研究されていることはまちがいない。日本人たるもの負けちゃいられないね。

 ただし『江戸生浮気蒲焼』などは、いかに好意的に解釈しても、京伝の才能の空費ともいうべきくだらない作品だから、いくら日本人だって、わざわざ読むほどの値打ちはないとぼくは思っている。これから読むのなら、やはり西鶴、近松あたりだろうか。

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January 18, 2012

Daily Oregraph: 冬はタラを、夏は森でワインを

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 タラのアラ97円也。持ってみたら、ズシリと重い。なんと頭の部分が大二尾、小三尾分に、肝がたっぷり。タラはここが一番うまいのだから、迷わず買うしかないよね。

 というわけで、たったいま鍋にしておいしくいただいた。低予算で豊かな生活、というわがモットーにもぴったりかなう理想の夕食であった。

 さてまたしても古新聞記事から。政治経済欄は気分が暗くなるから、しばらくは敬遠して文化欄に専念することにした。

 今日はふたつの記事を取り上げるが、どちらも2011年6月5日のもの。どうしてそんな古い新聞を読むかというと、おもしろそうな頁だけ二三日中に読むつもりで残しておいたら、光陰矢のごとし、あっというまに何ヶ月もたってしまったというわけである。そんな心がけでは大成はおぼつかないのだから、この冴えないおっさんを反面教師として、若者には学問に励んでいただきたい。

 まずは宮本亜門さんのインタヴュー記事から。この人はTVで二三度見たことはあるのだが、ニコニコと笑顔を絶やさぬ穏和な人物という、通りいっぺんの印象しか受けなかった。しかしこの記事を読んでその印象はいっぺんに変わってしまった。

 テレビや野球とは縁遠かった芸術家肌の彼は、十代の頃は級友たちと趣味がまったく合わず、村八分に近い扱いを受けた結果、いわゆる引きこもりになってしまったらしい。その後苦闘の末に進むべき道を見い出し、演出家として大成したのだという。

 異分子に冷たい日本の社会では若いころ苦労したわけだが、その後英国と米国に滞在して演劇などを学んだ彼は、手放しで英米を礼讃するわけではない。それぞれの長短を冷静にみつめている。つまりバランス感覚に富んでいるわけだ。しかも柔和なみかけとは大ちがいで、勇気と大胆さと行動力をたっぷり持ち合わせているのには感心した。

 みずから改名した「亜門」とは亜細亜の門という意味らしい。無知だったおわびに、今後注目したい人物だと思った。好記事である。

 次は C.W. ニコルさんの文章。この人の記事はいつ読んでもすがすがしい気分になるので、ぼくは気に入っている。今回はブナ礼讃。

 ブナは世界中で大切にされているのに、なぜか従来日本では役に立たない木とされ、お上ではブナを伐採して針葉樹を植えるよう奨励してきたらしい。

 ブナは保水力にすぐれ、材の加工性も高く、実は野生動物のよい餌となり、薪にすればよく燃えるなど、たいへん有用な木だという。よく茂る葉が集めた雨を蒸散させ、夏には天然のクーラーの役割を果たす。樹齢は約400年だが、老樹になると内部が腐朽して空洞ができる。しかしそれによって軽くなるため、かえって倒れにくく、空洞そのものもフクロウなどの格好のすみかになるらしい。

 おしまいの部分からちょっとだけ。

 だんだん年を取るにつれて、暑く日の照る日に森の中をさまようのを、私は楽しみにしている。適当な場所を選び、ふかふかと木の葉に覆われた地面に腰をおろして、自分たちの植えたブナの木に背中をあずけ、ワインか冷たいビールをちょっぴり啜って、本を読んだりもするのである-いやただまどろむだけでもいい。

 いいなあ、森の中でワインか。実にうらやましい心境だけれど、こういう時間の過ごし方は、落ち着きのない日本人には向いていないかもしれない。いまから修行したら間に合うだろうか。

 なおニコルさんは、ギョウジャニンニクを wild garlic としていたのでご参考までに。なるほどね。

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