August 17, 2019

Daily Oregraph: こんな日には冬の怪談を

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 台風一過、ひさびさに暑い一日であった。といっても最高気温26.4度だから、散歩できないほどではない。

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 相生坂下のミヤマニガウリの実はかなり成長した。花は径数ミリという小さなものである。成熟すると実は自然に割れて、種がポロリと落ちる仕組みになっている。

 さて夏だから怪談のひとつも……というわけではないけれど、ディケンズの『クリスマスツリー』(1850)という小品の中にこんな話があったのでご紹介しよう。題名からわかるとおり、かの国では冬、特にクリスマスのあたりが怪談のシーズンなのである。

 某氏のある友人、とは諸君もたいていご存じの人物だが、若いころ大学在学中に親友とこんな約束をした。もし肉体を離れた霊魂が地上に戻ることがあるなら、二人のうち先に死んだほうがもう一人の前に現れようというのだ。時がたつうちに、彼はその約束を忘れてしまった。二人の若者はそれぞれまったく別の道を選んで人生を歩んだのである。しかしずいぶん歳月の流れたある日、かの人物はヨークシアムーアズのとある宿で一夜を過ごし、ふとベッドから目をやると、月光を浴びて窓辺の机にもたれ、ジッと自分を見つめている姿があって、それこそは大学時代の友人なのであった! 粛然として問いかけると、亡霊はささやくような声ながらはっきりと答えた。「近寄ってはいけない。ぼくは死んでいる。約束を果たしに来たのだ。ぼくは異界から来たけれど、その秘密を漏らすわけにはいかない!」そういうとその姿は薄れはじめ、月の光に溶けこむようにして消えていった。

 はてな、この話はどこかで読んだおぼえがある。せっかくだからこちらもあわせてお読みいただきたいと思う。後半はちょっとちがうけれど、前半はまるで同じだし、全体としては瓜二つといっていい。

 成立の順序からいえば、ディケンズがブルーム氏の話を脚色したようにも思えるが、死者の霊が生前の約束を守って友人の前に出現するというのは、幽霊話のひとつのパターンなのかも知れない。雨月物語の『菊花の約(ちぎり)』も、結局は同じ趣向である。

 ついでだから幽霊を見たという経験談のひとつもしたいところだが、あいにく一度もお目にかかったことはない。すでにこの世を去った友人は何人かいるけれど、先に死んだほうが化けて出るなどというバカな約束を交さなかったからだろう。

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August 14, 2019

Daily Oregraph: 不健康列島

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 昨日は通院の付添いになんと約六時間(!)を要し、ぐったり疲れてしまった。患者自身は疲労困憊して今朝はいつもの時間に起きられなかったし、ぼくも(ジジイだから)まだ疲れが十分抜けていなかった。

 病院が健康人の具合まで悪くするとは皮肉な話だが、公平に観察すると、お医者さんもまた相当疲れていることがわかる。ゆっくり昼食を味わうひまもなく患者をみつづけるのだから、かなりストレスがたまっているにちがいなく、まことにお気の毒である。なにもせずに付き添うだけで文句をいってはバチがあたりそうな気分になるのも無理はない。

 どうしてこんなにいるのだろうかと呆れるほどの病人で、待合室はあふれ返っている。患者はまな板の上の鯉だから、いくら待たされてもじっと辛抱するしかないけれど、付添い役はたまったものではない。しかたがないと頭でわかってはいても、だんだん腹が立ってくる(笑)。

 やっと検査や診察が終っても、(病院によっては)会計でまたたっぷり待たされる。一時間以上かかることさえある。癇癪が破裂しそうになる寸前で名前を呼ばれ、無事処方箋を受け取ったら、今度は薬局が控えている。

 最近配達サービスしてくれる薬局に切り替えてから楽になったけれど、それまでは薬局で一時間半待たされたこともある。この日ももし薬局で一時間待ったとすれば、合計七時間にもなったわけだ。

 七時間も病院と薬局で過ごすのだから、うんと具合が悪ければ、途中でバッタリ倒れても不思議はない。もしも院内で倒れたが最後、いつ帰れるかは神のみぞ知るだから、コンビニで買物をしたくらいふくらんだ袋一杯の薬をぶら下げて帰宅できた人は、身の幸運を天に感謝しなければならない。

 地方から通院する人々はもっと悲惨である。早朝家を出て診察をすませ、帰宅する頃には冬場なら外は真っ暗になっているはずだ。それでも一人で通院できるうちはまだいいとして、付添いが必要だったらどうするのだろうか?

 患者もくたびれ、医師も疲労し、付添い役の気力まで奪うというこの高齢不健康列島で、「人生百年型年金」などと抜かす、どこぞのバカ息子である二世政治家(だれかわかりますね(笑))を、ぼくはゆるさない。

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August 11, 2019

Daily Oregraph: Cool Japan

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 10日18時25分、気温15度。涼しいなんてものじゃない。少し寒いから、ジャンパーを着て幣舞橋を渡った。

 国がやっているのは COOL どころか FOOL JAPAN、税金の横流しだけど、予算ゼロでこの気温なんだから、さすがは釧路である。ざまあみろ。

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 この日は EGG を素通りして、帰省中の某君と一杯やりながら歓談。お互いジジイだから、話の内容もちょいとしんみりして、おれは回りに迷惑をかけたくないから何歳で死ぬと決めているんだ、などと彼は勝手なことをいう。

