December 08, 2019

Daily Oregraph: なにわ冬景色

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 しばらく沈黙を守っていた、つまり写真を送ってこなかった当社大阪通信員が11月26日に撮影した一枚。彼の写真はもっぱら植物が対象なので、ひょっとしたら彼自身も光合成して生きているんじゃないかと思う。

 やっと大阪も冬らしくなったのだそうな。

 ぼくもよく知っているが、関西の冬は案外寒いのである。特に室内は冷え冷えとして、春のやるせなさ、夏の腹立たしさ、秋のものさびしさとはとはまるでちがう、一種の絶望感ともいうべきものがある。

 ……と、ここからは写真とは直接関係のない話になるのだが、昔を思い出して、

 一日を終えて部屋に戻り、電気のスイッチを入れても、冷え切った蛍光灯はすぐには明るくならない。凍りつくような弱々しい光に身をひたすときは、独り暮らしの男(あるいは女)が孤独感に打ちのめされるときである。

 やっと温まってきた電気コタツにもぐりこんで、亀の子のように身をすくめたが最後、もう動くのがいやになる。Never thinking of tomorrow どころか、現在についてさえ考えたくなくなるのだが、こんなとき不信心者を救ってくれるのは、イエス様でも仏様でもない。

 ノックもせずにドアを開けて入ってきたのは、無学無教養だけど気のいい飲兵衛の友人である。

 -へえ、君、まだ生きてたのか。おい、うまい酒を持ってきたから湯を沸かせ。熱燗にしよう。

 有無をいわせず、酒盛りがはじまる。ふだんはもののわからぬ困った友人なのだが、こういうときには実にありがたい。

 文科省はバカだから推薦しないだろうが(笑)、サウイフモノニ ワタシハナリタイと思う。つまりなんだね、たとえ立派でない人間であっても、きっとだれかの役には立つということだ。

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December 06, 2019

Daily Oregraph: ノンシャラーンな12月

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 冬の強烈な太陽が反射して、海がギラギラ光っている。まぶしくて目がくらむほどである。それなのに手袋がそろそろ恋しくなる気温なのだから、だんだん散歩がおっくうになる。

 あいかわらずデスクワークがつづく。しかしいくらがんばっても、人間の集中力などたかが知れているから、しまいにはいやになってくる。そこで一日のしめくくりはウィスキー・オン・ザ・ロックス。正気を保つ妙薬である。

 そんなときエラ・フィッツジェラルドの歌っていた Smoking, drinking, never thinking of tomorrow という歌詞をよく思い出す。たしか never thinking OF tomorrow と、of をずいぶん強調して歌っていたように記憶しているので、ときどき真似をして「never thinking オブ tomorrow」と、素っ頓狂な声を出して口ずさむことがある。

 このすぐあとはノンシャラーン(nonchalant 英語では最後の t も発音)とつづくのだが、これフランス語だね。年代物の仏和辞典を引くと、「呑気な、放逸な、無頓着な、無関心の、懶惰な、いい加減な、だらしのない」(新仏和中辞典 白水社)だそうである。「懶惰」か……ふと太宰治を連想してしまったけれど、話の収拾がつかなくなるからやめておこう(笑)。

 禁煙主義者が幅を利かせるこのご時世に、ぷかぷかタバコを吹かしながら酒を飲むんだから、なるほどノンシャラーンにちがいない。それに酒場の請求書なんぞシュレッダーにかけちまえばいいんだから、ノンシャラーン。だれになんといわれようとも、問題ないと勝手に認識し、わしゃ知らーんで、ノンシャラーン。

 ノンシャラーンも徹すればたいしたものだと思うが、某首相のようにノンシャラーンな悪人になるのはなかなかむずかしい。善良なる市民がいくら修行したって、ああはなれまい。

 真面目にも徹し切れず、ノンシャラーンにもなり切れない。モヤモヤした気分のまま、とうとう12月を迎えてしまった。失われた時間はノーリターン。

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November 30, 2019

Daily Oregraph: 西成モーニング

 当社京都通信員が11月24日に大阪へ出張して撮った写真から数枚。

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 西成の朝はアルコールで始まる……と決まったわけではなく、コーヒー、トーストと茹で玉子のセットも選べるのだが、「生ビール or 酎ハイ or 焼酎 or ハイボール」のモーニングセットというのは、やはりちょっと驚きである。

 朝っぱらから酒かよ、と顔をしかめる方がいらっしゃるかもしれない。だが、ちょっと待った。だれもが9時~5時で働いているわけではないのだし、自由人のジジイだっているのだから、自分を万物の尺度とするなかれ。

 しかし縄暖簾をくぐってモーニングを頼むんなら、ぼくは西成モーニングを選びたい。

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 いかにも大阪。いったいどれほど安いのか、てんで見当もつかない。たぶん客層はニューオオタニや桜を見る会とは縁のない人々であろう。つまりぼくの仲間である。