 -ばかいえ、そんなに都合よく死ねるもんか。

 TVでは元気に畑仕事をしている九十代のお婆さんや、百歳に近いのに背筋を伸ばして散歩するお爺さんなどを見せて、人生百歳時代が到来しましたなどと盛んに宣伝しているけれど、高齢になると個人差が激しいものだ。

 自己責任で死ぬまで働け、というのが人情味あふれる政府の方針らしいけれど、不幸にも体に故障が生じて働けない人はいくらでもいる。疑うものは介護の現場や病院へ行ってみるがいい。長生き必ずしも幸福ではないことを、常識ある人ならよく知っている。

 -この国は冷たい国だねえ。

 -ふ~ん、やっぱり COOL JAPAN なのか。

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August 07, 2019

Daily Oregraph: サルスベリを見に

 先日あぼみさんがサルスベリは EGG にあると教えてくださったので、見物することにした。大阪まで行かなくとも実物を見られるのはありがたい。

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 これが EGG である。ここは一種の温室なのだが、ぼくはめったに入ることはない。

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 卵みたいなかたちだからエッグなんだろうと思いこんでいたけれど、よく見ると Ever Green Garden、つまり常緑園と卵をかけた洒落らしい。市民としてはお恥ずかしいが、はじめて知った。

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 あった、あった。なるほど、これは「ヒョロッとして」いる。大阪のサルスベリとはえらいちがいである。しかも花がまったく見えないのはどうしたことだろうか。

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 一回りしてみたら、花はあった。情けないことに、たったひとつだけ。おいおい、せっかく来たんだから、もっと花を咲かせろよ。

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 わざわざ出かけてきたのは、幹の滑りぐあいを確かめたかったからである。見てのとおり、木肌はたしかにすべすべだが、さわった感じではツルツルというほどでもない。エテ公ならスルスルと登ってしまうにちがいない。

 せっかくなので辞書を調べたところ、英語ではサルもスベリもせず crape-myrtle(クレイプ・マートル)という。クレイプというから、花がチリチリ、クシャクシャして見えるところに注目したのである。「中国産の低木で……イングランドの温室、また米国南部の庭園で栽培されている」(OED) とあるから、イギリスで EGG をみかけたら(笑)ぜひ見物されるようおすすめしたい。

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 河畔では観光客らしい方をちらほらみかけた。一眼レフをお持ちだが、まさかサルスベリを撮りに釧路までおいでになったわけではあるまい。この上天気でも本日は気温二十数度、どうか涼しさを満喫していただきたいと思う。

【8月9日 追記】あぼみさんが四年前に EGG でお撮りになったサルスベリの写真を送ってくださったので、どうかごらんいただきたい。

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 なるほどこれなら見ごたえがある。どうやらぼくは精進が悪かったらしい。あまりにもちがいすぎておもしろくないから(笑)、来年もう一度チャレンジしてみたいと思う。

 あぼみさん、どうもありがとうございます。

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August 03, 2019

Daily Oregraph: さらば臨鉄

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 半世紀以上つきあってきた臨港鉄道のレールがとうとう撤去された。少し先からはまだ枕木が眠ったままだけれど、それもいずれ撤去されるだろう。

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 レールが取り去られてから初めての定点撮影。

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 さらば3.8。

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 こうして鉄路の最期に立ち会えたのはなにかの縁なのかもかも知れない。次はぼくの番だな。

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 手向けに白いハマナスを…… 本日の最高気温は29.7度であった。

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August 01, 2019

Daily Oregraph: サルスベリ

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 仕事が昨日で一段落したので、ゆっくり本を読もうと思っていたら、デスクワークが一件舞いこんできた。なかなかうまくいかないものである。しかし今夜こいつを片づければ、明日はのんびりできる(はずだ)。

 さて花の名前を明記しろと苦情をいったら、大阪通信員が今度はサルスベリの写真を送ってくれた。本人は自信がないらしいけれど、このクシャクシャの花はサルスベリにちがいないと思う。串カツ一本、帳面につけておいてくれ(笑)。

 弘法も木から落ちる、いや、サルも木から落ちるほど幹が滑るからサルスベリというらしい。「ヒャクジッコウは漢名の百日紅に基ずく(ママ)、すなわち花期が長く百日にわたるの意味である」(牧野 新日本植物図鑑)。

 夏の季語であるが、北海道にはない。

   人厭ふこころ弱りや百日紅  野澤節子

 意味はわかりそうでよくわからないが(笑)、いい句だと思う。

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July 30, 2019

Daily Oregraph: 赤い花みつけた

 6月22日の「大阪の赤い花」という記事で、銀杏のてっぺんに咲く赤い花をご紹介したけれど、それは銀杏の花ではなく別の蔓性植物の花であることがわかった……そう大阪通信員から連絡があったので、当該記事の末尾に「追記」を加えておいた。

 -いやあ、すっかりだまされちまったよ。実に面目ない。

 まあ、人間だれしもかんちがいはするものだ。ウソで固めた某首相とちがって、正直に誤りを認めるんだからえらい。

 しかも、見よ。

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 -すまん、すまん。これが例の赤い花の正体だったよ。

 疑問を頭の片隅に置いて、いつか解決しようという気持があるのは、ボーッと生きていない証拠である。

 ……と、ここまではほめていいのだが、せっかく串カツの一本もおごってやるつもりだったのに、肝心の花の名を書いていないのは減点だな。

 このラッパ形の赤い花は、ぼくの調べたところではノウゼンカズラ。もしちがったら、遠慮なくご指摘いただきたい。通信員君の精神をみならって、ぼくも素直におわびしたいと思う。

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