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 この店構えは渋い。渋すぎて映画のセットのような感じさえする。大映映画「悪名」シリーズで勝新太郎の演じた八尾の朝吉が、今にもふらりと店に入ろうかという……といっても、なんのことやらわからぬ人が多いにちがいないけど、まあいいさ(笑)。

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 上のお店は山王市場通商店街にあるのだそうな。商店街マニアとしては、一度行かずばなるまい。

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November 29, 2019

Daily Oregraph: もう年の暮れ

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 いつの間にか店頭に鏡餅が並ぶ季節になった……といっても、まだ11月だからちと気が早すぎるようだ。この調子で年を取るのではたまったものではない。

 相変らず「破断荷重」だの「耐荷重」だの、不粋きわまりない文章を相手にしている。あまりにも浮世離れしているから、ボーッと生きているような、そうでないような。一応生存証明として、写真を載せておく。

 今日(といっても、もう日が変ってしまったけれど)の日中、日が射しているのに雪がちらついた。ごく短時間で止んだのは幸いだったが、いよいよ冬本番である。

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November 22, 2019

Daily Oregraph: 23年ぶりの羊羹

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 へえ、ちっとも変っていないじゃないか。

 当社京都通信員から送られてきた写真を見てそう思った。だって、最後にこのお店の前を通ったのは1996年3月なんだから、23年以上も昔の話である。知る人ぞ知る名物はかま餅とでっち羊羹。どちらも一度だけ味わったことがある。

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 これがでっち羊羹。刻んだ栗の入った、まことに上品な羊羹である。めずらしいことに、京都通信員が送ってくれたのである。残念ながら、かま餅は日持ちしないから、送るのを断念して、本人がむしゃむしゃ食ってしまったらしい。

 さてこのお店から少し南下すると出町商店街がある。

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 おお、「出町座」とは? 新しく誕生した映画館だという。正確には「木屋町四条上ルにあった立誠シネマが移転・改名したもの」だそうだが、今どき商店街に映画館を作るとは、さすが京都の底力だと思う。同志社も近くにあるし、一定の観客は確保できるのだろう。

 古いお店がそのまま残る一方で、思い切り新しい映画館ができるところに、京都のおもしろさがある。ぜひまた散歩に行きたいものだが、ブラキストン線のはるか彼方だから、遠いよなあ。

【11月24日 追記】

 三友亭さんのために鎌餅(これが正式名)の写真を……

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 純白の柔らかい餅が餡をくるんでいる。いかにもうまそうだが、23年前に一度食べたきりだから、とっくに味は忘れてしまった。

 大黒屋さんは場所がちょっとわかりにくい。ぼくの記憶によれば、(たしか織田信長ゆかりの)阿弥陀寺を目標にするといい。門前の小路を西に入れば、お店はすぐである。

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November 20, 2019

Daily Oregraph: ミセス・ニッポン

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 ふ~ん、こういうマネキンもあるんだなあ。ちょっとでもさわると、関節が外れてしまいそうに見える。ひょっとしたらもともと手は人工皮膚に覆われていたのかも知れないが、彼女の体質(?)に合わないから、いつの間にかはがれてしまったのだろうか? 実に痛々しいものである。

 -あ、さわらないでちょうだい。指がバラバラになりますわ。

 -おっと、失敬。しかしこの国の民主主義みたいに虚弱なお体ではありませんか。ちとカルシウムをお摂りなさい。シシャモを召し上がるとよろしい。

 -まあ、失礼ね。私こう見えても、れっきとしたアベ友ですのよ。えらい方たちとも、たくさんおつきあいがあるんですからね。

 -ははあ、では桜を見る会に参加なさいましたね。

 -もちろんですわ。あなたみたいな下級国民といっしょにしないでちょうだい。シシャモですって? なによ、えらそうに。

 というわけで、下級国民は尻尾を巻いて逃げ帰ったのだが、化けの皮というのはいつかはがれるものだなあと、妙に納得したのであった。

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November 15, 2019

Daily Oregraph: シシャモ

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 天気晴朗にして風強ければ、シシャモがよく干せる。日中さっと干すぐらいだと、身はきわめて柔らかく、ムシャムシャ食うには最適である。味は淡泊かつ上品、頭から尻尾まで全部食えるところもいい。口に入れる前につくづく眺めると、まさに命をいただいているという気持になる。

 しかし昔のように冬の間の保存食とするには、徹底的に干さなくてはいけない。拍子木のようにカチカチ音がするまで乾燥させるのである。ぼくは柔らかいほうが好みだけれど、煮干しの一歩手前ほど固くなったシシャモを、石炭ストーブの上に載せてあぶるのもオツなものであった。

 どこの家の軒先にも大量のシシャモがぶら下がっていた時代は終り、最近ではこの魚も貧乏人の味方ではなくなったから、東京あたりで上物をたらふく食おうと思ったら、悪名高い安倍晋三後援会にでも入会する必要がありそうだが(笑)……そこまで堕落しては、シシャモの命をいただく資格はあるまい。

 さて、車の12ヶ月点検をかねて冬タイヤに交換。これで一安心である。安心ではあるが、雪かきはいやだ。当分降らなくてもいいぞ。

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